“service”と“奉仕”を考える

2560地区 小山楯夫(新潟)

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2560地区 新潟RC
小山楯夫

 ロータリーにとって、切っても切れない言葉に“奉仕”があります。「奉仕の理想」に始まり、「超我の奉仕」「最も良く奉仕する者・・・」「五大奉仕活動」等々、どのページを開いても“奉仕”の文字が載っていないページがありません。“奉仕”という言葉は、誰でも使ったことがあると思います。

 [RIは、RIの唯一の公式言語である英語以外の言語でロータリー文献を発行するために以下の方針に従う。RIは、クラブと地区にとって最も基本的な情報に関し、フランス語、日本語、韓国語、ポルトガル語、スペイン語の翻訳版を提供する。以下省略] (ロータリー章典48.020.) 

とあり、公式ドキュメントには“奉仕”と邦訳されているので、勝手に変えると混乱が起こります。公式原語は“service”です。では、“service”を英和辞典で引いてみると、「奉仕、職務、公務、軍務、兵役、(役所などの)局、部、課、礼拝(式)、助力、世話、貢献、有益、給仕サービス、修理、食器の一式、(汽車、船の)便、(郵便、電話、ガス、水道などの)公共事業など、」おまけにテニスなどのサービスまで載っています。翻訳者は、当然、単純に“奉仕”を選択したのでしょう。これだけ“service”に広義の概念があるとすれば、“service”を単純に“奉仕”と同意語としてロータリーに取り入れて差し支えないのだろうかと疑問に感じました。

 そこで私は、“奉仕”をインターネット辞書で引いてみました。「○1神仏・主君・師などに、つつしんでつかえること。(神に―する) ○2利害を離れて国家や社会などのために尽くすこと。(社会に―する) ○3商人が品物を安く売ること。(特価で御―しております)(―品)」(デジタル大辞泉) たった三つの概念しか載っていませんでした。○2の概念がロータリー・ソング「奉仕の理想」の歌詞、“御国に捧げん我等の生業”に一番近い概念の様ですが、それでも良く理解できないのです。“奉仕”と云う言葉を用いたことによって、災害援助、地域福祉、日の当たらない弱者救済など、人道的、社会奉仕的活動が主流となっています。

 ロータリーの“service”はこれで良いのでしょうか。人道的、社会奉仕などの活動、プロジェクトを勿論否定しているのではありません。これ等の活動は、専門的な機関(赤十字、ユニセフ、NGOや市民社会組織(CSOs) )などがすでに存在し、立派に活動しています。ロータリアンは、個人として大いにこれらの活動に参加、支援すべきではないでしょうか。ロータリーの変えてはならない“理念”が変わってしまえば、他の奉仕団体や慈善団体と区別がつかなくなり、社会奉仕活動を競うようになってしまうのではないかと危惧してしまいます。

 文頭で掲げた「奉仕の理想」、「超我の奉仕」これ等の“奉仕”を、国語辞典で説明している三つの概念のどれを当てはめて読んでみても、端的に説明できません。米山梅吉翁がガバナー月信で“service”“奉仕”と書かず、“サーヴィス”とカタカナで書いた意図が理解できるのです。

 では、原語の“service”の使い方はどうでしょうか。20以上(もっと有るかも)も有る概念からロータリーの“service”概念は、どれを選択したのでしょうか。私は学者では有りませんので正しい事は判りませんが、強いて言うならば「職務、任務、貢献、務める」ではないでしょうか。クラブが会員に付与(若しくは貸与)している職業分類の異業種其々が、自分の業務、役務、任務、責務に倫理を高めると云うものではないでしょうか。“奉仕”は原語の“service”とはあまり関係の無い言葉の様に思えるのです。このことによって、ロータリーの理念や活動を難解、そして崇高のものにしてしまい、一般市民や若い人達の近寄り難い奉仕団体になっている様な気がするのです。

(2014.11.04)

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