ロータリアンの広場


「RI戦略計画は何のためにあったのか/然るに今後は?」(2)
第2750地区 PDG
 新藤信之 (東京立川こぶし)
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2750地区 PDG 新藤信之

2004年6月の規定審議会で、1922年ロサンゼルス国際大会以来80年ぶりに、RIの目的の改正とRI理事会任務の追加を採択し(制定案04-215、制定案04-217)、と同時に、長期委員会を設置し7つの目標を内容とした長期計画を採択しました(決議案04-219)。この3つの立法案が、現在の国際ロータリーの戦略計画の元となっており、これが採択されたことによって、「国際ロータリー理念の再編成」が始まったことを2015年10月の富山での源流の会で講演させていただきました。(「続・国際ロータリーの変質」)

 今回、私が指摘する「実質的に削除した部分」とは「RI定款第3条の目的を果たすため」です。RI戦略計画は、現状はどうであれ、RI定款第3条の目的を果たすためでした。明らかに同時に採択されたRI理事会の任務の具体的内容は、「ロータリーの目的を推進するようなプログラムや活動を追及しているRI加盟クラブとRI地区を支援すること」であり、その目的を果たすためでした。  一体全体、今回の削除は何を意味するのでしょう。それには過去の戦略計画の歴史的な推移を正確に分析なければなりません。 RI戦略計画は2004−07年度と2007-10年度当初の7つの優先項目が2010-13年度3つの優先項目に改訂されました(ロータリーの友2007年10月号P32〜P35及び2012年1月号P12〜P14南園元RI理事執筆を参照)。

 この経緯の中で、2010年11月理事会会合決定38号により、1991年来の「国際ロータリーの使命」がRI戦略計画の中に取り込まれ、「Core Essence本質」と「Core Values中核的価値観」が新たなRI戦略計画の中に加えられたこと、そして更に、2014年10月理事会会合決定38号によって優先項目に新たな項目が加わり4項目になったことを、前述の「国際ロータリーの再編成」でお話しさせていただきました。そして、この第4項目が加わったことにより、最早、RI戦略計画は地区とクラブのためにあるものではなくなった、ということを申しました。2014年時点でRI戦略計画は、3つの優先項目を掲げた時にRI理事会が明言していた「地区とクラブを支援するため」ではなくなったことは明らかです。しばらくの間、この追加項目の公表を避けていた理由は、整合性を保つためにはどうすればよいかを考えていたのかもしれません。当時、RI理事会とロータリー財団委員会は合同戦略計画委員会を設立し、蜜月関係にあり、二つの組織がいかに協力し、それぞれの戦略計画を推進するか苦心しておりました。

 RI理事会が国際ロータリーの方針の立案や地区やクラブのためのプログラムの考案だけに留まれば、国際ロータリーの目的を果たしている範囲内です。それが方針を自ら実践に移したり、プログラムを自ら実施したりすれば、それは国際ロータリーが「ロータリーの目的」を実践することになり(RI定款第4条の「ロータリーの目的」を果たす実践主体はロータリアンです)、本来の任務である管理運営を逸脱していることになります。  実はRI理事会は、2016年4月理事会会合決定157号で、ロータリー章典第44 管理運営 第26条 国際ロータリーの中で、三つの重要な項目を削除しています。当時のロータリー章典2016年4月版の26.020(The Object of Rotary)26.020.1.(Corporate Social Responsibility Practices)26.030.(RI Administration)の三つです。

  今回の「実質的な削除」と関係するのは、上記三番目の「国際ロータリーの管理運営」の削除です。
当時のロータリー章典は英語版のみでしたので、日本語版2009年6月版による日本語訳は、26.030.RI 管理運営RIの管理運営は、加盟クラブと個々のロータリアンによる奉仕の理想の適用を通じてロータリーの綱領を推進する限りにおいてのみ、重要である。 RIの管理運営の根底にある原則は、加盟クラブの大幅な自主性である。(以下省略)

 今回の削除とRI管理運営の削除から考えられることは、クラブとの関係上のRI理事会の立ち位置の変化です。1922年国際ロータリーと改称された時は、国際ロータリーは自立したロータリークラブの集合体でした。そしてロータリークラブは奉仕する人の集まりでした。ですからその時、現RI定款第3条のRIの目的として(b)と(C)を定めたのです。そして2004年の規定審議会で80年ぶりに(a)が加えられ、RI戦略計画が「地区とクラブを支援するため」にあることを示しました。歴史的状況が変化して、RI戦略計画の実質を変化させざるを得なくなったのでしょうか?
今回の規定審議会で採択されたRIの財務を強化する制定案19−93と見解表明案19−117は単に名称の変更でもなく、課税上の地位の変更でもありません。RI戦略計画を新たに位置付け、財務を強化することによって、国際ロータリーがクラブに代わって実質的な活動主体となり「世界的なネットワークを利用したグローバルな活動」を展開する新たな出発点に立ったことを意味します。

 このことがRI細則第5条 5.010.理事会の任務で、「RI第3条の目的を果たすため」を削除した真意です。 更に、今後の国際ロータリーの姿を予測するなら、今回、審議会に関する8件の制定案が提案され、圧倒的多数で6件が採択されたことにより、RI理事会主導による決議/規定審議会が理事会の思うままに開催できるようになりました。今回「グローバル会員制度」は日の目を見ませんでしたが、採択制定案19−72「ローターアクトクラブにRI加盟を認める件」に続き、クラブに所属しない会員としての「グローバル会員制度」が「国際ロータリーの加盟の幅を広げる」ことを理由に、RI理事会から近くに提案されることでしょう。それが採択された暁には、国際ロータリーは世界最大の奉仕団体としての道を歩み出すことになるでしょう。