「奉仕理念の危機」
2680地区 PDG 石井良昌(尼崎西)

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2680地区 石井良昌PDG

 2009年前半までは皆さんのロータリークラブの例会日時や場所などが、Official Directory に掲載されております。この本の裏表紙にideal of Service すなわち奉仕の理想(奉仕の理念)のことが英文で次のように書かれています。
Rotary clubs everywhere have one basic ideal−the “ideal of Service,” whitch Is thoughtfulness of and helpfulness to others.(ロータリークラブは人に対する思いやりの心と人のお役にたつといった奉仕の理想という一つの基本的な理念を持っています。)。

 この文書が2009年のOfficial Directory のIT化に伴い、このideal of Service の説明文が削除されてしまいました。と同時にRI(国際ロータリー)の職業奉仕委員会が再復活されました。。
 また、2010年4月の規定審議会で決議23−34第1項を奉仕の哲学の定義として使用することを検討するようRI理事会に要請する件が採択され、同年6月の理事会で確定され、決議23−34がロータリー章典や手続要覧に掲載されることが決定されロータリーの奉仕理念が再確認されました。

 数多いロータリーの公式文書の中で奉仕理念に触れているのは「決議23-34」のみであります。ロータリーの奉仕理念にはService above self とHe profits most who serves best. という2つのドキュメント(文書)があります。。
 言うまでもなく、一つは弱者を助ける人道的奉仕活動、すなわち社会奉仕と一部の国際奉仕活動であり、その理念をService above self(超我の奉仕)という他者のことを思いやり、他者のために尽くすことと定義されている社会奉仕、国際奉仕を含む人道的奉仕活動の理念です。もう一つは、事業の継続的な繁栄を願う職業奉仕の理念であり、その理念をHe profits most who serves best.というモットーで表していて、(最もよく奉仕する者最も多く報いられる)と訳す、この理念はアーサー・フレデリック・シェルドンによって提唱されたものであり、ロータリー運動の本質ともいうべき職業奉仕の理念であります。

 これら二つの奉仕理念はロータリーの根底にあり、この理念をよく理解してクラブ奉仕、職業奉仕、社会奉仕、国際奉仕、青少年奉仕等の活動をして欲しいと思います。。
ロータリーの源流を知らずして、現在は直接的な効果を求めて、対社会的な奉仕活動のみに走る傾向となってきておりますが、上記の奉仕の理想の説明文にもありますように、thoughtfulness(思いやり)とhelpfulness(お役にたつ)といったロータリーの真髄をよく理解して活動して欲しいものです。
 このように言えば私自身が奉仕の理論ばかりを強調していると思われるかも知れませんが、そんなことはありません。2002年の年末から最終報告書を出した2014年までの、12年間フィリピンに識字率向上のためのCLE(集中語学研修)で英語の読み書きができるようなカリキュラムを私のガバナー時の2006年に組み、提案しました。やがて、フィリピンの文部省にこのCLEを認めてもらい普及させていくことに成功し、ロータリー財団から30万ドルを付与され、日本において最初で最後の3Hプログラムとなり実践させました。

 次の主なプロジェクトとして2014年11月からグローバル補助金を使って、ネパールで2640地区と2680地区が協同で2001年に建造し、第1回国際理解賞を受賞されました岩村昇博士の岩村記念病院の看護師の能力向上プロジェクトを立ち上げ、我が地区内にある篠山市内の岡本病院で研修され、すでに昨年末に研修が終わり、成果を上げ無事帰国されました。
 これらのプロジェクトもいつも思いやりやお役に立ったかを自問自答しながら活動してきました。  最後になりましたが、ロータリーの根本にある奉仕の理念をよく理解して、今後のロータリー活動に尽力していきたいと考えております。ロータリーで変えてはならないものは、この奉仕の理念であることを断言できます。

(2015.01.07)

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