「国際ロータリーの(ための)ロータリー財団」
![]() 2760地区 PDG 江崎柳節 |
2010年から世界の100地区で試行されていたFuture VisionがPilot地区の圧倒的な支持を得ていよいよ2013年から世界中の地区で開始されている。
世界の全地区がこの新補助金制度の運用を始めた現時点では、当然のことではあるが戸惑いもいろいろあろうと考えられている。しかし、これは多くは、経験と平準化によって克服する事が出来るものが多い。また従来の制度との違いを了解しないとなかなか進まない事柄も少なくない。
その中から2,3の事柄に略述する。
そもそも新制度の地区補助金とグローバル補助金共通の使い道の原則は、限られた公金である1億数千万ドルの資金を、他の奉仕団体にはない明解で専門性の高い、人道的,教育的なプロジェクトに対して使う事が特徴である。
- 地区補助金
地区補助金が従来の2.5倍に増額された事の中には、以前からロータリアンに好まれて続けられてきた6つの人道分野のプログラム(プロジェクト、奨学生、GSEに代わるVTT)を、より専門性を高めて,持続可能性をもって之をグローバル補助金に移行し、従来型のGSEや親善奨学制度に倣った多くの教育的プログラムと、地区が求めている各種の多様な人道的、教育的意義ニーズに適った地域の奉仕を地区とクラブの裁量と責任において地区補助金として支援するものである。地区とクラブの方針で裁量に富んだ運用が望まれる。之の運用は「補助金の授与と受諾の条件」に拠ることになっている。
- グローバル補助金
既に示されている「6重点分野の基本方針」と「授与と受諾の条件」等に従ったニーズによくマッチした,持続可能性と進捗と成果と評価がよくわかる計画を盛り込んだ立案が必須であり,認可が厳しいという反響があればそれは、煩雑に慣れない過渡期の現象でもあろうと思われる。この補助金こそ、従来ありがちなDDFの残高(使い残し)を効果的に利用する新分野と言っても良い、検討に値する補助金であろう。いまのところ海外との意思疎通、進捗の判断などプロジェクトにまつわる必然の苦労があるがこれは新制度に限ったことではなく、今後乗り越えなければならない課題だと思う。従来余り得意分野でない外国のニーズに合った持続可能性をもったプロジェクトが大いに期待される。
- パッケージ・グラント
いまオイコクレディットは行われていないが、アガカーン大学、マーシーシップに人材を派遣するのに、全額TRFからの援助で展開されていて、これはむしろ小規模クラブにおいて、海外に専門分野のプロジェクトを実施したいときに望ましい補助金分野だと思う。
- 以前からロータリー財団が御世話する補助金プログラムは、ロータリー財団が推進するプロジェクトだと思われがちであった。しかし5大奉仕がこの新補助金制度を良く理解しない限りこの制度は進展しない。特に国際奉仕がこの変化に注目していないかぎり、新補助金制度のグローバル補助金の意義が無力化する。グローバル補助金がWCSをスケールアップした魅力的なプログラムであり、地区補助金が規模を大きくした社会奉仕のための原資であることにとくに注目したい。実施以来、地区補助金がクラブに大変良く受け入れられている現状は頼もしい。グローバル補助金に対しても、複数のクラブ群で取り組んで、この大きな奉仕資源を活用することが待たれるところである。
- 新補助金制度に基づく奉仕の進捗には補助金管理の面で多くの事態を招来する。これらを所期の目的通り執行されるよう、誤りなく管理するための資金管理委員会の持つ任務は、この財団の資金が純粋に会員拠出の公金であることとその意義に応えた高潔、公明な管理のために、新設された「資金管理小委員会」の任務は貴重である。
- 各ゾーンには1名のRRFCが任命されていて毎年エバンストンの本部にてTRF(The Rotary Foundation)のセミナーが行われる。ロータリー財団に関する地域的な問題はここで論じられる。過去にも我が国の実情、問題点はできうる限り討議して問題解決に努めているが、今後も問題点がありましたらぜひお知らせ賜りたい。
(2013.12.15)