「職業奉仕」の10分スピーチ
(2013年10月31日 於:多摩東グループ親睦合同例会)
2750地区 PDG 新藤信之(東京立川こぶし)

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2750地区 PDG 新藤信之

 今年度、地区職業奉仕カウンセラーの東京立川こぶしロータリークラブの新藤です。
 本日は多摩東グループ親睦合同例会ということですので、あまり固い話しは如何なものかと思いましたが、豊島ガバナー補佐からの職業奉仕についての卓話をというご依頼でもありますので、10分ほどしばし、ご辛抱いただければと思います。
 私は今年、地区代表議員として規定審議会に参加してまいりました。それとの関連で、職業奉仕の話に触れてみたいと思います。

 皆さんは、2011年9月のRI理事会会合で、手続要覧にもある、1989年規定審議会で採択された「ロータリアンの職業宣言」が「ロータリーの行動規範」に変更されたのはご存知でしょうか。

 理事会会合抄録には、変更した理由として「現在、地域のリーダー、定年退職者、一時的に事業または専門職から退いている方々がクラブに所属している」ということを考慮した、とあります。
 少なくとも2004年までは、「ロータリアンの職業宣言」は「職業人としてのロータリアンの高い倫理基準に基づいた行動規範」でありました。
 その内容を、手続要覧に従ってお話ししますと、はじめに「事業または専門職務に携わるロータリアンとして、私には以下のごとく行動することが求められている」として、8項目が掲げられています。
 そして最後に、この宣言との関連で、2004年規定審議会で採択された決議案が書かれております。

「2004年規定審議会は、この宣言を更に指示するため、すべてのロータリアンが、事業と専門職の倫理に対するロータリーの献身を体現するような生き方を引き続き助長し、また、21世紀を迎え、 奉仕の2世紀に移行するにあたり、ロータリークラブが、高度の道徳的水準を実践している人を惹きつけ、探し出してきたこれまでの優れた実績を土台に発展して行くという決議案を採択した(04-290)」とあります。
 既にご報告しましたが、今年の規定審議会で「仕事をしたことのない人または仕事を中断している人を正会員として認める件」(13-43)が採択されました。内容を付け加えますと、「子どもの世話または配 偶者の仕事の手伝いのために仕事を中断した人、または同じ理由のために仕事をしたことのない人」は正会員になる資格があるという採択内容です。
 先ほど紹介した理事会会合抄録にある、定年退職者、一時的に事業または専門職から退いている方々は2001年の規定審議会で採択(01-148)されていますし、地域のリーダーはロータリー財団学友と共に、2007年の規定審議会で採択(07-329)されています。

 今回、一定の理由で仕事を中断した人、同じ理由で仕事をしたことにない人が正会員になれるようになりました。
 2001年以降のロータリーは、正会員という範疇で、その地域の職業を代表しない人々も加わり、現実に事業または専門職種に携わるという意味での職業人の集まりに限らなくなりました。それ以前 には、職業を代表しないシニア・アクチブ会員、パスト・サービス会員、名誉会員がありましたが、正会員と区別されていました。
 RI戦略計画の中の「本質」には「地域の人々の生活を改善したいという情熱を社会に役立つ活動に注いでいる、献身的な人々の世界的ネットワーク」とあります。ここにも、もはや、職業人という言 葉は捨象されております。

 今やロータリークラブは、RI定款第5条に規定された正会員資格を持つ、地域を代表するという意味での職業分類の原則と関係のない、さまざまなロータリアンによって構成されているのが現実です。 このようなクラブの構成員である会員の他にも、21世紀を境に、国際ロータリーは明らかに変貌してきております。
 国際ロータリーの構成員であるクラブについても、前回の規定審議会でE-クラブが採択され、今回、衛星クラブが採択されました。将来、今行われている試験的プロジェクトの中から、また別の種類の クラブが誕生する可能性があります。

 会員やクラブといった組織の基本構成部分が変わるということだけでなく、組織の運営や管理の方法も変わってきております。
 例会出席より奉仕プロジェクト参加を重視したRI理事会の考え方(制定案13-11)や、ロータリー財団との連携強化による管理方法(13-113、13-114)に見られるように、組織を強化維持するためのRI主導の戦略計画が進行しています。
 今のロータリーの現状は大変厳しいものがあります。今ほど、ロータリアン一人ひとりの自立性と主体性が求められている時はありません。
 職業は個人の一身専属的なものです。また、職業は一人ひとり異なるものです。
地区やクラブによる団体活動を強調する前に、先ず、ロータリアン個人が、先人の築いた奉仕の理念に基づき、それぞれの地域社会の中で、職業人として、或いは職業を超えた人として、ロータリーを 根本から考え、行動することをお願いし、話しを締めさせていただきます。

(2014.01.10)

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