ロータリアンの広場


ポリオ撲滅活動の終結
2680地区 PDG 田中 毅 訳(尼崎西)

田中 毅PDG

 ロータリーがポリオ撲滅活動に取り組んでから丁度40年になります。
その間、各国政府、WHO、CDC、私的財団そしてロータリーの努力によって、ほぼ2桁の発生率まで下げることに成功しました。ロータリーは総予算の15パーセントを負担しているので、その功績は大きく称えられると思います。
 ロータリーはボリオ撲滅を最優先事項にして、これが終了するまでは、他のプロジェクトは行わないと表明しています。当初は加速度的な勢いで、患者数が激減しましたが、この10年ほどは、「あと少し」「あと少し」と言いつつ、患者数は横ばいの状態です。

 その主な理由は、無知や宗教上の理由による予防接種拒否と戦乱による接種不能地域の拡大です。
後者による医療活動不可能な状態はむしろ拡大の方向に向かっております。予防接種に関わる人を対抗勢力のスパイとして殺害した例は、2012〜2015年に61名、2016年7名、2018年2名と発表されています。
紛争地帯における予防接種と発病調査は生死の危険を伴う状況で行われているのです。

 CDCの発表によれば、2017年度バキスタンのポリオ患者は7名とされていますが、インターネットによって丹念に検索してみると大きな差異があることを発見しました。
私が得た至近の情報によると、パキスタン西北部アフガニスタン国境部バラジョール( ベシャワールから50Km )の2018年度における患者数は12名であり、隣接するカリマバード、チトラル地方は戦乱によって、ワクチン投与も患者数調査も不能と記載されています。

 交戦地域やその周辺では、武装勢力の援護無しに予防接種や患者数の調査を行うことは不可能なのです。ちなみに、患者数の調査は現地の調査員の報告のみであって、第三者機関による現地調査は行われておりませんし、その調査を行うことは事実上不可能です。
なお、アフガニスタンに於ける患者数は25名と記載されています。

 インターネット上には、CDCやロータリーの発表とは大きく異なった数字が発表されています。まさに、戦時中の大本営発表と同じような感じがします。
ロータリーは毎年、ニューデリーでワクチン一斉投与を行っています。日本からも多数のロータリアンが参加していますが、どのような意義があるのでしょうか。発生地域の中で行ってこそ、ポリオ撲滅運動に参加したと豪語できるのです。発生率ゼロ地域におけるワクチン投与は、参加したことに意義を感じる、まさに茶番劇に過ぎません。
武装組織の警護を得ながら、こういった危険な辺境の地においてポリオ撲滅を行う意思と実行力を持っていてこそ、ポリオ撲滅を標榜する組織だと誇れるのです。

 残念ながら、学問上からも、世界情勢からも、ポリオ撲滅運動は延々と続くものと予想されます。ロータリーは規約上も組織構造上も、特定の奉仕活動を長年にわたって継続する組織ではありませんし、武力を背景に活動する組織でもありません。
 ポリオ撲滅運動の発端を担ったロータリーの功績は称えられなければなりません。しかし、今後の活動は、既存の専門組織に委ねて、地域社会・国際社会が切望する新たな奉仕活動に挑戦すべきだ時期が到来したのではないかと思います。
 環境問題、水資源開発と保存、食料問題、世界経済等々、ロータリーが関与すべき活動分野は無限に存在します。
 規定審議会において、ロータリーにふさわしい新たな奉仕活動が制定されることを祈念いたします。

(2019.02.10)

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