「自分の心を調整するなら、いつも楽しく安らかなり」
2650地区 GN 刀根荘兵衛(敦賀)

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2650地区 GN 刀根荘兵衛

 ロータリー財団の新補助金を申請すべく、タイ北部山岳少数民族の集落を訪問した。現地は、チェンマイから194キロ南西の山間部にあるオムゴイ郡にあり、海抜約1200メートル、ミャンマーとの国境付近にある地域である。この地域には昔からの少数民族が多く住み、町役場からあまりにも遠く離れている山の中のため、戸籍も登録せず、国籍の取得のない住民もいる。当然、政府からの支援も受けられず、タイ語の読み書きもできない人も多い。

 同じタイとは言いながら、首都バンコクなどと比べると別世界の感がある。その多くの村には電気はなく、もちろんテレビもない。また、子供達は他の町などへ遊びに行くこともない。村の学校はバラック建て、窓もなく、屋根も少し壊れかけている。トタン板の屋根は飛ばないように、屋根に数本木材が置いてある。この学校の生徒数は約70名。半分は幼稚園児で、我々が到着した午後3時頃は、地面に敷いた毛布の上に芋の子を洗うように折り重なって昼寝をしていた。先生は2名しかいない。一人は地元出身で先生の資格を持っている20歳台後半の女性。もう一人は高校卒業の20歳くらいの補助教員であった。しかし先生二人ではとても70名の児童生徒には手が回らず、十分な教育はできないのは明らかだ。教科書も全員には行き渡らず、数名で一緒に勉強している。

 生徒のお昼の給食は御飯だけは自分の家から持ってくることになっている。学校の小さな厨房で作る副菜は、毎食13バーツ(50円)の実費を徴収するという。しかし、実際にはそのお金を払えない生徒も多い。
 同行した地元の教育担当者の話によると、まだこの学校はマシな方で、机も椅子もなく、地面に紙を置いて教えているところもあると言う。
 しかし、こんな劣悪な環境でも子供達は明るく、懸命に勉強し、ひたむきに生きている。
 それに引き換え、今多くの日本人が物質的に恵まれた生活をしながらも、心の空しさを抱き続けている。この心の空しさを克服するにはどうしたらよいのだろうか。

 昨年6月に日本を訪問されたダライ・ラマ法王はこのように話された。
「自分のためだけに生きるのではなく、人に喜びを与え尽くすことでのみ真の喜びが得られます。多くを与えた人たちは多くを与えられます。人に尽くすのが幸せの原点ではないでしょうか」と。
 このお話しはシェルドンの He profits most who serves best.というモットーと同じことを述べているように思います。
 私たちは心が満たされない時、さらに物質的な欲望を追い求めようとします。しかし、それでは本当の満足を得られません。
 高い倫理観を持ち、欲望や怒りをコントロールしながら、他のために貢献していく。幸せを手にするために大切なのはその事だろうと思います。
 こんな事を改めて気づかせてくれた今回の視察でありました。
 実践活動において、今回の視察は素晴らしい体験となり、喜びを感じるものとなりました。

2014年02月10日

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