ロータリアンの広場


「継続性を求めるプロジェクト・・・VTT」その2
2680地区 大島秀夫 (神戸垂水)
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2680地区 大島秀夫
(神戸垂水)

 このロマンチックドラマを少し紹介する。私は医師として、当時神戸大学医学部泌尿器科の文部教官、しかも医局長(管理職の辞令あり)。インターンボイコット、医局解体と民主青年医師連合がわれわれに言いがかりをつけて来る。このアクティブな青年たちの中に篠山の岡本信洋君はいた。当医局としては関西では珍しくあまりこじれる事なく収まった。しかし、彼らは大学でインターンは行わず、医局に入局することなく巣立って行った。その後どうなるのか心配していたが。

 一方私はその後ロータリークラブに入会し、途上国の公衆衛生について関心を持っていたが、ある日、今井鎮雄先生から「ネパールに病院を建てろ」と命令が下り、石井良昌PDG、中尾信彦氏(尼崎西)水谷重康(宝塚武庫川)と共に足掛け4年で岩村記念病院を建立した。2001年1月23日の竣工だった。  帰国後すぐに写真を添えて中嶋邦明ガバナー月信の3月号に投稿した。この原稿が採用になり、これを見た岡本信洋先生はすぐに私宅に電話。私宅からデカンショ街道をぶっ飛ばし岡本病院へ。その玄関で「やぁ30年ぶりやな」と旧交を温めた。

 ここから岡本先生の出番が回ってくる。ネパールのアショップ君がトランク1つで岡本病院に現れ神戸大学大学院で腎内科を勉強したいと言う。手続きをし、神戸に下宿させ3年以上岡本医師が面倒をみた。これは典型的な個人奉仕である。先日お会いしてこの13年間で岩村記念病院の関係でどのくらい、私的な費用を使ったか聞いたところ指を3本立てた。(医療器具等を含め3000万円?)また、一昨年はネパールから技師さんを来日させ研修を行ない、親身なお世話をし、指導された。岡本信洋先生の多大な国際貢献には、頭が下がる思いである。

 これもロータリーで言う奉仕の理想すなわち、「人に思いやりを持って、人のお役に立つこと」を実践されている。こう言った実践をするには、ロータリーの奉仕の心、奉仕の理念を十分に理解され活動されているのだ、とつくづく思った。 今回のネパールの岩村記念病院看護師の能力向上プロジェクト(職業研修チーム=VTT)はグローバル補助金を使ってのもので、外国から日本で研修する医療関係では日本初であるらしい。
 しかし、ここまで書いてみると自然の流れで、何も不思議でもなんでもない。2014年2月、石井良昌PDGから相談を受け申請書の空欄を埋めていくと妙な事に私自身がすっぽりとはまってくる。
 石井さんと組むと何となく力が入る。さて、研修内容のモニタリング(成果)であるが臨床は水谷重康先生に任せて、私はもっぱら公衆衛生学的見地から質問を投げかけた。結核の問題、乳幼児の死亡率など母子手帳等は。この岩村記念病院は首都カトマンズから車で約30分のバクタプルにあり、貧しい村である。

  この地区に限定して母子問題に取り組み、10年後改善されたとすると、今回の3人の看護師の中からネパール政府の女性厚生大臣が出るかも知れない。 これは2010年の「未来の夢計画」の一つになればいいと思う。
 大島・水谷と80歳を眼前にしたロートルを活用させてくれた石井良昌パストガバナーに感謝する。本年度の滝澤功治ガバナー、室津義定ガバナーノミニー、 吉岡博忠VTT小委員長3名がネパールを昨年夏にネパールを訪れ、岩村記念病院を視察し、またパタン・ウエストRCと交流された事には大変感謝しています。こういった現地調査が一番大切である。

 さいごに、この岩村記念病院の建築計画から早や18年にならんとしているが、 このプロジェクトは超長期なものになり、今ロータリーが求めている継続性のあるプロジェクトで、建築だけに終わってはいけない。そこの活用方法や、そこに働く人たちの能力向上まで関与し、ロータリーで言う「人を育てる」という目的達成まで微力ながら尽力していきたい。
 2015年2月にモニタリングとして、提唱クラブである尼崎西RCの石井良昌PDGや関係者が看護師らの成果を視察に行かれる。

(2015.01.28)

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