ロータリアンの広場 |
2510地区 PDG 塚原房樹(札幌東)
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「世界は絶えず変化しています。そして私たちは世界とともに変化する心構えがなければなりません。ロータリー物語は何度も書き替えられなければならないでしょう」 (This Rotarian Age) このハリスの言葉は、ミレニアム・イヤー西暦2000年頃から2020年度の今日に至るまで、大勢のクラブ会長さんの就任挨拶に引用されました。 なぜ大勢のクラブ会長さんは、この言葉を引用したのでしょうか。それはクラブ会長さんにとってロータリーが、今までのロータリーと180度変わったように感じられたからでしょう。今までは、「ロータリーの目的」に明記されているように個人ロータリアンのつとめは職業奉仕を推進することでした。クラブには自治権があり、ロータリー・クラブが主人公であって、RIはクラブにサービスをするための連絡調整機関であると思っていた会長さんが多かったと思いますが、現在のロータリーは「主権在民」が無視され、「主権在官僚」のようなシステムに組み上げられてしまったのです。 つまり主権は、ロータリー・クラブからRIに移りロータリーはRI主導のNPOに変質しました。主権の交代を革命といいます。 クラブ会長さんは、PETS、地区協議会で次年度の戦略計画に沿ったマネージメントを学びます。そこにはかつての情緒的自由結社としてのクラブの面影はもはやありません。クラブの会員にとっては、なぜRIはそのように変化したのかという疑問が当然起こります。その疑問に答えるために、会長さんは「ロータリーがその適正な運命を理解するとしたら、ロータリーは必ず進歩しなければなりません。時には革命を起こす必要があります」 という創始者ポール・ハリスの言葉を引用しました。創始者の言葉は、ロータリアンを説得するのに千金の重みがあります。 ショスタコーヴィチの革命交響曲は、1937年11月ロシア革命20周年を祝う演奏会で初演されました。「ロータリー革命」の序章はミレニアム・イヤー西暦2000年から始まりました。 2750地区の新藤信之PDGの”国際ロータリーの変質” 「ロータリー失われた10年」によると、2001年規定審議会でロータリー組織の基本的要素を根本から変えようとしたRI理事会からの提案に端を発し、以後の規定審議会を通じてその後の10年余りの間に、RIが本質的に変化しました。そして2019年の規定審議会では、RI戦略計画を新たに位置付け、財務を強化することによって、RIがクラブに代わって実質的な活動主体となり「世界的なネットワークを利用したグローバルな活動」を展開する新たな出発点に立ったと分析されております。 つまり、ロータリーのNPO革命はミレニアム・イヤー西暦2000年頃から始動を始め、2020年までに徐々に外堀を埋めて体制変換がなされました。 では、なぜロータリーは非営利組織になったのでしょうか。それは情報革命後の社会変化が原動力となっています。情報技術の浸透は市場における情報流通を活発にさせます。そして完全情報に基づく市場経済を生み出していく力を持っています。ビル・ゲイツは「摩擦ゼロの資本主義世界」が生まれると表現しました。 つまり、排除性、競合性がなくなってゆき、市場経済という怪物は、性質上「小さな政府」を求めます。もはや行政には頼れない。とすれば社会的ひずみを補修する主体は民間にしかない。市民のNPO活動です。 そしてNPOとなったロータリーに、何より大きな影響を与えたものが、経営の神様、PFドラッカーでした。彼によると、『教会にせよ、病院にせよ、非営利組織には、「良き意図」で十分とする風潮があった。良き意図には良き成果がなければ意味がない。誤ったことを正しく行うのも間違いだが、正しいことを誤った方法で行うのも間違いである。それはミッションや理念が立派であっても、「マネ−ジメントが不在であった」の一点に尽きる』 かくして、RIはロータリー活動を「ミッション」、「資金源開拓の重要性」、「人の育成・トレーニング」を柱としたマネージメント主体のNPOとして位置づけ、ロータリアンは非営利組織の中の無給のスタッフとなりました。
(2020.08.20)
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