ロータリアンの広場


Global Reward No.1
2630地区 PDG 服部芳樹(岐阜)
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2630地区 PDG 服部芳樹

 先回の、塚原房樹DPG、廣畑富雄DPGのご高説を拝読し、いささか思うところを述べたいと思います。
 この件に限らず、このような問題には多くの方々のお考えをお聞きし、対処の方法を策定することが肝要かと思います。

 Global Rewardの制度を立ち上げるために、その阻害因子となる理念的裏付け「ロータリアンの職業宣言」「ロータリーの行動規範」は、この文言が時代とともに変遷する歴史を視るだけで、ロータリーそのものの変化を窺い知ることができるようです。

 Global Reward も、初期のCLPやDLP同じように様々な物議を醸すことでしょう。日本の職業奉仕論からは、当然反対意見の出ることも納得できます。
 しかしこの制度には、今の社会情勢からみて、それなりの効果もあると考えられます。また、「世界中のクラブが対象になっている」ことも念頭に置かなくてはならないと思います。日本のロータリーのように、理念的バックボーンを考えて行動する「成熟したロータリー」もあれば、未だそのレベルに達しないロータリーもあるからです。
 良い方向で考えれば、このGlobal Rewardと云う制度の基盤には「信頼」がなければ成り立たないと云う点です。ロータリー創設のころの「互恵取引」は、Backscratcher などと蔑視されますが、「信用できる人たちの集まり」でなければ成り立たず、その後の奉仕の観念も受け入れられなかったのではないでしょうか。
「ロータリアンとは信用できる人の代名詞」と云う絶対的な条件の基に、Global Reward の制度を構築するとすれば、日本のロータリアンが持つ職業奉仕理念に取り入れる理論的根拠も見つかるでしょうし、商取引だけではなく、見知らぬ土地への旅行や日常生活の購買にもたいそう役に立つことでしょう。この頃の、すれ違う人も信頼できないような世情のなかで、心強い制度であるとも云えるでしょう。

 それにしても、「ロータリアンの割引制度」とか「会員特典」などと云う、じつに幼稚で次元の低い日本語訳を見るとき、発想がノウハウ本的で、原語の会員の「特典」と云う言葉も、今までPrivilege が使われており、世界中の例会出席が可能になるなどの、栄誉のニュアンスを伴って解釈していましたが、Rewardとどう違うのか私には解かりません。リワードは、クレジットカードのポイント交換とか、イヌの「ご褒美」に使われている例しか知らないので、そんなイメージしか浮んでこないのです。
 この程度で全てとすれば、「日本の職業奉仕哲学」の終焉のみならず、今井 忠氏のコメント通り、既成概念にあるロータリーそのものの崩壊を意味するものと考えます。

 勿論、源流セミナーも歴史的遺物となるでしょう。
 日本のロータリーも、これで若い会員が増えるのだと言われては、ずいぶん軽く見られたれたものです。但し、この問題を真正面から討議し、その解決を謀ろうとするクラブは、ロータリアンは、どれだけあるでしょうか。源流の会員のみなさまにはクラブの会員に、正しい知識とその解釈をお伝え戴きたいと思っています。

 日本のロータリークラブは、今以上に格差が開き、明瞭な二極分化の方向を辿るでしょう。それは、「ロータリーは、単なるボランティア団体ではない。社交クラブでもない。慈善団体でも寄付団体でもない。」即ち、そのいずれをも含むが、それだけではない。「その他にあるもの」を順守するクラブと、「その他にあるもの」を不要なものとし、「ロータリーは、ボランティア団体である。社交クラブである。慈善団体であり寄付団体である」とし、Member get Moneyのために増員を図る二極への分化です。
 日本のロータリー文化の伝統を順守するか、否か、の二極分化です。伝統を順守しようと考えたら、行動あるのみです。

 Global Reward についてはまだまだ理解できないことが沢山あり、皆様のご見解を是非お聞かせ戴きたいと思います。

(2015.09.09)

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