ロータリアンの広場


「Service not self」の真意の証明
2680地区 PDG 石井良昌(尼崎西)
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2680地区 石井良昌PDG

 今では誰でも見ることが出来る1911年11月号の The National Rotarian第1号に掲載されたフランク・コリンズのスピーチ原稿でコリンズは、このService not self を紹介しています。Service above selfは誰がいつ作ったものかは分かりませんが、このフレーズの原型となったのは、ミネアポリス・クラブ2代目会長で、果物卸売業のフランク・コリンズが1911年のポートランド大会で語ったService not self であります。

 この言葉はフランク・コリンズが提唱した言葉だと信じている人が多いようですが、すでにミネアポリスRCに定着していたService not selfという言葉を、1911年のポートランド大会のエキスカーションでのコロンビア川をさかのぼる船旅の中で行われた即興演説の中で、たまたまコリンズが引用したに過ぎません。

 ミネアポリスロータリークラブの25周年記念誌を見ますと、このクラブは1905年に設立されたミネアポリス・パブリシティクラブを母体にして創立されたことが記載されております。このミネアポリス・パブリシティクラブは広告の自主規制と相互扶助を目的としていたことが分かります。このクラブを母体にしていることで、ミネアポリスロータリークラブもこの影響から、最初から定着している原則はService not selfであるとコリンズは 言っております。

 コリンズのスピーチ原稿を精読しますと、相互扶助が根底にあり、今までロータリアンが独占していた会員同士の相互取引を会員以外にも拡大しようという意味でService not self というフレーズが使われているようです。1911年の年次大会議事録にも、またミネアポリスロータリークラブの25周年記念誌にも、コリンズはこのスピーチをするにあたって事前にシェルドンを訪ねて、He profits most who serves best.と整合性を図ったという記録があります。

 このService not selfというフレーズを社会奉仕のモットーだとか、高い宗教性を持った ものとか、果ては「無私の奉仕」とか「自己滅却の奉仕」などと説く人がいますが、コリンズのスピーチ原稿を精査すると、この解釈にはかなりの無理があります。このコリンズのスピーチ原稿の中にあるように、息子さんが、ある食料品商が来て、私たちと取引をするようにロータリーの会員に言われたと、ありますようにこのある食料品商はロータリアンでないことが分かります。この内容を精読しますと、今までロータリアンが独占していた会員同士の相互取引を会員以外にも拡大しようという意味が分かり、私は、このService not self を「利己と利他の奉仕」と訳しますと、意味がよく分かると思います。すなわち、自分さえ良かったらいいのではなく、他の人にもお役に立つよう喜んでもらう奉仕です。

 Service not selfとService、not self でServiceのあとにカンマがあるのと無いのとでは意味が全く変わります、と分かったようなことを言う人がおられますが、そんなのは

全く関係ありませんし、ミネアポリスロータリークラブの25周年記念誌には、Service not self と表されています。

このService not selfの解釈をめぐる大きな過ちはオーレン・アーノルド(Arnold)が書いた「Golden Strand」という本にあります。この本には、フランク・コリンズの職業を弁護士と書いてありますが、実際にはコリンズ自身のスピーチ原稿では、果物卸売業ですとコリンズが書いております。また、「このコリンズの即興演説はシェルドンの有名な宣言He profits most who serves best.を最初に聞いてから、わずか数分以内になされたものであった。」と記載されていますが、実際は1911年8月23日にシェルドンの原稿がチェスレー・ペリーの代読で読み上げられました。そこで、コリンズの演説は前日の、1911年8月22日に行われたコロンビア川をさかのぼる船旅における即興演説でアーノルドは間違っております。

 このコリンズのスピーチ原稿の最終ページに取引の成功例をあげております。それは、ロータリアンである不動産業者が8,000ドルを超える金額の売買をした顧客を、相互扶助となるロータリーの会員がその顧客を紹介して、取引が成功をしたと紹介しています。 このことからもService not selfが無私の奉仕や自己滅却の奉仕でないことが明白に分かります。

 このように、正確な内容を理解したい方は是非一次文献をお読みになることをお勧めいたします。この一次文献につきましては源流の会のアーカイブにほとんど収録掲載されていますので、ご覧になって下さい。
 

(2015.12.14)

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