ロータリアンの広場


「多様性という価値観」
2630地区 PDG 服部芳樹(岐阜)
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2630地区 PDG 服部芳樹

 十余年前のころ「金太郎あめクラブ」という言葉がよく使われました。どのクラブへ行っても、まったく同じパターンの例会・委員会構成・奉仕活動・・。それがこの頃、(良くも悪くも)さまざまな変化が見られるようになりました。
 例会一つ取り上げてみても、会長挨拶とともに食事を始めたり、例会前30分食事時間を設けて1時間みっちり例会に充てたり。そのような変化なら良いのですが、夜間例会前に飲酒できる用意をして、「和気あいあいの集い」と誇らしげに語るクラブもあり、一方例会場は道場と心得、入るに一礼するクラブもあり、行事進行中は私語の一つも聞こえてこないところがあるかと思えば、携帯の着信音が鳴り響いたり、卓話中に居眠りならまだしも、椅子の向きも変えないで話し合っているところもあるといったことも「多様性」として許容されるのでしょうか?

 甚だしいのは、make up にきて食事がすむと挨拶もなく堂々と退席。「ロータリーよ 何処へ行く 昼飯食いにゆく」とはこのことです。先の「ロータリーよ 何処へ行く 一杯飲みに行く」(多分親睦のよき実践と信じている)クラブにしても、クラブの品格=ロータリアンの品位など、死語と化しているのでしょうか。ロータリーに対するこの考え方の相違は、「例会には、スーツを着てゆくものだと思っていたら、ジーパンとスニーカーで来た。この人にロータリーを説くのは徒労?」との喩え話の通り、その良し悪しを既存の常識では判断できないようです。

 その一方、歴史ある多人数クラブの例会をいくつか経験しましたが、やはりマナーが自然の流れになり、早退する方は、ドアの前で振りかえり一礼してから出ていかれました。会長挨拶はロータリーに結び付けての話、開始終了の点鐘も起立し一揖した後、会員が席を立つときは同席者同士の挨拶は無論、椅子もきちんと元に戻すなど気品に満ちた快い例会でした。奉仕の理想の心(理念)は黄金律の心、四つのテストの心、おもてなしの心にも通じるのですが、「おもてなし」の表わし方にはマナーが第一、マナーあってこそ、その心がおのずと言行に現れるのではないでしょうか。
 例会は懇親の集いにすぎず、ボランティア団体奉仕を旗幟とするクラブを否定するつもりはありません。しかし、日本のロータリーの伝統は「例会出席」をロータリーの活動の原点として、例会は人格を磨くところと位置付けられています。これが世界のロータリーに背を向けるものであっても、日本の誇るロータリーの主体性であり、多様性の名の下に、この独自性を発信できるものと思います。 

(2017.11.24)

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