ロータリアンの広場


「ロータリーの目的」と「会員資格条件」
2770地区 パスト会長 青木伸翁(越谷東)
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2770地区 PP 青木伸翁

 我々がロータリー運動を推進する目的は、2016年RI定款第4条、クラブ定款第5条にある「ロータリーの目的(綱領)」の中に示されています。
 その主文には「ロータリーの目的は、意義ある事業の基礎として奉仕の理念を奨励し、これを育むことにある。具体的には、次の各項を奨励することである」と言い、以下、第1項から第4項まで付帯事項があります。ロータリーの目的は、仕事、職業、事業の根底に「奉仕の理念」を置き、それを追求していくことであると、主文においても付帯事項においても明快に言っています。

 この日本語訳は、長年に亘り議論を重ねた結果、タイトルの「綱領」が「目的」に「奉仕の理想」が「奉仕の理念」に変わりました。異論もありますが、英語の原文のニュアンスにより近いものになったと思います。
 気を付けなければいけないことは英語の原文は1952年にそのタイトルを「The Object of Rotary」とObjects が 単数のObject と変更されてから半世紀以上、内容はその以前から全然変わっていないという事です。ロータリーの目的の「仕事・職業・事業の基礎に奉仕の理念を置く」という思想は変わっていないのです。というより何年経っても変える必要のない、時代を超えて通用する素晴らしい「原理・原則・理念」という事なのではないでしょうか。

 ところで、2006年までの会員資格条件が「本クラブは、善良な成人であって、職業上良い世評を受けている者によって構成されるものとする」となっていたものが、2007年からは「本クラブは、善良な成人であって、職業上、および(または)地域社会において良い世評を受けている者によって構成されるものとする」となり2016年からは、全般的資格条件として「本クラブは、善良さ、高潔さ、リーダーシップを身をもって示し、職業上および(または)地域社会でよい世評を受けており、地域社会および(または)世界において奉仕する意欲のある成人によって構成されるものとする」と変更になっています。
 2007年の変更により、明らかに職業を持たない人の入会が認められました。そして、2016年の会員資格の変更により、明らかに社会奉仕、国際奉仕、所謂ボランティアをするロータリーとなったのです。
 1986年、久しぶりに国際ロータリーに復活した「職業奉仕委員会」により示され、1987年に発表された。

「職業奉仕に関する声明」
 1)、2)、3)の後に次のようにあります。

 職業奉仕は、ロータリークラブとクラブ会員両方の責務である。クラブの役割は、模範となる実例を示すことによって、また、クラブ会員が自己の職業上の手腕を発揮できるようなプロジェクトを開発することによって、目標を実践、奨励することである。クラブ会員の役割は、ロータリーの原則に沿って、自らと自分の職業を律し、併せてクラブプロジェクトに応えることである。
 この声明により、職業を持たないクラブが職業奉仕をすると誤解され、更に、職業奉仕の解釈も誤解され、例えば、医師が無料で行う診療や、弁護士が無料で行う法律相談が職業奉仕となっていってしまったのです。

 もし、職業を持たない人の入会を許すなら、最も大事な、原理・原則・理念である「ロータリーの目的」は「全ての人の生きる基礎として奉仕の理念を奨励し、云々」と変更しなければ、職業を持たない人が入会して、このロータリーの目的を読んで、職業を持たない自分が入会して良いのだろうかと大きな矛盾を感じてしまうのではないでしょうか。
 私は、ロータリーがロータリーらしいのは、職業を持った人の集まりであり、それぞれが職業を営む上で、「奉仕の理念」をその基礎に置くことを大事に思い、学び合い、切磋琢磨し、世界中にその理念を広め、奉仕の理念をあらゆる場面で実践に移していくことにあるのではないかと思います。

(2018.09.12)

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