ロータリアンの広場


「シェルドンの森を巡る旅」を読んで
2680地区 PDG 石井良昌(尼崎西)
PDF版 ダウンロード

2680地区 石井良昌PDG

 源流の会主宰者の田中毅先生のそばにいて感じることですが、約17年間にわたり初めは「ロータリーの源流」にはじまり「源流の会」と名称を変更され、運営形態も会員制度に改め、現在デジタル化された蔵書数も26,000冊を超え、会員数も350名以上となっております。20世紀初頭に経営学という学問に基づいた奉仕理念を提唱して多くのロータリアンに恩恵を与えたシェルドンの偉業に敬意を払い、奉仕理念という原理原則を完全に理解して、はじめて対社会的奉仕活動の実践が結実することを強調されています。田中先生は経営学を語りながら私心を含まない点が尊敬できる主宰者だと誇りに思います。

 1908年1月にシカゴロータリークラブに入会してきた二人の偉人、ロータリーに奉仕理念を提唱したアーサー・フレデリック・シェルドン、ロータリーに組織を確立したチェスレー・ペリーがいますが、源流の会主宰者の田中先生はこの日本でのシェルドンの研究者として、第一人者であると言っても過言ではありません。単にシェルドンだけに言及するわけでなく、ロータリー全般に語っておられます。また、ロータリーの理論や実践活動もされ、2007年にはRIから「超我の奉仕賞」も受賞されています。

 このたび、田中先生の「シェルドンの森を巡る旅」を読みました。ロータリーの2つのモットーService above self「他人のことを思いやり、他人のためにつくすこと」 とシェルドンの言うHe profits most who serves best.「最もよく奉仕するもの最も多く報いられる」ですが、ロータリーという狭い社会に留まらせるモットーではありません。経営学の原点として、広く全世界の経済人に浸透させるべきモットーであると強調されています。社会のニーズに応えるためにはService above selfは欠かすことのできない実践哲学であり、この「他人のことを思いやり、他人の為に尽くす」という活動もHe profits most who serves best という経営学の基本理念が存在してこそ、初めて本領を発揮できると説いておられます。

 今回の本のサブタイトルは経営学に基づく奉仕理念と書かれていますが、現在ロータリーで語られる職業奉仕とは全く別次元の理念であると答えておられます。シェルドンは自らの文献の中で、職業奉仕Vocational Serviceという言葉は、一切使っておらず、職業を表す言葉として、Business, Occupation,Professionという言葉を使用しています。職業奉仕Vocational Serviceという言葉が使われた1927年のAims and Objects Plan 策定にあたって、マックス・ウェーバーなどの宗教的影響を受けたイギリス人のグループがつけた名称で、シェルドンの経営学上の奉仕理念とは全く次元の異なるものであって、最近の職業奉仕理念が変わったと嘆くこと自体が間違いであると断定され、ロータリアンの皆さんも源流の会の会員の皆さんもこの本を読んで理解してほしいと思います。

(2017.10.24)

「シェルドンの森を巡る旅」を読んで PDF版 ダウンロード

「ロータリアンの広場」トップページ