ロータリアンの広場 |
2510地区 PDG 塚原房樹(札幌東)
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今年のサンディエゴの国際協議会では職業奉仕に関する講演は予期した通り皆無でした。しかし、マイケル・マクイーン氏の『21世紀における会員組織』という講演は私に大きな共感を与えてくれました。講演の要旨を抜粋します。 『今後、ロータリーが変化を取り入れるにあたってとても重要なのは、ロータリーをロータリーたらしめているDNA、つまり、決して変わらない価値観、優先事項、奉仕への献身を絶対に見失わないことです。つまり決して変わらないロータリーの本質と存在理由を念頭に置いて変化することです。そのための最良の方法は、《ロータリーのDNAは何か》という問いへの答えを明確に理解することです』 マクイーン氏の言葉のとおり、RIの方針がいかに変化しようとも、我々日本のロータリアンは、ロータリーをロータリーたらしめているDNA、つまり、ロータリーの本質と存在理由を大切にしてゆかねばなりません。「ロータリーのDNAとは何か」という問いの答えを明確に理解することです。 そのためには、あくまでも愛の実践という「個人の規範」である職業奉仕への献身を絶対に見失わないことです。ここで大切なのは「時代に即すことと、妥協することは違う」ということです。時代に即すためにその組織のDNAをあっさりと捨ててしまうような組織は長続きしません。信じる土台がなければ、たやすく流されてしまいます。 ロータリー運動とは、慈善団体、寄付団体ではありません。奉仕とは相手の不幸を自分の不幸としてとらえる純度の高い心の境地のことを云います。自らの存在理由を見失い、代わりにボランテイァ団体として自らを定義しようとしたときに、RIという組織は、組織の構成員であるロータリアンとの関連性を失い衰退・迷走するでしょう。 現在のロータリー運動は、国際ロータリーの提唱する実践プログラムばかりが前面に押し出され、先輩が開発した優れたロータリー哲学が忘れ去られ、それを正当化するようにRI理事会では「いつまでも1923年代の考えでは困る」「過去に耽溺するよりも未来の夢を」と考えているようです。しかし歴史というものは各時代の課題の解決に向けて、その体験的知識の上に、現在と未来とを考えようとするまことに貴重な思考であるという事実が、どういうわけか、最近、忘れられてしまい、ロータリー運動の実情は単なる偽善的かつ断片的な金銭的奉仕活動となってしまいました。
職業奉仕はロータリーの《アルファでありオメガ》であります。アルファとはギリシャ語アルファベットの最初の第1字、オメガとは最後の文字を表します。アルファでありオメガであるとは、事の始まりであるとともに事の究極であるという意味になります。(※ヨハネの黙示録)
職業奉仕はロータリーのアルファでありオメガであるということは、職業奉仕はロータリーの始まりであるとともにその行き着く究極である、すなわち、ロータリー運動にとって職業奉仕は「全て」であり「普遍」であるという意味です。
(2015.10.27) |