「ロータリーの3Hプログラムを終えて」その1

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「ロータリーの3Hプログラムを終えて」その1
2680地区 PDG 石井良昌(尼崎西)
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2680地区 石井良昌PDG

 識字率向上に役立つCLEという勉強方法があります。このCLEというのは子ども達の未来を開く言語教育法であると言われていますしConcentrated Language Encounterの頭文字をとっています。日本語訳では語学集中研修と言います。このCLEはRI識字率運動の父と言われるオーストラリア9630地区のPDGリチャード・ウォーカー博士が広めた と言われていますが、実はよく調べてみますと、オーストラリアの教育者のブライアン・グレイがこのCLEを開発しています。ロータリアンのリチャード・ウォーカー博士は、 まず、母国オーストラリアの原住民アボリジニに英語を教えるためにCLEで大きな成功を収めました。また、1987年にタイのロータリアンで現在RI理事のサワラ・ラタナビッチ 博士により、タイの僻地にCLEを導入し、これまで成果を挙げることが出来なかったタイの僻地で大成功を収めました。この結果、1992年からタイ国全土で、このCLEを国が採用して大きな成果を得られました。

 それではなぜ識字率向上は必要なのかと言いますと、非識字(文盲)と貧困は悪循環を繰り返します。そこで識字率向上は貧困から脱出するための極めて有効な手段となり、特に人口問題や環境問題にも大きく貢献いたします。この人口問題解決の最大の決め手は若い女性の教育であると言われています。ユネスコの発表によると世界の非識字者は約8億 人もおられ、その内の3分の2は女性で、現在地球上で年間8000万人の人口が増え続けています。世界の人口は2016年現在74億人超となっていますが、やはり世界の緊急課題 である人口問題や環境問題もユネスコは識字率向上にかかっていると指摘しています。

 RIが積極的に推し進め、効果をあげているのが、ライトハウス・プロジェクトと言われ識字率向上プロジェクトのことで、あとから来る人々のための道を照らす意味のことです。 この代表的なプログラムがCLEであります。このCLEの勉強方法は楽しんで学べる授業で、この授業や教材はすべて先生方の手作りで、子ども達の関心や自主性を重んじ、日常生活の実践的なテーマを取り上げ、教育範囲の枠を広げています。なお、子ども達ばかりでなく、先生方もこの教育法に対してやりがいを感じ、大きな充実感を得ています。

 2002年12月にマニラに同行した時、3800地区のノース・ベイ・イーストRCにCLEプロジェクトの参加要請を我がクラブの田中毅PDGがされました。その後2003年4月 から2007年まで3つのMG(マッチング・グラント)を実施し最終報告書を提出致しました。この間、私のガバナー時の2006年2月に3800地区と2680地区の2地区での提案書(プロポーザル)を提出し、受理番号TH59121をいただきました。そして2007年4月 21日にCLEによる3Hプログラムがやっと承認され、日本で初めてのものとなりました。 2007年9月に3HのCLE発足記念式典をフィリピンの文部省のラプス文部大臣の招待で、開催されました。この時このCLEをマニラ近郊の小学校に波及するように要請し、現在 約50万人以上の子ども達がCLEで英語を学び喜んでいただいています。

 3Hプログラムは今では期間が長すぎるのでありませんが、この3Hプログラムの目的は国際間の理解、親善および平和を促進するための方法として、人々の健康状態を改善し、 (Health)、飢餓を救済し、(Hunger)、人間的社会的発展を計る(Humanity)ことで、皆さんもご存知で、これらの英語の頭文字を取って3Hといいます。そこで、3Hはどのようなプロジェクトかと言いますと、クラブや地区が独力で実施するには大きすぎるような 長期的、自主自助、地域自ら参加するようなビッグなプロジェクトを言います。3H補助金が正式に承認されますと、通常は2年から4年間の長期のビッグプロジェクトとなるのですが、我々の3Hは足掛け14年にもなり、超長期なプロジェクトとなりました。

 フィリピンの3800地区でのCLE実施の3学校区はマニラ広域にあり、Mandaluyong、 Malabon / Navotas, Marikinaの最貧困地域で、小学生は固有文字のないタガログ語しか 話すことができず、交通標識などにある英語を理解してもらうために英語のCLEを実施しました。先生方のやりがい等については先ほど述べましたが、今後は数多くの先生方のレベルアップと研修と再研修が必要で、一定の水準を保っていく必要があります。

 WCS(世界社会奉仕)活動をするには、単にお金を送るだけではいけません。相手国のロータリアンやクラブ、地区の方々とまず信頼関係を構築することが大切であります。 現地でのロータリアンや関係者と共に行動し、実践活動を行なわずして、見たり、聞いたりするだけでは国際的なロータリー活動とは言いません。

(2016.06.07)


先生のお話しに真剣に取り組むこどもたち
2003年12月

フィリピンのこどもたちと記念撮影
2006年2月

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