ロータリー語(U)
2630地区 PDG 服部芳樹(岐阜)

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2630地区 PDG 服部芳樹

 新訳「ロータリーの目的」に、ネットワークというカタカナ英語があります。
 Networkが、個々の人々という点があって、それが手を伸ばし、お互いに手をとり合って情報交換を行うグループという意味を知れば、なるほどと感心します。しかし一般日本語訳の「網状組織」では「個々のI serve」という意味まで到達することはできないのではないでしょうか。

 カタカナ表記の外来語には、この「Network=ネットワーク」といったように英語をそのままカタカナにした場合と、いわゆる和製外国語があるので、ここのところも混乱し易いところです。
 例えば「モーニング」という言葉の意味は、岐阜近辺では、コーヒーを注文すると、トースト・たまご・サラダ・果物・・・時には茶碗蒸し・おにぎり・ヨーグルト・・・が0円で付いてくる喫茶店のサービスを言います。「モーニング11:45分まで」とか「モーニング一日中付きます」とか書かれていて、「昼飯はモーニングで済ませた」は立派に通用します。
 こんな不思議な日本語は、ロータリー用語で言えば「職業奉仕」がその最たるものでしょう。解説を受けない人が初めて聞いたら、全く不思議な言葉と思うでしょう。

 最近の職業奉仕「活動」は、自己の職業上の手腕を生かして、集団的奉仕活動をすることと解訳されているようです。多分にノウハウ的イメージを感じるのは私だけでしょうか。クラブの職業奉仕という極めて理解困難な言葉もあって、多くのクラブでは職場訪問や、従業員表彰など、猿真似職業奉仕活動が罷り通っているのを見かけます。

 あるセミナーで、ロータリアンの行動規範にある項目8についての質問がありました。『事業または専門職務上の関係に於いて、普通には得られない便宜ないし特典を、同僚ロータリアンに求めず、また与えることなかれ。』これを読んで、ロータリアン同士は、一切の互恵取引をしてはならないと解訳し、ロータリーの中へ自分の職業を持ち込んではならない、つまり商売の話は禁止という風潮はいかがかとのことでした。
 普通には得られない便宜ないし特典とは、通常では考えられないような掛け率の取引を要求したり、それをロータリーでの地位?に利用したり、取引を利用して会員に圧力をかけたり、そんな非常識な非倫理的な行為を禁止しているのであって、「同僚ロータリアン」という、大切で親密な「友人」としての便宜や特典を計らうことは、何ら問題はないと思っていると答えました。
 ロータリーの例会、こんな安心な異業種交流の場はないでしょうし、ロータリアンのステイタスである「信頼」にかけて、こんな安心な商取引の相手は居ないでしょう。私の所属するクラブでは、新会員卓話でまず自己の職業について語り、その職業が会員のためにどんなに有利かを語ることになっています。

 さて、旧訳「ロータリーの綱領」について、上野孝PGが語られていますが、主文の「・・・有益な事業の基礎として奉仕の理想を・・・」の中で、事業の「の」が、「を」であったらどうでしょう。新訳「ロータリーの目的」でも、「・・・意義ある事業の基礎として・・・」と書かれています。英文(正本)では「・・・as a basis of worthy enterprise・・・」で、enterpriseは「イッチョヤッタロカ」といった大仕事の意味でしょうが、その中には企業心とか企業経営の意味が含まれていますから、「の」と「を」の区別を考えれば「稼いだものを社会へ還元するのが理想の奉仕ですよ」と、語っているのではなく、事業即ち職業に対する基本的な考え方、例えば企業理念とか社是なども「奉仕の理想」を根本とするように説いています。
 職業奉仕だけを照らす光を当てれば、そこに浮び上ってくるのは、「ロータリーの目的は、職業奉仕の理念を奨励し、これを育むことにある」と言う言葉ではないでしょうか。

(2013.12.8)

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