ロータリー理解推進月間に思う
“温故知新”奉仕の理想など

2710地区 PDG 諏訪昭登(広島西)

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2710地区 PDG 諏訪昭登

 1月はロータリーについて正しく理解することを特に強調する月間です。ロータリーで最重要なキーワードは守るべき唯一の目的(綱領)で一貫して基盤とされている「奉仕の理想」であります。しかしながらその説明はどこにもありません。唯一、公式名簿の裏表紙に、チェスリー・ペリーが書いたと言われる一文が2008-09年度まで載っていました。そこには、「Ideal of Service (奉仕の理想)」とは“thoughtfulness of and helpfulness to others”とあり、即ち「他者への思いやりと手助けである」とわかりやすい説明です。(現在はIdeal of Service Above Selfという不思議な造語を使った異なるニュアンスの文章になっている)しかし、これだけでは、職業人の組織であるロータリーでは一般奉仕概念の表現にとどまると思われます。

 日本では、敵性語を日本語化せよとの大戦直前の圧力によって、原語“Service”を「奉仕」と訳さざるを得なかったごとく、ロータリー用語の日本語訳には多くの違和感が存在することになりました。日本語(漢字)でロータリーを語ると大きな誤解を生じることがあり、「奉仕」も日本的に自己犠牲を前提とするものではなく、共存共栄の原理で常に他人の役に立とうと考え実践しようという、人間として最も尊重すべき理念だと考えるのが正しいでしょう。
 他方で、奉仕の理想を表す、より理論性がある表現は、1923年、セントルイス大会決議34号(通称23-34)にあり、当時紛糾していた“I serve”派と“We serve”派、実業倫理派と宗教倫理派との争いを見事に解決し、ロータリーの理念と実践原則の大方針を示し、現在でもその意義と効力を維持し続けています。23-34の第一項目には、「ロータリーは利己と利他の調和を求める人生の哲学である。それは『超我の奉仕』の哲学であり、『最もよく奉仕する者、最も多く報いられる』という実践的な倫理原則に基づくものである」とあります。前者コリンズの“Service Above Self(元は“Not Self”)と、後者シェルドンの“He(One) Profits Most Who Serves Best”は、まさに一体となって奉仕の理想を表現しているものと思います。

 さらに言うならば、綱領の“Object of Rotary”の主文に、「有益なる事業の基礎として奉仕の理想を鼓吹し・・・」とありますのは、目的は、いわゆる職業奉仕が第一義たることを明示していると考えます。二つの標語は1950年には正式にロータリーの標語とされましたが、シェルドンの退会(1930年)後の流れは複雑な歴史的経過のなかで、彼の言う職業奉仕理念によって自己の利潤を確保しながら社会に貢献しようというよりも、コリンズ本人も思わざる解釈によって社会奉仕理念とされた標語の信奉者が優勢になってきている姿が見えます。1989年には標語の順序が入れ替わって「超我の奉仕」が第一標語とされたことからも、ロータリー思想の流れの変化を感じます。

 1960年代からの世界社会奉仕概念の伸長とロータリー財団の巨大化に伴う度重なる23-34削除提案は、その都度、日本を中心とするシニア・リーダー達の努力で撤回を重ね、今も厳然とその示す不易・不変の理念が確認されています。現在RIは、One Rotary構想と称して、ロータリー財団と目標を共通化して一元化の方向を目指しています。
 また、RI戦略計画からうかがえる大きな財力と人数の力でボランティア活動をする組織を目指すのならば、ロータリーの原点たる職業奉仕や自己研鑽での人間形成などとのギャップが深まるばかりではないかとの憂いが多く聞かれます。二つの標語で「超我の奉仕」が第一標語とされていても、少なくとも“He Profits・・・”を等しくワンセットで強調しなければ、職業人の組織としてのロータリーの理念は希薄なものとなります。

 今こそ“温故知新”の気持ちで、皆様がクラブにおいてロータリーで大切な奉仕の理想など歴史的沿革を辿り、現状認識を深めて真剣にロータリーの将来を考えて欲しく思っております。
 なお、綱領が目的と改訳され「奉仕の理想」は現在「奉仕の理念」と訳されていますが、敢えて懐かしい旧訳を使用しました。原語“Ideal of Service”は変わっていません。
                                                                      

(2013.12.13)

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