ロータリアンの広場


「和訳の問題 2 和訳は明快であるべき」
2630地区 PDG 服部芳樹(岐阜)
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2630地区 PDG 服部芳樹

 ・・承前・・
 いずれにせよ四つのテストは、1954年に日本全国から和訳を公募し採択された、歴史的文学的文献としての側面もあることは見逃せません。
 四つのテストのように文学的要素を重視しなければならず、そのために表現が訳語の正確さよりも優先される場合と違って、なるべく単一の意味しかない日本語を選ばなくてはならないのが規定に関する既述でしょう。そこでいつも気になっているのが、RI定款第15条に示すshouldが「べき」と和訳されていることです。この日本語にはshallの意味もあり、セミナーなどでしばしば解釈を質問されます。つまり「任意か義務か」の区別を、この和訳だけで判断することはできません。たとえば、標準ロータリークラブ定款第13条第7節など、日本語だけ読むと全体の文意からは「しなければなれない」として解釈してしまう使い方です。

 「べき」は助動詞「べし」の連体形ですから、前掲の辞書で「べし」にいついて調べると、多様な意味と用法のある日本語であることが解り、明快であるべき規範の叙述に使うべきではないように思います。関係があると思われる主な用法を抜粋すると;
1よろしい状態として是認する意。a 適当であるという判断を表す。(・・するのが、 よい。)b 当然のこととして、義務として判断する。c 他人の行動に関して、勧誘・命令の意を表す。打消しを伴えば禁止となる。・・以下半頁にわたる用法が続く・・ ロータリーの原語である英語の和訳は、その日本語の意味と用法ついても十分に検討する必要があると思います。西欧と日本とでは、それぞれの文化が育んだ思想が違うのは当然で、日本語の概念にない英語の和訳は、特に注意が必要です。

 この最たる例が、「職業奉仕」という和訳でしょう。Vocationalも Serviceも、ロータリーの友2017年4月号の、廣畑富雄PGの論説にあるように、2~3字の漢字では訳しきれない英語です。
 谷崎潤一郎のいう、明治以降、西欧の思想などの翻訳における漢字の功罪の典型で、内容についての誤解を招く元凶となっているようです。この他にも、「親睦」などたくさんあります。やはり、「ロータリー語」として正しい意味をしっかり学んでおかなければならないことの一つでしょう。
 今後の問題として、RIから日本への情報伝達には「訳文を検討する日本独自の組織」の構成が望まれます。大量なしかも重要な情報の伝達は、単一の意味しか持たない的確な言葉か、前後の文脈で明確に解釈されるような日本語でなければと思っています。

(2017. 5. 6)

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