ロータリアンの広場


「フリーメーソンに学ぶ」
2510地区 PDG 塚原房樹(札幌東)
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2510地区 塚原房樹PDG

 田中毅PDGの炉辺談話の中に「フリーメーソンとロータリー」という一文があります。その中でポール・ハリスはフリーメーソンであったが、ロータリーの公文書ではそのような記述は見当たりませんとあり、フリーメーソンリー(Freemasonry団体名)について判りやすい解説をされています。

「ウィキペディア」によると、《フリーメーソンは、16世紀後半から17世紀初頭に、判然としない起源から起きた友愛結社。現在多様な形で全世界に存在し、その会員数は600万人に上り、うち15万人はスコットランドならびにアイルランドに、25万人は英連邦に、200万人は米国に所属している》とあります。  特筆すべきことは、ロータリーの創始者ポール・ハリスはフリーメーソンでした。またライオンズクラブの創始者メルビン・ジョーンズもメーソンでした。 したがって世界最大の奉仕クラブであるロータリークラブもライオンズクラブもフリーメーソンリーから派生したといえます。 ポール・ハリスは奉仕活動に専念する組織として、ロータリークラブを設立したといわれています。当然のことでしょうが、ロータリークラブの入会資格はフリーメーソンのものと類似していました。 フリーメーソンの入会資格は、成年男子で、世間での評判が良く、高い道徳的品性の持ち主であり、年会費を収めることなどです。ちなみに入会金は4万円で年会費は8000円だそうです

 ここで注目すべきはフリーメーソンの会員数は600万人だということです。ロータリーもライオンズも、会員増強・拡大が最大の目標ですが、ロータリーの会員数は120万人プラスマイナス・アルフアでフリーメーソンには遠く及びません。 とかく、フリーメーソンリーとは一つの集団とか組織みたいに誤解されがちですが、そういう中央集権的な組織ではありませんし、組織全体を代表して話すような、スポークスマンも実はいないのです。   そこのところに注意してください。フリーメーソンリーの組織形態というのは、ピラミッド型の上意下達の組織ではなく、各地の本部が並立していて、それぞれが相互に承認し合っています。国と国との間の外交関係のようなものです。ある国のフリーメーソンリーが伝統的なルールを破った場合、最大の”制裁”は、他のロッジから承認を取り下げられることです。そうなるとつき合いが断たれ、他のロッジを訪問することができなくなり、世界的なフリーメーソンリーのネットワークの一員として認めてもらえなくなります。 つまりフリーメーソンリーは国、地方・地域のそれぞれの事情に合った、より適切で柔軟な地方分権による統治を行うことができます。メリットは、その地域で自分たちが必要とするものだけにお金を使うことが出来ます。 それに引き換え、ロータリーのクラブ管理はRIとクラブの直結方式による中央集権システムで、組織全体から収集した情報を基に、RIの理事会が各クラブを統括・管理します。ピラミッド型の階層が形成され、RIが財源や決定権を持ち、下層になるほど機能が細分化されて、財源や決定権が小さく制限され、上下方向の統制がより強化されています。

 それぞれの国における固有の風土、文化に盲目な統治は必ず失敗します。フリーメーソンが600万人の会員に支持されているということは。構成員の満足度が高いからでしょう。 言いかえるとロータリーは機能体(ゲゼルシャフト)であり、メーソンは共同体(ゲマインシャフト)だということです。機能体は企業、軍隊などのように、その組織の目的達成のため統率力を高めますが、共同体は自然発生的なつながりで生まれ、同じ地域に居住して深く結びついている人々の集まりで、構成員の心地よさを追求することが究極の目的です。共同体が組織の拡大のために構成員に犠牲を強いることになれば、本来の目的に反しています。クラブ本来の魅力を失い会員は減少するでしょう。組織の管理運営は二つの組織体の区別を明確に理解して対処することが必要です。メーソンとロータリーの会員数の差は、共同体と機能体の差によるといえば言いすぎでしょうか。中央集権と地方分権の違いといえばいいのでしょうか。

 フリーメーソンのメンバーには著名人が大勢おり、アメリカの大統領、ジョージワシントンを初め、 歴代15名のアメリカ大統領も会員でした。ぜひ知っていただきたいことは、メーソンであるということは、米国などでは社会的なステータスが非常に高いと評価されることです。そのために、大勢の有識者、有力者が入っています。少し古くなりますが一例をあげると、今から十年ほど前、米国のある雑誌が、全米のトップビジネスマン1万5千人を対象にして、アンケートをとったのです。その結果、有効回答のうちの大半、約1万人がメーソンの会員であると判明したそうです。 米国だけでなく、ヨーロッパでも、メーソンのステータスは高く、英国ではロイヤル・ファミリーが入会するのは伝統となっています。エリザベス女王は女性ですから入れませんが、そのかわり、ケント公が英国のグランドマスターに就任されています。スウェーデンでは、皇太子が入っています。

 メーソンの記録をたどると日本のロータリアン、東ヶ崎潔氏(1960)と山田ツネ氏(1974)の名前があります。東ヶ崎潔氏は、日本人として最初のRIの会長となりました。 山田ツネ氏は、東京麹町クラブの会員でポリオの惨状に深い関心を寄せ、ポリオ撲滅という壮大な計画を発足させるきっかけを作りました。メーソンの名簿では、山田(ツネ)氏とカタカナ名になっていますが、麹町ロータリークラブの会報には、山田彜氏とあります。大変難しい字ですので拡大してみました。
ツネ⇒彝 (意味は人の常に守るべき道、常道)

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組織にとって会員増強は必須の課題です。そのために我々は、フリーメーソンに学び、共同体としてのロータリーをもう一度見直す必要があるでしょう。

(2016. 5.17)

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