ロータリアンの広場


「日本のロータリーと世界のロータリーの乖離」
世界は一つになるか V
2510地区 PDG 塚原房樹(札幌東)
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2510地区 塚原房樹PDG

 前々回、ハッチントンの「文明の衝突」に敷衍(ふえん)して、世界は一つになることは難しいと述べました。何か私がロータリーの話を忘れて、「文明の衝突」の話にばかり熱中しているように思われるかもしれませんが、変わりゆくロータリーを考えるためにハッチントンの著作を引き合いに出しました。 又前回は、RIのクラブ管理とアメリカの精神的支柱となった「WASP」に触れました。確かにロータリーは、一つの国際組織として、人種宗教の相違を超えて、他人のために奉仕するという理想のもとに結集した団体ですが、これを具体的な行動に移すにあたって、それぞれの国と風土の中で培われた国民的情緒を無視し、一律の規範、指針を押し付けようとするならば、それは極めて危険であります。その背景として「WASP」に触れました。 ロータリー運動は、奉仕を志す人々の「集まり」であって、国連と違い、力で文明の衝突する「世界を一つ」にしようとするものではありません。

 今回は、視点を変えて、非営利組織に変身したロータリーについて述べてみます。世界史上、近代になって我々は三つの産業革命を経験しました。今起きている第三のそれは情報革命といわれますが、これは前の二つと違って、さっぱり社会全体に雇用を増やしません。革命のかなめになる技術体系に雇用創出効果が少ないのです。 その上現代経済の立役者は多国籍企業です。彼らは国境を越えて無政府的に行動します。国際的にこうした厳しい時代にこそ、ロータリーは存在意義を高めるべきでしょう。 なぜなら上述の二つの怪物「市場経済」と「多国籍企業」の支配する環境の中では、必然的に大失業、大規模の資本過剰、価格破壊、そして大不況が出てくるからです。こうした「弱肉強食」の社会から生じるアンバランスは、これまではケインズ的福祉政府が救済の手を差し伸べてきました。しかし現代の「市場経済」という怪物は、性質上、小さな政府を求めます。 もはや、行政には頼れないとすれば、社会的ひずみを補修する主体は民間しかありません。市民の地域社会に根ざすボランティア活動です。RIは、ロータリー活動をNGO、NPOの重要な一環として積極的に位置づけるようになりました。我々は、こういう時代の流れ、国際環境の動きを見極めながら、ロータリーの理論と実践を進めてゆかねばならないと思います。ボランタリー経済の旗手として、ロータリーは前進しなければなりません。 次に、RIの非営利組織のマネジメントについて触れてみます。今や、ロータリーは世界最大のNPOを自負する非営利組織となりました。これは昔から続いてきた慈善事業とは全く違います。かつてのロータリーは隣人への善意があれば、十分だと思っていました。 慈善事業が目指しているのは人々の苦しみを和らげることであって、これが慈善活動をしている人の心の癒しとなっていました。けれどもその施しを受ける人の人生が変わり、それが永続的に続くなどという幻想は誰ひとり持っていませんでした。

 非営利組織の最優先課題は、良いことをするのは目標ではありません。良いことをするというのはお金を与えることを意味します。非営利組織では「成果」を上げるために、私たちは自分の目的、納得のいく「成果」を定義し、それを達成しようとする方向に変わりました。 我々はロータリーに、入会するとき、NPOの会員になるとは思っていませんでした。情緒的クラブの中で親睦活動を大切にし、地域の人々に奉仕することで満足感を味わいたいと思っていた人々でした。 しかし、RIの非営利組織を支援するのも彼らですが、ただ彼らはRIが提供しようとするものを肯定することも否定することもできます。金銭的対価のない非営利組織において、RI理事会のマネジメントはとてつもなく高い水準を求められることとなりました。支援してくれるロータリアンが、何を価値あるものと考えるかということを理解しなければ「成果」を上げることはできません。

 そこでロータリーのリーダーたちは、2001年、国際―タリーが奉仕の第2世紀を迎えるに当たり「戦略計画」を成文化し、新しい組織のニーズにこたえることにしました。これは全世界のロータリアンが示した戦略的懸念に対応するためのものであるということです。「世界を一つに結ぶロータリー」にするために、ロータリーは時代とともに変化してゆきます。 《脱皮できない蛇は滅びる》というニーチェの言葉があります。日本のローリーは世界のロータリーと乖離している。そのためには我々は脱皮をしなければならないといわれます。しかし、物事には必ず表裏があります。脱皮しても蛇は蛇です。我々は日本のロータリアンとして個人の基本軸はしっかりさせた上で、時代とともに変化するRIの集団の規範に対応していかなければなりません。

(2017.11.10)

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