ロータリアンの広場


「He profits most who serves best 廃止論」

2680地区 PDG 田中 毅(尼崎西)
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2680地区 PDG 田中 毅

 アーサー・シェルドンは、事業主とその事業に関連するすべての人々が、継続的な利益をもたらすための、経営学に基づくサービス理念を提唱し、それをわかりやすく示すためにHe profits most who serves bestと言うモットーを示しました。 シェルドンは、このモットーの意味を、「自分が他人からしてもらいたいことを、先に他人にしてあげなさい」すなわち、do unto others as you would have them do unto you という黄金律と同義語であると述べています。

 さらに、シェルドンのサービス理念をまとめた道徳律第11条には、「He profits most who serves best という黄金律の普遍性を信じ、すべての人に地球上の天然資源を機会均等に分け与えられた時に、社会が最もよく保たれることを主張するものである」と書かれています。 すなわち、労働の対価として適正な賃金が支払われ、株主だけでなく従業員・取引先・顧客・社会など利害関係者を幅広く重視しなければなりません。終身雇用・年功序列制を採用し、賃金格差は比較的小さく雇用は安定しています。富や働く意欲についての考え方以外にも、企業をそこで働く人々の運命共同体であると考えます。強い製造業部門を維持し、平等主義的な社会であり、所得格差を小さく止める福祉国家の制度を目指すのが、シェルドンの経営学に基づくサービス理念なのです。

 この考え方は、ライン型資本主義すなわち修正資本主義とも呼ばれています。 いまRIを含めたアメリカは、ライン型資本主義を否定して、市場万能主義と小さい政府と金融万能主義を基本理念に掲げた新資本主義への道を歩んでいます。 株主の利益の最大化を目指すので、業績が悪化した場合は積極的に人員を削減し、雇用は不安定になります。賃金制度では成果主義をとり、自己責任を重視します。何ごとも利益追求のチャンスと捉えて、ゼロから巨万の富を目指すサクセスストーリーによって、人々の競争意識を駆り立てますが、他人のことを顧みない個人主義、投機性、バブル化というリスクがあります。

 現在のアメリカは、シェルドンが描いた経営学に基づくサービス理念とは全く逆の方向へ向かって歩んでいるのです。 RIが推奨する職業奉仕の概念は、それを作った理事や役員の無知から、He profits most who serves bestというモットーの真意との間に、大きな乖離と錯誤があります。 今、日本の若いシニアリーダーの中には、時代の変化に対応しなければならないという理由で、 RIが推奨する職業奉仕を鸚鵡返しに語る人が見受けられますが、He profits most who serves bestと言うモットーが残っている限り、シェルドンのサービス理念を正確に伝えていかなければなりません。

 RIが、シェルドンの経営学に基づくサービス理念とは異質な職業奉仕を推奨するなら、思い切って、He profits most who serves best.というモットーを廃止すべきです。 今、日本経済は、新資本主義の方向に向かって、大きく傾こうとしています。ロータリアンの中にも新資本主義に基づく職種に属する人が多く存在する時代になりました。しかし、新資本主義は、シェルドンが提唱するサービス理念とは整合性がありません。 世界中の心あるロータリアンは、このモットーの真意を順守するための管理組織を作って、より良い社会を目指して将来に繋げたいと思います。

付記 : 5月19日に尼崎で開催される第31回源流セミナーではこの問題を徹底的に討議したいと思います。

(2018.03.23)

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