「親睦と奉仕」
2770地区 越谷東RC 元会長 青木伸翁

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2770地区 越谷東
元会長 青木伸翁

 かつては
“Science of Business is Science of Profit”
“経営学とは利益を上げる科学である”と言われていたが現在は“Science of Business is Science of Service”“経営学とはサービス学である”という時代である。経営哲学者で1908年にシカゴクラブに入会してきた、アーサー・フレデリック・シェルドンが云った言葉です。更に、シェルドンは “He Profits Most Who Serves Best”
“最もよく奉仕する者最も多く報いられる”
 後に、ロータリーの標語となる、この言葉を1911年に発表します。
 但し、実際にはこの標語はロータリーが創立するより以前の1902年にシェルドン・ビジネススクールで教えていた教科書の中で使われていました。この言葉は、ロータリーの職業奉仕の理念を、最も端的に表した言葉だと思います。

 ロータリーは、この職業奉仕の理念を、更に発展させます。それは、この職業奉仕の理念を中核にして、社会奉仕、国際奉仕、その他あらゆることに対応できる、理念、哲学として草創期のロータリアンたちが議論を重ね「ロータリーの奉仕哲学」として体系づけ確立していったのです。
 我々、ロータリーにとって、この先輩ロータリアンが残してくれた、素晴らしい、良質な思想、理念、哲学を、正しく理解し、この哲学の裏付けをもって、個人的社会、職業的社会、地域社会、国際社会において、奉仕の実践をしていくことと、この哲学を我々の次の世代に伝えていくことが、最も大切なことと言えるのではないでしょうか。
 ところで、今のロータリーは、親睦を昔のようには大切にしていないんだという人がいます。会員が親睦を深めあうことは当たり前のことであって、親睦は奉仕をする上で、大前提のことであり、親睦は目的ではないんだ、ロータリーの目的は、世のため人のために何か良いことをすること、いわゆる「奉仕」することが大切なんだということだと思います。確かにそういうふうに考えることもできると思います。

 しかし、ロータリーが言う、真の意味での親睦を深めあうことが、そんな簡単に出来ることなのでしょうか、そんな簡単にかたづけていいのでしょうか。  会員同士の心と心が通い合うことがないから、本当に良い友達がいないから、現在のロータリーには、親睦活動はあっても、真の意味での親睦が無いから、簡単にクラブを退会する会員が多いのではないでしょうか。親睦の真の意味、大切さが解らないから「奉仕」の本当の意味を理解出来ないのではないかと思います。私は現在のロータリーで、一番の問題はここにあるのではないかと思います。親睦を深めるということは、他人への思いやりを深く持つということです。他人は思いやりをかけてもらうと、思いやりをかけてくれた人に対し好意を持ち、次に自然と、その人に思いやりのお返しをすることを考えるのではないでしょうか。この、人と人の「思いやりの交換」が大切なのではないでしょうか。我々は、それを「親睦」と言っているのです。

 思いやりとはなんでしょうか、思いやりとは「奉仕の心」と言えるのではないでしょうか。このように考えると「親睦即ち奉仕の心の形成」と言ってもいいのではないかと思います。
 我々は、クラブの例会で、他の会員から自分の足りないところを謙虚に学び、自分を高めていく、その過程で、会員同士が親睦を深めあう。この親睦を深めあうということが、「奉仕の心」を育むということになり、その育まれた奉仕の心を持って、奉仕の実践をするのが、本来のロータリーなのではないでしょうか。  100年前、ポール・ハリスは、奉仕は親睦の上にある、高い次元のものであると考えました。しかし、ある時、このことの間違いに気づき、「ロータリーは親睦と奉仕の調和の中に宿る」と言っています。我々は、このことを思い出し、今こそ、我々ロータリーにとって、「親睦」と「奉仕」が同じように、大切なものであるということを思い出すことが必要なのではないでしょうか。

(2013.12.22)

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