「ネパール看護師能力向上プロジェクト(VTT)」その2
 2680地区 石井良昌PDG
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(VTTの成果に対するモニタリング現地調査)まず、 |
1. | 日本での研修中に遭遇した困ったことは何であったか?それはチームメンバーの日本語能力の欠如。A団長と団員は研修前と研修終了後とで勤務態度がどのように変わったか?各自の職務に対してより真摯に取り組むとともに以前より時間を厳守するようになり、責任感がより向上した。また、興味深いことに、看護師が病院全体のことを考え、その発展を考えるようになった。さらに、以前より規律正しくなり、より献身的になり、礼儀正しくなった。
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2. | 看護能力を維持し、さらに向上させるためには、今後どのようにする必要があるか?VTT研修と同様な研修を少なくとも年1回はできるだけ長い時間をかけて、看護技術を向上させるとともに、看護師の自信とモチベーションを高める必要がある。さらに、地域社会のニーズに応えた質の高い医療サービスを提供するためには、医療機器および設備を更新するとともに、拡充する必要がある。
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3. | 岩村記念病院における人工透析治療の将来構想は?率直に言って、岩村記念病院は、専門医師、看護師、技師、透析装置、関連設備、運用資金などの面で貧弱である。従って現時点では自力で透析医療サービスを開始することは出来ない。ロータリーから、引き続きできる範囲内での支援をお願いしたい。
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試算では、透析設備を除いた運用資金が約5万ドル必要である。なお、岩村記念病院では、将来に備えて、2014年12月5日から3ヶ月間の人工透析の初級研修を受けている看護師(Beena Phanju)がいるとのこと。
今回のネパールの看護師能力向上プロジェクトで日本の病院から学んだ成果は次の3点でした。
1. | 医療廃棄物の分別 注射針は注射針の入れ物に、プラスチックはプラスチックの入れ物にと院内でも院外でも分別を実行するようになった。
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2. | 日本に見習い、訪問介護をやり始める
退院や通院をしている人に必要があれば、ネパールでは他の病院がやっていない訪問介護をすでにやり始めている。
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2. | 出勤時間や勤務時間などの時間管理を厳重に行なう。
時間厳守の日本方式を看護師業務のハンドオーバー・スケジュール管理に適用した。これによって、勤務時間の重複を排除することが出来た。
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最後に、岩村記念病院で必要だが、現時点で実現できない5つの事項
1. | 日本のリハビリテーションシステムに触発され、当病院でも必要だが現時点では経済的・技術的障害で実現できない。
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2. | 日本の病院での患者に対する病院食の提供には、感銘を受けたが、栄養士確保等の問題ですぐには実現できない。
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3. | 医療廃棄物の病院内での焼却は、廃棄物管理の重要部分だが、焼却炉がないので、現時点では、別の処分法を取らざるを得ない。
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4. | この病院で透析治療を可能にすることが必要だが、経済的・人的資源の不足からすぐには実現できない。
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5. | 薬剤師の配置は必要だが、ネパールでの薬剤師の社会的・経済的地位が低いために現時点では実現できない。
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なお、この写真は、岩村健康科学専門学校内の看護師学科の建物ですが、ここで現在、日本での今回の研修成果の一部が講義に取入れられています。また、VTT参加者の非常にまじめで勤勉な姿に感動いたしました。来日された看護師の皆さんの今後の飛躍と成長に期待したい。
(2015.03.16)
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