ロータリアンの広場


「和訳の問題 1 公正か公平か」
2630地区 PDG 服部芳樹(岐阜)
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2630地区 PDG 服部芳樹

 2016年版手続要覧に記載された四つのテストの和訳に、「公正」「公平」両方が別々に印刷されていて問題になりました。今回のPETSや地区研修協議会でも話題になり、質疑が相次ぎました。原文の「Fair」は、小さな英和辞典でも両方の和訳が出ています。
「日本語としては?」との観点から見ると、日本国語大辞典(小学館)では、「公正」;公平でかたよっていないこと。
「公平」;公正でかたよっていないこと。
と説いていて全く同義語のように見えますが、大辞泉(小学館)には用法として、
「公平」;物事を偏らないようにすることに重点が置かれ、
「公正」;不正やごまかしのないことを主に言う、と説明されています。

 従って、「嘘偽りはないか」という意味で「真実か どうか」と既に訊いていますから、ここでは「公平」という日本語が妥当となるのではないでしょうか。 また、「公正」にした方が良いという意見は以前から見受けますが、確かに「公明正大」といったり、スポーツなどでも「フェア」といったり、感覚的には「公正」でしょうが、田中 毅 PGのご意見にあるように「1事実か どうか」としたならば、「公正」となだらかに続けて行くこともできます。
 日本語になった「四つのテスト」の文字数の構成を見ると、(1)3.3 (2)33 (3)3.3.5 (4)3.3.3、とたいへん声に出して読み易くなっていることに気付きます。特に冒頭の「真実か」は、分解すれば5ですが、sin/jituと2音を連続して発声する言葉を重ね、3.と数えることができる、きわめて響きの強い日本語が選ばれています。「みんな」のminも、これ次ぐ効果を持った用語の選択です。これは、このまま日本リートの歌詞にもできる表現です。事実、作曲されています。

 また、訳者の本田親男氏が、「平等と公平」の概念に考えが及んでいたであろうことは容易に推定されます。これは、関係者すべての「公正に得た利潤の取り分」に関することですから、同じ金額を平等に分配したのでは公平と言えません。
 結局のところ「公正」はミスプリントだと聞きましたが、手続要覧の権威?を失墜する雑な作業の象徴といえましょう。もっとも今回の手続要覧に、権威など求めるのは無理なのでしょうが。いくら謝っても「済むことではないが」との意味である「済みません」を「スイマセン」などと軽薄に言う時代ですから、「間違えてスイマセン」と云えば「ダイジョウブ」なのでしょう。   ・・続く・・

(2017.5.2)

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