ロータリアンの広場


ロータリーは今や末法時代か
----ビチャイ・ラタクルさんの言葉----
2510地区 PDG 塚原房樹(札幌東)
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2510地区 塚原房樹PDG

 お釈迦様が亡くなって100年余りたつと、「教え」の解釈などをめぐって、伝統を守ろうとする保守的なグループと、進歩的なグループに二分されます。そして時とともに更に両派は(小乗)と(大乗)に分化しました。 私はこの道の専門家ではありませんから、学問的に双方の論点を説明できませんが、小乗では、資質のすぐれた者が修行をすることによって悟りを得られるとしていました。戒律の条文も不変のものにしました。自分自身の悟りの為に、教えを厳格に守りました。 そのような中で広く大衆的な一派として、大乗と呼ばれるグループが誕生します。自分一個の人間完成を目指すのではなく、広く大衆に教えを広め苦悩する衆生を救い上げるのが宗教人の使命で、そのためには戒律は変わっていい。時代とともに手法を変えてゆかなければ教団の維持もできなくなると主張しました。

 同じく、ロータリーも誕生以来110年を経過してロータリーの目的が変わりました。当初、ロータリーの会員は厳しい審査を経て選ばれた人々でした。ロータリーの中心概念は「職業奉仕」であり、個々のロータリアンの職業の倫理的水準を高めることによって社会に貢献せよということが目的でした。帰する所ロータリー運動の目的は、会員個人の人格陶冶、自己錬成に外無らなかったのです。

 しかし今のロータリーは会員増強が第一の目的となり、会員資格の規制は大幅に緩和されました。そしてラビンドランRI会長により職業奉仕の禁じ手であった「ロータリアンはその同僚ロータリアンから、他の実業家に対する場合よりも多くの利便を期待してはならない」という項目も削られ事実上職業奉仕が無くなってしまいました。私は理想としての大乗的ロータリー観を否定はしませんが、会員個人の人格陶冶という任務を忘れた奉仕活動は、やがてロータリーを内部から崩壊させることになるでしょう。 12月に東京でロータリー研究会が開催されました。最終日のフォーラムでラビンドランRI会長は会員増強の切り札として新しい「ロータリーグローバルリワード」に触れました。『ロータリーに入会を誘われたら、誰もがこう自問するでしょう。「自分にとってどんなメリットがあるのか?」 ロータリアンになれば、ほかの人の人生だけでなく、自らの人生も豊かにできることを示すことによって、ロータリーが持つ価値をはっきりと証明する必要があるのです』

 私は、敢えてここで、11月の2550地区の地区大会でビチャイ・ラタクルさんの『ロータリーにおける意志と信頼』というテーマの講演----御存じの方も多いと思いますが----の一部を抜粋してご紹介します。 『全世界のロータリアン数は、2-3年前は130万人でしたが、2014年7月1日には、ただの110万人となりました。現在のRI会長であるラビンドランさんが、エレクトの時、次のような提案をしました。ロータリーの会員に何か特典を与えましょうと。彼の考えはロータリアンが会員資格を維持するためには、何等かの利点を与えることでした。これが、ラビンドラン会長がロータリーの本来の道を外れてしまった理由でもあり、ロータリーの行動規範の第5項目(事業や職業における特典をほかのロータリアンに求めない)を削除した理由でもあるのです。 このことは、疑いもなく、RI会長が、ロータリーの中核的価値観すなわち、職業人の高い倫理基準の理念を破壊しているのです。

 私たちがロータリーにいるのは、与えるためであり、何かを得るためではないのです。私は、今日のロータリーは過ぎ去りし時のロータリーではないと思います。ロータリーの中核的価値観はもう存在しません。“What a pity!" なんと残念なことでしょう! ロータリーの最高指導者が、ロータリーの哲学とロータリーへのイデオロギーを完全に失ってしまったことは、なんという大きな恥さらしでありましょうか。もしもロータリーの最高指導者が、世界が変化しているからロータリーも変わらなければならないと言い訳をしながら、私たちの創始者から受け継いでいるロータリーの基本原理を無視していくならば、これから先どのくらい長くロータリーが存続できるか、それを予言することはできません』

 ロータリーは今や末法時代(仏教によれば釈尊の教えだけが残り、行も悟りもなくなる時代)を迎えたようです。しかし我々日本のロータリアンは、ロータリーをロータリーたらしめているDNA、つまり、ロータリーの本質と存在理由を大切にしてゆかねばなりません。 タイは敬虔な仏教国です。ロータリーを自己改善の倫理運動ととらえる日本人にとって仏教徒ラタクルさんの勇気ある発言に心からの敬意を表します。

(2015.12.29)

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