ロータリアンの広場 |
1986年2月、国際ロータリーが100万人の会員を数えるほどに拡大した頃の、立川こぶしロータリークラブの創立に当たって、初代村上嘉幸会長は「ロータリーの精神・エネルギーは何か。皆でその秘密を探り、活動の中に生かし“今日から明日を考えるのではなく、明後日から明日を見る”という視点で、奉仕、親睦の輪を拡げたい」と語りました。「明日」を今日からではなく、明後日から見る、とはどういうことなのでしょうか。それ以来、この特異で含蓄に富む言葉は、私の心の奥底に沁み入り、時に思い出し、私を導いてくれました。 明日のロータリーを考える視点、会員やクラブが一つになって活動するために必要なものは何なのか?それは基本的に、創立時も35年経った今も変わりはありません。ロータリアン一人一人が抱く夢を、会員同士が共有できる「明後日の夢」に昇華し、それを明日のクラブ活動に反映することです。ロータリーは草の根運動が基本です。草の根とは一人一人の“ロータリアン”です。人にはそれぞれの歴史があります。当然会員一人一人の夢は異なります。一人一人の夢を大切にし、それをできるだけ多く共有してこそ、クラブ活動に真の「多様性」を発揮できます。若者の会員や女性の会員を増やすこと「会員の多様性」は本質的なことではありません。 私は、明日のロータリーを考える視点として、もう一つ「過去を正しく分析しなければ未来を語ることはできない」というウィンストン・チャーチルの言葉を大切にしています。これまで、「国際ロータリーの変質」という小論等でロータリーの変化について幾度か言及してきましたが、21世紀に入り最近になって、組織と理念の再編成がいよいよ最終局面を迎えたことを確信しました。チャールズC.ケラーRI会長(1987-88年度)の当時の「地区リーダーシッププラン(DLP)」を起点として、日本では昨年明らかにされた「未来のロータリー形成Shaping Rotary’s Future(SRF)」に到る一連の国際ロータリーの組織と理念の究極の再編成です。
SRFの構想に関し、2022年4月規定審議会(COL)でRI理事会提案 「理事会は、試験的プロジェクトとして、国際ロータリー定款及び細則に合致しない地区を認めることができる」という案が採択されるでしょう。
国際ロータリーの変質の過程で共通して言えることは、RI理事会がトップダウン方式の管理運営により権限を強化する過程で、本来RI理事会が責任を持つべきもの、保障すべきものをクラブの責任に巧妙にすり替えてきたことです。今回も「地域化」の名の下に「クラブの自治権はクラブが守るべきもの」と宣言し、RI理事会はその責任を放棄するでしょう。2016年4月RI理事会決定157号でロータリー章典26.030.「RI管理規定」を削除(一部8.010.に移動)と2019年10月RI理事会決定30号で28.005.「A.国際ロータリーの構造」の削除により、既にこの布石は打たれています。
(2021.03.27)
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