「今も輝くシェルドンの職業奉仕理念 その2」
2500地区 PDG 小船井 修一(釧路RC)

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2500地区
PDG 小船井 修一

カスタマーディライト
 近年、顧客の期待値以上のサービスを提供する事が問われ始めています。
 それはカスタマーディライトという考え方です。顧客が期待する以上の品質やレベルの製品やサービスを提供することで、顧客に予想外の歓びや感動を与えること。またはそのような感動を与える製品・品質やサービスレベルの度合いのことであり、顧客満足をより発展させた理念・尺度がカスタマーディライトで、顧客満足が「顧客の期待通りの製品・サービスを提供する」ものであるとしたとき、後者は「顧客の期待以上の製品・サービスを目指す」ものである。顧客に期待する以上の「サービス」をすることにより「感動」「喜び」を与えるためには、顧客に当たり前の便益を提供するだけではなく、それを超えて「こんなことまでしてもらえるのか!」「次は何をしてくれるのだろう!」といった感動や新たな期待を抱かせることが、カスタマロイヤリティを獲得するうえで重要になっているのです。
 この手法は サービス業・接客業では特に重視されていて、高いサービス品質に定評のある高級ホテルチェーン ザ・リッツ・カールトンでは、カスタマーディライトが顧客満足に替わる基準として使われています。日本では日本たばこ、全日空などが採用しています。
 私がかかわっている高級車メーカーも昨年から導入は始まっていて、重要な顧客ならメーカーや上司の判断を待たないで、現場の従業員の判断で顧客の期待以上のサービスを提供できる仕組み。(たとえば保証期間が過ぎても、現場の判断で即決で無償修理を実施すること…)

「企業の社会的責任」CSR  Corporate Social Responsibility
ヒートテックはありませんか?
Tシャツはありませんか?
子供服はありませんか?
 これは、どこかのNGOのプログラムではありません。みなさんよく御存じのユニクロのホームページから転載したものです。
 お客様から不要になったユニクロの服をおあずかりして、世界中の難民、避難民など、服を必要としている人々へ届けたり、工業用繊維などにリサイクルする活動です。先般NHKで放映されましたのでご記憶のある方もおられると思います。
 ユニクロのキャンペーンの特徴は、自社製品しか引き取らないことにあります。
 ユニクロは自社製品の優秀性をアピールしながら購入者である消費者もこのキャンペーンに参加することで「社会貢献」をしたという満足を得て、結果的にキャンペーンの主催者のユニクロは「ブランドイメージを高める」という「利益」を得ることができます。
 すなわち、企業の社会的責任(CSR)は企業が利益を追求するだけではなく、活動が社会へ与える影響に責任を持ち、消費者、従業員、投資家、及び社会全体を意味するステークホールダー(利害関係者)からの要求に対して適切な意思決定をすることを指します。
 日本では利益を目的としない慈善事業(寄付、メセナ)と誤解・誤訳されたこともあります。国際標準化機構(ISO)では社会的責任の呼称で国際規格ISO26000を策定(2010年11月発行)日本ではJIS26000「社会的責任に関する手引」として2012年3月制定されていることも付け加えます。

シェルドンとの共通性
 顧客満足・ロイヤルティ・カスタマーディライト、CSRの向上が利益の源泉となる、という考え方は、最もお客様の満足を得たものが、最も多く報いられるという言葉に変換できます。
 これは、はるか100年前、シェルドンの1911年第二回全米ロータリークラブ連合会へのメッセージ「継続的な利益をもたらす顧客の確保が企業の継続的な発展を実現させる」と共通すると思うのは私だけではありません。
 強調したいのは、ロータリーの職業奉仕はシェルドンによって100年前に出来あがった理念でありながら、今日の企業活動理念と根底の部分が全く同じであるということです。
He profits most who serves bestは、現代の顧客満足度、顧客ロイヤルティ等による経営手法の偉大な祖先であったと私は思います。
 むしろ、ロータリーの「職業奉仕」は現代で陳腐化しているどころか、むしろ時代がやっとロータリーの職業奉仕理念に近づいてきたといえます。
 最先端の道を100年以上にわたって歩んできた「職業奉仕」理念を実践する唯一の団体がロータリークラブなのです。

会員減少とロータリーの戦略計画 日本の会員数は減少しています。
 少子高齢化、人口減少、情報化社会の進展による産業構造の変化、地方都市の衰退、商工業者特に小売業の衰退、日本国のたそがれ等…
 外部要因を探せばいくらでも出てきます。しかし、問題は外部に要因を求めても会員減少は解決しません。

  • 入会してもつまらないから退会するロータリアン
  • ロータリークラブは金持ちが昼食を食べる集まりでしょう?
  • ライオンズの人たちはよく奉仕活動をしているけどロータリーは知らない。

 様々にロータリーは世の中の人々から「評価」されています。
 問題の根底はロータリークラブの「関係者(ステークホルダー)」の「評価」にあります。
 ステークホルダーは、ロータリアン本人、ロータリークラブ会員、ロータリアンの家族、ロータリアンの私的関係者(従業員、交友関係等)、ロータリー活動に係る地域社会(広くは国際社会)の人たち、あるいは行政機関等が入ります。
 ロータリークラブの活動が「満足」「ロイヤリティ」「期待以上の価値の提供」を関係者(ステークホルダー)にどれだけ提供し、その結果どのように「評価」されているかが問題です。
 会員減少という結果だけの評価では日本のロータリー活動は高い評価を受けていないのかもしれません。そして「評価」という言葉を「ブランド価値」という言葉に変えることができます。私たちはロータリーという「ブランド」の価値を高めなければなりません。価値が高まれば「世評」は良くなり、結果的に会員が増えていくでしょう。国際ロータリーは財団の「未来の夢計画」と共に戦略計画を策定しました。
 ロータリーの戦略計画は、三つの優先項目を柱としています。

  • 「クラブのサポートと強化」
  • 「人道的奉仕の重点化と増加」
  • 「公共イメージと認知度の向上」

 クラブの体力アップ、活性化。奉仕活動の中で特に人道的分野への比重を高めること。そして、広報(マスメディア、Facebook等のインターネットコミュニケーション、口コミ)を通して広く知らしめることによって、公共イメージと認知度が向上されるという訳です。
「公共イメージと認知度の向上」は地域社会でロータリーというブランドの価値を高める事と同じ意味と思います。
He profits most who serves best
⇒Rotarian profits most who serves best
主語を替えただけですが
 「もっとも多く奉仕したロータリアンが最も多く報いられる」という意味になります。職業奉仕が団体奉仕ではなく個人奉仕なので単数形にしています。
 ロータリアンはより充実したロータリー活動を「実践」する事によって「世評」の向上と結果的にロータリーのブランド価値を高めるという「報酬」を受け取ります。

田中作次RI会長は
 ロータリー会員の普段の職業奉仕という「実践」を通して社会に、従業員にそして家族を幸せにすることからロータリー活動の源泉があります。そして、ロータリーの奉仕活動を通じて、「平和」という「報酬」を受け取る事になっていくのです。とのスピーチは我々ロータリアンの活動に大きな示唆を与えてくれました。
 今まで述べてきたことはシェルドンの職業奉仕理念は100年以上経過しても陳腐化しているどころか、その輝きは増していることをお伝えし、ロータリー活動の充実をすることによってロータリーの価値を高めることが出来るともお伝えしました。ご参考になれば幸甚です。  (その1に戻る)

この原稿は一昨年11月25日大阪で開催された第40回ロータリー研究会で黒田元理事のモデレーターによる「職業奉仕セッション」のパネラー原稿と、昨年7月15日RI2550地区(栃木〜鈴木宏ガバナー)で開催された地区指導者育成セミナーの原稿を基にしています。
参考文献
 「奉仕の原則と保全の法則」「シェルドンの森」「シェルドン全集」田中 毅 著
 「ロータリーの日常の知識」三木 明 訳
 「誇りの意識の醸成と魅力的なクラブ」北清治PDG RID2500地区第七分区IM講演録

                     
(2013.11.16)
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