「ロータリーの職業奉仕の歩みと今後への提案」その1
 2830地区 元RI理事 黒田正宏PDG
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「決議23−34」の第1節に、「ロータリーは、基本的には一つの人生哲学であり、それは利己的な欲求と義務およびこれに伴う他人のために奉仕したいという感情とのあいだに常に存在する矛盾を和らげようとするものである。この哲学は奉仕「超我の奉仕」の哲学であり、これは「最もよく奉仕する者、最も多く報いられる」という実践的な倫理原則に基づくものである。」と書かれて
います。この内容は現在も生きており、ロータリーの標語として使われています。
第1標語:「超我の奉仕」
1911年の第2回大会でフランク・コリンズはロータリアンが自分のためだけでなく、他人のために尽くす意義と重要性を説き、ロータリークラブは“Service,Not Self “を根本精神としなければならないと強調しました。その後に“Service
Above Self “(「超我の奉仕」)と修正され、1950年にロータリーのモットーとして公式に採用されました。1989年規定審議会でロータリーの第1標語に指定されました。
第2標語:「最もよく奉仕する者、最も多く報いられる」
アーサー・フレデリック・シェルドンは自分が経営するシェルドン・ビジネス・スクールで経営理念として“He profits most who serves best” を使用していました。それをシェルドンが1908年にシカゴ・ロータリーに入会して、ロータリーの奉仕理念として提案したのです。当時ロータリアンは実業人や専門職業人の集まりでしたので、この理念がしだいに職業奉仕の理念になってきました。
このモットーのHeは男性名詞なので、のちにはTheyに変更されました。1980年の規定審議会でロータリーの第2標語とされました。しかし、主語が複数形では意味が異なるということで2010年の規定審議会でさらにOneに変更されました。シェルドンは「商売のしかたや経営管理でしっかりした奉仕を続けて行なうことによって、商売の利益促進が得られる」と述べているのです。
その後、「標語に使われているProfitという言葉は、現在の英国やアメリカでは、むしろお金そのものを意味するようになったので、最近はこの標語はあまり使いたくない」と欧米のロータリアンは述べており、第2標語になりました。
しかし、シェルドンが説明しているのはお金」そのものだけでなく、それをシェアすることで社会に貢献することも含まれているのです。シェルドンが説く「奉仕の理念」の背景には宇宙の摂理に基づいた奉仕哲学が広範囲の立場から、
深く説明されています。
110数年前にシカゴ・ロータリークラブは会員の親睦と相互扶助を出発点としましたが、すぐに社会的・倫理的責任を自覚しました。職業奉仕はこの社会的・倫理的責任感を育成しながら、自分の職業に誇りを持ち、客に心をこめて仕事を実践することです。しかし、人間はともするとマンネリ化して、経営的に厳しくなると心をこめることがおろそかになりがちです。そこでロータリアンは例会出席を大切にして、お互いに切磋琢磨し、奉仕の心を維持し、高めるようにしてきました。この基本的な部分を職業奉仕の土台にして、さらにクラブとしての職業奉仕も実践して欲しいと国際ロータリー(RI)は望んできました。
それを、「ロータリーの目的」、「四つのテスト」、「職業奉仕に関する声明」、「ロータリーの行動規範」、「五大奉仕部門」や「職業奉仕入門」などで勉強し、確認しました。RIはその後、例会出席を重視する文化から、奉仕プログラムに
参加することを重視するする文化に変わっています。奉仕活動の比重も人道的支援活動に移りました。(続く)
(2018.01.06)
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