ロータリアンの広場


『職業奉仕はロータリーの生命維持装置』その2
2510地区 PDG 塚原房樹(札幌東)
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2510地区 塚原房樹PDG

《ロータリーの語り部》
 ロータリーの物語を継承していくためには、語り部の存在が欠かせません。2003 年の国際協議会でグレン・エステス RI 会長エレクトは「ロータリーは世界最大の NPO である」 と宣言をしました。ロータリーがNPOへの道をまっしぐらに進もうとしているとき、時のRI会長はピチャイ・ラタクル氏でした。ラタクル氏は、NPOとして 国連と共に弱者救済という人道的奉仕に最重点を置くRIに対して警鐘を鳴らしました。
 氏はタイの敬虔な仏教徒でした。私は、氏を近年まれにみる「ロータリーの語り部」として心から尊敬しています。ご存知の方も多いと思いますが、今一度、ラタクル氏のスピーチを紹介させていただきます。

 『ロータリーは障害者、貧困、飢餓、疾病、識字率 世界の子どもたち、何十億人もの人を救い、豊かにしてきました。ロータリーが人道的経済的プログラムで嵐を切り抜けどれほど貢献してきたか、それは誇るに足ることです。しかしそれは立派なことであっても所詮外面的な行いを見ているに過ぎません。ポリオとの戦いには勝つでしょう。あらゆる病気、教育、貧困になおも手を差し伸べなければなりません。この世に善を成すためには、自らの力の限界を知らなければなりません。しかし力の源となる奉仕の哲学が事々に裏切られたのが今の世代なのです。私が申し上げたいのはロータリーの内面の問題です。ロータリーに課せられたもっとも重大な挑戦課題でありながらここのところずっと無視されてきた問題です。いく年もいく年も話題にもされず討議もされなかった挑戦課題、それはロータリーの金看板「職業奉仕」です。今もこれからも職業倫理の提唱と慈愛の心をロータリアン以外の人々に分かち与えていかねばならないのです。残念ながら私たちの多くがこの最も重要なロータリー哲学の真髄を忘れてしまいました。なんと恥ずかしいことではありませんか』 

 「古来、金を求めて失敗した例は枚挙に暇がないが、心を求めて失敗した例は寡聞にして聞かず」という例えの通り、善意の心を伴わない金銭奉仕には限界があります。RIが現代の社会はこうあらねばならないとして、ロータリーの会員がそのための道具に使われただけでは間違っています。またロータリーの基本理念を忘れて、社会の変化に対応していくだけでは人類の幸福は実現できません。正しいロータリー運動とは、ロータリーの会員が、運動をしながら成長していく場合であり、またロータリー思想が世間に広まり、世間の人が成長していく場合が、正しいロータリー運動であります。自らの存在理由を見失い、NPOとして自らを定義しようとしたときに、RIという組織は、組織の構成員であるロータリアンとの関連性を失い迷走するでしょう。

まさに「職業奉仕はロータリーの生命維持装置」であります。

(2020.05.12)

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