ロータリアンの広場


「会員増強の必要性と問題点」
第2740地区 直前PDG、地区研修委員長
 駒井英基 (佐賀南)
PDF版 ダウンロード

2740地区 PDG 駒井英基

 ここ数年、10年前ほどでは無いにしても全国のロータリークラブでの会員の高齢化と会員減少が見られます。何れの地区を見ても会員増強委員会のご努力で年度の途中では若干の増加を観ますが、年度末の6月末には、50人程度の退会が出てしまい、統計してみれば、現状維持か微増程度にとどまっている現状があります。

 クラブ単位や地区全体としてもこの問題に真剣に取り組むように努力されているにもかかわらず、毎年あまり状態は変わりません。これはなぜでしょう。
 既存の会員は毎年必ず1つ年を取りますから、若い新会員の入会がなければ、平均年齢は毎年1つずつ老齢化は避けられません。また反面少し会員増強に無理があった場合、5年以内の退会が目立つのも事実です。毎年新しく若い会員を入れていくことはクラブの活性化に繋がり、避けては通れない課題です。
 それらの理由として、ロータリーの目的や真の魅力や基本理念が何かを知らないまま活動しているので、何らかの些細な事が退会理由であることも多いように思われます。

 以前は、各クラブにロータリーの魅力を語ってくれた、クラブ長老がおられてロータリーの基本知識を教えて頂いたものですが、そのような炉辺会談も世代間の対話が減ってきている現在では、本来の意味での炉辺会談が行われているクラブも減少しているようです。それを補うようにRIは、DLP等を推奨して、各種研修セミナーを開催することが増えてきました。RLIなどの手法も取り入れられた地区もあり、それはそれでとても良いことでしょうが、問題は地区の主催する各種研修セミナーに、新入会員全員が参加するわけでもなく、各クラブから代表の方が参加されるのが現状ではないでしょうか。それをそのまま各クラブで卓話して頂いたりクラブでの研修会を行っていただければ、効果は上がるはずなのですが、そのようなことはセミナーに参加された方が、かなりのロータリー理解度が高い方でないと難しいようで、当地区では地区委員長を輩出しているクラブぐらいが、行っているのが現状ではないでしょうか。

 また、地区委員長を卓話で招聘して卓話いただく熱心なクラブもあります。全てのクラブがこのような地道な努力をしていただけたら、5年経過後に新入会員の1/3が退会してしまう事は無くなるのではないかと、願っているのですが。

 また、現在の団塊の世代の方は、日本ではクラブ会員の中心を占めておられることも多いようで、ここ数年は現在の会員増強もある程度の効果を上げられるのかもしれません。しかし、現実的にはそのような世代の方は同年齢の人口が年間200万人程度国内におられたのですが、今年の新成人は100万人を割ろうとしているのも現実です。その場合ロータリーの入会に適正な年齢となられる15〜20年後には、勧誘する対象も半減するはずです。
 だからと言って、ロータリーアンとしては、だれでも良いわけでもないので、ロータリーに適応できる人財を求めて、勧誘することは今の数倍の努力が必要となるはずですし、考え方も変えなくてはならないのでしょう。

 日本だけでなく世界の先進国はどこでも同様の問題を抱えているので、RIも危惧しているわけで、若い会員を勧誘すべき方法を工夫しているのでしょう。
 ローターアクターを会員に迎えることや、30歳代の会員の会費を半減したりすることをRIは近く規定審議委員会に提案する予定があるようです。また、ロータリーの魅力を会員ばかりでなく、世界の人々に認知していただき、無理に勧誘しなくても、若い方が自分から入会したくなる組織にしたい理想も持っておられるようです。しかし、私達日本のロータリーアンには、そのまま素直に理解できにくい面があります。

 長くロータリーを繁栄に導いていただいた先人のロータリーアンが築いてこられた、基本理念をしっかりと守り育てていかなくては、どこにでもあるただのボランティア団体となってしまいます。基本理念を守り育てることは、ロータリーの目的であると定款に明記してあります。要するにロータリーを育んできた誇りを忘れてはいけません。

 人間には、良い人財と交わりを持ち、自らも良い影響を受け、ロータリーアンとして誇りをもって仕事に取組み、自分を取り巻く取引先からの信頼を得て家族、従業員を幸せに導き、地域社会や世のために役立ちたいという本能があります。それらの意味でロータリーは、それらの全てが満たされる素晴らしいシステムとなっています。たとえ自分のクラブがブランドクラブではなく、小さなクラブであったとしても、ロータリーの仲間は一生続くのですから、自分の知り得ない多大な情報を与えてくれますし、人生の道場のようにも捉えることができます。

 これに、同じ地域のグループ内のクラブとの交流も有るでしょうし、地区として考えるならもっと幅も広がりますし、内容も充実いたします。
 よって、会員増強は、2〜3年程度の短期で物を考えるのではなく、5年以上の長期の計画性に基づいてとらえて頂きたいものです。会員拡大でなく、会員増強なのですから、ただ増やすばかりでなく、会員をロータリーアンとして育てて、会員の皆さんと共に自分のクラブを活性化して、一生を振り返り、自分がロータリークラブに入っていてよかったと思えるように育てていけるのなら、会員数の多少の増減は、あまり問題は無いと思えます。しかし、常に新しい会員を迎える姿勢を持ちつつ、基本理念を共有できる方なら会員の多様性を認めてあげることも大切なのではとも思っております。

(2018.11.16)

「会員増強の必要性と問題点」 PDF版 ダウンロード

「ロータリアンの広場」トップページ