ロータリアンの広場


「奉仕の理想とは?」
2680地区 PDG 石井良昌(尼崎西)
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2680地区 石井良昌PDG

 奉仕の理想とはロータリーの目的の中にあるThe ideal of service の直訳語で、ロータリーでよく用いられる言葉であり、単純に訳しますと、奉仕の理念となります。このフレーズの訳を奉仕の理想と訳したのが、皆さんもご存知の米山梅吉翁でありました。日本のロータリーの創 始者である米山梅吉氏は“This Rotarian Age”「ロータリーの理想と友愛」の翻訳にあたって、The Ideal of service を「奉仕の理想」と訳されたのです。Ideal はその語源から考えても「理念」と訳す方が理 解しやすいと思います。また、数多いロータリーの公式文書の中でも奉仕理念に触れているのは「決議23-34」のみであります。

 この奉仕の理念すなわち奉仕の理想には2つのドキュメントがあります。これらは1923 年の決議23-34 の第1項にロータリーは基本的 には一つの人生哲学であり・・という項目に1つ目のドキュメントで、奉仕哲学を表すService Above Self の「超我の奉仕」と2つ目のドキュメントで、実践倫理を表すHe profits most who serves best. の「最もよく奉仕する者、最も多く報いられる」というシェルドンの職業奉仕の理念があります。これらのドキュメントが皆さまもご存知のロータリーの2つのモットーとなっております。

 このService above self はこの決議23-34 でこの言葉が確立しておりますが、それまでは、Service, not self で有名なミネアポリスRCの2代目会長で果物卸売業のベンジャミン・フランクリン・コリンズが提唱した言葉だと信じている人が多いようですが、すでにミネアポリスRCに定着していたService, not Self という言葉を、1911 年のポートランド大会のエキスカーションとして開催されたコロンビア川をさかのぼる船旅の中で行われた即興演説の中で、たまたまコリンズが引用したに過ぎません。

 ミネアポリスRC25周年記念誌にはミネアポリスRCは、1905 年に広告の自主規制と相互扶助を目的として設立されたミネアポリス・パブリシティ・クラブを母体にして創立されたことが記載されております。どうやら、このService, not self というフレーズはこのミネアポリス・パブリシティ・クラブから引き継がれたものだと思われます。1911 年11 月に発行されたNational Rotarian の第2巻 第1号にコリンズの演説原稿の全文が掲載されていますが、その内容を精読しますと、今までロータリアンが独占していた会員同士の相互取引を、会員以外にも拡大しようという意味でService not self というフレーズが使われていて、私の解釈では自己滅却の奉仕とか、無私の奉仕などという意味は全文を読む限り、この解釈にはかなり無理があります。今までロータリアンが独占していた会員同士の相互取引を会員以外の人にも拡大しようという意味で、この Service not selfというフレーズが使われています。なお、ミネアポリスRCの25周年記念誌においてコリンズはシェルドンに会って He profits most who serves bestとの整合性を図ったという記録があります。

 また、コリンズのスピーチ原稿の最終ページにクラブ内の不動産業の会員が同じクラブの他の会員に顧客を紹介してもらい、8000ドルを超える売買をしたとコリンズは紹介し、コリンズ自身がこの時は相互扶助をやっていたという「あかし」となっていて、ロータリーの物質的相互扶助の恩恵に感謝の念を述べています。私の解釈では自分さえ良かったらいいという考えはよくないという意味で、Service, not selfは「利己と利他の奉仕」と訳せばよく理解できますし、コリンズは最終ページでは相互扶助を称賛しております。やはり、一次文献が一番大切だということが分かります。

 また、この1910年 代にはコリンズの Service, not self やService before selfなどの言葉が飛び交っており、1917 年頃から Service, not self に代わって、Service above self が頻繁に使われるようになり、1923 年に開催されたセントルイス国際大会に提出された第 34 号議案が決議され、決議 23-34 となり、ロータリーの目的に基づくすべての実践活動に対する指針であると同時に、ロータリーの2つの奉仕理念をロータリー哲学として確定した重要なドキュメントとなっております。

 もう1つの奉仕理念となるシェルドンの  He profits most who serves best.はロータリーが生まれる前の1902 年にシェルドンが創ったシェルドン・ビジネス・スクールの教科書として出版された、Successful Selling (商売に成功する方法)の第 6 巻のカリキュ  ラムの一節で使われていたフレーズであり、それをロータリーが借用していたに過ぎないことが分かりました。この He profits most who serves best. は職業奉仕という概念が生まれた1927 年以降に職業奉仕のモットーに変化して定着したことになります。言うまでもなく、シェルドンはロータリーに奉仕の理念を提唱した人として、高く評価されております。

 それでは、本題である奉仕の理想の The ideal of service は公式文書としてはどこに掲載されているかについて、触れてみたいと思います。これは皆さまのロータリークラブが何曜日の何時からどこで例会が開催されているかが載っている本で、RIが発行するオフィシャル・ダイレクトリーという本の最終ページに奉仕の理想の説明文が英文で次のように出ております。Rotary clubs everywhere have one basic ideal―the “ideal of service which is thoughtfulness of and helpfulness to others.

 ロータリークラブは人に対する思いやりを持って、人のお役に立つことという奉仕の理想という基本理念を持っている。)と書かれております。ここに出てくるthoughtfulness (思いやりを持つ)とHelpfulness (お役に立つ)のこの2つの言葉がロータリーの真髄であると言っても過言ではありません。

 しかし残念ながら2008年−2009年版まで Official Directory の裏表紙に書かれていたロータリーの歴史の要約という文章がIT化のため、消えてしまいましたが、手続要覧の中の決議23-34の声明の中に、また、ロータリーを愛する人の心の中にしっかりと刻まれております。

 この奉仕の理想という奉仕の理念をしっかりと理解し、今後のロータリー活動を続けていきたいと考えております。最後に、「奉仕の理想」とは「人に対する思いやりを持って、人のお役に立つこと」です。

(2016.07.28)

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