ロータリアンの広場


「国際貢献と奉仕理念」その2
2680地区 PDG 石井良昌(尼崎西)
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2680地区 石井良昌PDG

 2001年1月23日にネパールの岩村記念病院の竣工を見たあと、次にカンボジアに目を向け、ポルポト政権後のカンボジアを知る為、首都プノンペンにある日本領事館を訪問して、カンボジアの情勢について勉強しました。そこで知ったことですが、カンボジアでは地雷で手足を失くされる方が今でも多く、この地雷除去をするには100年かかると言われ、 識字率の問題では文字が読めない人が多数いることが分かりました。

 そこで、地雷で足や手を失った人々のために、義肢装具士を養成して人を育てようと考え、特に女性の義肢装具士はあまりおられず、女性は診てもらわないとのことだったので、女性の義肢装具士を育てるため、3年間の専門学校の学費を神戸東RCに見てもらい、若いチュダさんという女性がその後、卒業して義肢装具士の資格を取り、現地の女性にとって大変助かったと聞かされ、嬉しくなりました。

 その後、タイの義肢装具士にも目を向け、タイの優秀な義肢装具士を日本に招いて、兵庫県リハビリテーション・センターで日本の素晴らしい技術を学んでもらい、帰国後も活躍されております。タイの義肢は地雷よりも交通事故により、手足を失くされた方が多いとのことでした。特に分かったことですが、弱い立場の方々がこの地雷を埋めていくのだそうです。だからカンボジアの国境付近に多くの地雷が隠されております。

 次にフィリピンにおいて、識字率向上に役立つCLE(Concentrated Language Encounter)すなわち語学集中研修に注目しました。非識字(文盲)と貧困は悪循環を繰り返します。識字率向上は貧困から脱出するための極めて有効な手段となり、特に人口問題や環境問題にも大きく貢献いたしますし、人口問題の解決の最大の決め手は若い女性の教育であると言われております。また、このCLEはこどもたちの未来を開く言語教育法であると言われています。
 そこで、2002年12月にフィリピンの3800地区のノース・ベイ・イーストRCに源流の会主宰者の田中毅PDGがCLEプロジェクトの参加要請を打診され、そのあと私に引き継ぎを受けました。その後3つのマッチンググラントを実施し、2006年2月にプロポーザル(提案書)を出し、4年かかって2007年4月21日にCLEによる3Hプログラムが、日本で初めて承認されました。  

 この写真は3Hプログラムとして、ロータリー財団から承認されたあと、2007年 9月にフィリピンの文部省で、ラプス文部大臣同席のもと承認祝いの感謝のことばを述べました。
 この3Hプログラムの承認となると、年に2回は義務で必ずフィリピンに行き、視察調査を続けて、2014年の秋の最終報告書を提出するまで、11年間で計29回出かけました。

 3 Hプロジェクトとは、クラブや地区が独力で実施するには大きすぎるプロジェクトが対象となり、終了後も引き続き、地域の人々の自助努力で、暮らしを向上させる方法を教えるプロジェクトでなければなりません。 魚を与えるのではなく、魚の取り方を教えるのが、ロータリーのプロジェクトであります。魚を与えてもその日の糧にしかなりませんが、魚の取り方を教えれば生涯の糧になるという発想であります。「未来の夢」計画では、この3Hプロジェクトが人道的プロジェクトのグローバル補助金という名前に変更 されましたが、このグローバル補助金は6つの重点分野において、多大な影響をもたらす持続可能なプロジェクトを支援するものです。

 1905年2月23日に弁護士のポール・ハリス、洋服生地商のハイラム・ショウレー、鉱山技師のガスタ―バス・ロア、石炭商のシルベスター・シールの4人がロアの事務所に集まったのがロータリークラブ設立の最初の会合といわれております。このロアの部屋があったユニティビル711号室の跡地に、シカゴロータリークラブの100周年を 記念して歩道に銘板(左写真)がありました。この一番上の所にロータリーの2つのモットーが書かれておりました。(Feb.23,2005)

 それは Service above self と He profits most who serves best で1923年の決議で34号議案であるということで有名な「決議23―34」でロータリーのすべての活動に関わる指針でロータリーの奉仕理念を確定した唯一のドキュメントであると言われております。

 この決議23―34はロータリーの目的に基づくすべての実践活動に対する指針であると同時に、ロータリーの2つの奉仕理念をロータリー哲学として確定した重要なドキュメントであります。超我の奉仕と訳すService above self は弱者を助ける人道的奉仕活動、すなわち社会奉仕と一部の国際奉仕活動を意味し、その理念を Service above self というモットーで表しています。この理念は「他者のことを思いやり、他者のために尽くすこと」と定義されている社会奉仕、国際奉仕を含む人道的奉仕活動の理念であります。

 前号その1で述べました、奉仕の理念は奉仕の理想のことで、英語では The Ideal of Service で「人に対する思いやりを持って、人のお役に立つこと」とこの Service above self は同じ意味だと考えたらいいと思います。要するにプロジェクトを進めるにあたって、相手の立場に立った思いやりの心を持って、相手や相手国のお役に立つのだろうか、とよく考えてプロジェクトを進めるべきであります。


 

(2015.07.28)

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