ロータリアンの広場


「日本のロータリーと世界のロータリーの乖離」
世界は一つになるか T
2510地区 PDG 塚原房樹(札幌東)
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2510地区 塚原房樹PDG

「ロータリアンの広場」には大変ご無沙汰してしまいました。 2017年6月、源流の会で発表した「ロータリー、来し方行く末」に多くの方々から反響がありました。「ロータリーの未来」、特に情報革命後、市場経済がますます透徹してゆく流れと、もう一つは市場を否定するがごとき「ボランタリー経済」の進展の流れについて皆さんから大きな関心をいただきました。ただ講演時間の制約がありましたので、舌足らずの感が否めませんでした。 そこで改めて加筆の上、広場の原稿として書き直すことにしました。

ロータリーソングの一節に「世界を一つに結ぶロータリー」というくだりがあります。果たしてロータリーは世界を一つに結ぶことができるでしょうか。 私と同期のガバナーの石黒RI理事から『ロータリーは岐路に立っていることを実感。会員数の偏在に伴うゾーンの再編成や多様性という価値観の変化は従来の日本のロータリーの心と大きく変化していることを実感。日本のロータリーが世界と乖離しないように理事として微力ながら精一杯努めてゆきたい』という便りをいただきました。 しかし世界は一つになることが難しい。もう20年前になりますが、ハーバード大のハッチントンの著書『文明の衝突』により、世界に八つの文明圏があり日本文明はその一つであることを知らされました。我々日本人は、我々文明のユニークさにしばし酔いしれますが、他方ではその孤立性に慄然とします。 『文明の衝突』は20年も前の本なのにいまだ新鮮さを失っていません。本書に予言された事の多くが現在現実になっているのに驚きました。出版の数年後に起きた9・11の背景・要因もよく分かりました。さらに私がざっと思い出す限りにおいて「的中」したと言える事象を列挙しますと、以下のとおりです。

  • 米国を含む西欧キリスト教文明とイスラム文明の衝突
    エジプト、リビアなど「アラブの春」=民主化を経験した大半の国で国内の対立や衝突が起きるなど混乱。遅れて反政府デモが盛り上がりを見せたシリアでは泥沼の内戦状態に突入、IS(イスラム国)の誕生につながった。
  • 西欧キリスト教文明とロシアを中心とした東方正教会文明の衝突
  • 中華文明と西欧キリスト教文明の対立と航行の自由作戦。
  • 日中・日韓間における歴史問題。尖閣・竹島の領土問題。
「文明の衝突」の中の論点は、アメリカは過去の西欧の歴史から、自分たちの文明こそが普遍的なものだと錯覚し、多文明の存在を十分に理解せず、反発を招いているということです。 そして何が衝突の根本的な原因になるかについて、それはイデオロギーや経済や人種ではなく、「文明」という言葉で表現されています。 このように宗教・言語・生活習慣・社会制度などによって特徴ある文明社会が、世界中の地域で勢力を持つことによって、対立が発生しているのが、現代社会です。「いずれ世界は統一され、人間は共通の価値観を共有できる地球市民になるだろう」という観測に対して徹底的に反論する内容でした。人類の歴史と今世界で実際に起きていることを客観的に観れば、 そんな希望的観測は殆ど実現しないことがわかります。 ネットが普及しようが経済的にボーダレスになろうが、 混ざり合って価値観が似通ってくるなんて事はありえません。厳然として民族紛争・宗教紛争・隣接する国家間の衝突や不仲が多いのが現状です。人種等の観念が薄れる気配も、国境がなくなる気配も、世界のどこにもみえません。逆に世界は「カオス化」する。ますます複雑化した先の見えない場になっていくようです。

 欧米が生き残れるかどうかは、自分達の西欧的アイデンティティを再確認しているアメリカ人や西欧人が、自分達の文明は特異であり、普遍的なものではないということを認め、非西欧的社会からの挑戦に備え、結束して、みずからの文明を再建して維持していけるかどうかにかかっています。また、異文明間の世界戦争を避けられるかどうかは、世界の指導者が世界政治の多文明性を理解し、力を合わせてそれを維持しようと努力するかどうかにかかっています。 この様な地球環境の中で、RIはどのようにして文明の異なる国のロータリークラブを管理してゆくのでしょうか。次回はそのあたりのことを考えてみたいと思います。

(2017.10.31)

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