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昨年のロータリーの友10月号の友愛の広場に、明石東RC在籍の多胡謙吾氏の「在籍55年に思う」という小論が掲載されました。 この小論に凝縮された氏の卓越したロータリー歴史観には、共感を遥かに超えて頭の下がる思いがしました。その小論の最後に、「『決議23-34』にはクラブが社会奉仕活動を自主的に選ぶ絶対的権利があり、RIはそれを命じたり禁じたりしてはならないことが明記してありましたが、2019年『手続要覧』では『命じたりしてはならない』が突然削除されました。(中略)果たして今後、クラブの自主権は守れるのでしょうか」という悲憤にも似た指摘がありました。
2010年理事会決定39号で、理事会は、事務総長にロータリー章典を再検討(Review)するよう要請しております。そして、第1章「一般規定」を除き、2017年1月理事会決定87号を最後に、すべての章が見直され、更新されました。このロータリー章典の見直しの期間には追加・変更されたものや削除された重要条項が数多く含まれていました。具体的事例は、ここでは割愛しますが、私はこのことを「ロータリー章典、空白の8年間」と呼んでいます。 理事会決定がロータリー章典に掲載されるまでの手続は「ロータリー章典49.050.方針の法典化」に規定されています。問題は、これらの追加・変更・削除の具体的な文言が、その都度、RI理事会議事録に補遺資料として添付されればよいのですが、ほとんどが非公表で添付されません。 後でロータリー章典上の掲載を確認しなければなりません。この意味で、RI理事会決定は英文以外では知らせられないまま、非公表に近い形で変更され続けたと言っていいでしょう。 2010年11月決定44号で、2008年11月決定58号「奉仕の機会に関する項目」の削除に続き、常設プログラムから「世界社会奉仕プログラム」を削除しました。一見、何でもないように思われますが、社会奉仕事業をする上で、クラブの「自主的な選択権」を奪ったという意味で、これも「クラブ自治権」に関係する削除と言っていいでしょう。 このスライドが、2016年4月理事会が削除、一部移動したクラブ自治権に関するロータリー章典上の条文です。 「決議23-34」以来、国際ロータリー、ロータリークラブが歴史的・伝統的に守ってきた「クラブ自治権」を文章化したものです。 1963−64年度のRI理事会は1963年11月理事会決定90号で「国際ロータリーの基本方針」を採択しました。この「基本方針」を次回紹介しますが、このスライドとほとんど同じ文章です。(1964年手続要覧P.7)。2016年理事会は、この「中興の文章」を、いとも簡単に削除、移動してしまったのです。この理事会決定の持つ意味を明らかにしなければなりません。 (つづく)
(2021.04.12)
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