ロータリアンの広場


「老タリアンとローターアクター」
2510地区 PDG 塚原房樹(札幌東)
PDF版 ダウンロード

2510地区 塚原房樹PDG

 私は、「ロータリアンの広場」に時々、「老いの繰り言」を投稿させていただいておりますが、最近たまたまアメリカの美術史家、ベレンソンの『人が60歳を過ぎて書くものは、まず二番煎じのお茶ほどの価値しかない』 という言葉に触れ、わが身に思い当たることばかりでて反省しきりです。もちろん人さまざまで例外はあるでしょう。高齢者となられても、立派な文章を書かれる方もおられます。 老年医学では、高齢者の定義は65歳以上、その中で75歳以上を後期高齢者、85歳以上から超高齢者とする、というのが 現在の考え方であり、また、世界的なコンセンサスです。しかし、「人生100年時代」の今、75歳はまだまだ気力と体力に満ちている壮年期といえます。 しかし我が身を振り返ると、私もすでに85歳の超高齢者となり、日々、自身の老いを実感しています。ロータリアンから老タリアンになりました。いつも新しい視点で、ロータリー運動の「在り方」を書きたいと思いながら、結局は過去のロータリーの虫干しに終始している超高齢者の自分がいることに気づきます。今まで「ロータリアンの広場」に投稿した、そんな私の拙稿を読んでくださった皆さんの温情を心から感謝しています。

 現在、ロータリーの話題は、ローターアクターの地位の向上です。RIは会員増強の切り札として、2019年規定審議会によって、ローターアクトクラブのRI加盟が認められました。ローターアクトの新しい立場をより正確に反映するため、ローターアクターとロータリアンから成る「ローターアクト地位向上タスクフォース」を任命しました。このことは老タリアンとローターアクターとの世代交代を意味します。老タリアンに替わりローターアクターの時代となりました。 ローターアクターの地位の向上の対極にある問題は、高齢ロータリアンの地位の低下です。昨年、日本の総人口に占める高齢者の割合は28.7%となりました。必然的にロータリークラブも高齢者の比率が高くなりました。超高齢者の老タリアンは最近の社会の急激なデジタル化についてゆけなくなっていきます。ICT(情報通信技術)は、PCだけでなくスマートフォンやスマートスピーカーなど、さまざまな形状のコンピューターを使った情報処理や通信技術です。

 ロータリアンには ICTを活用したシステムやサービスが普及することで、社会インフラとして新たなイノベーションを生むことが期待されています。しかし5Gがもたらす社会全体のデジタル化は、超高齢者にとっては住む世界が違います。 その点ローターアクターは「デジタルネイティブ」といえるでしょう。「デジタルネイティブ」とは生まれたときからインターネットが身近にある世代を言います。どの世代をデジタルネイティブとみなすかには多少のゆれがありますが、おおむね1990年以降に生まれた人をこう呼ぶことが多いようです。 この世代以降に生まれたローターアクターたちは、物心のついたころからインターネットに触れています。そのため、大人になってから触れる世代とは、テクノロジーとの付き合い方が大きく違っています。超高齢者にとっては異次元の世界です。そうなると老人は厄介者になります。特に近代という時代は移動が激しい時代で、その上変化が激しい時代です。そうすると古いよねと言ったら、もうアウト。近代化した社会はどこも年寄りの地位が下がります。

 アメリカの人類学者ドナルド・カウギルのまとめた比較老年学というものがあります。
①老人の地位は近代化の程度に反比例する。「近代化が進むほど老人の地位が下がる」
②老齢人口の比率が高いほど老人の地位は低くなる。
③老人の地位は社会の変化の速さに反比例する。「変化の速い社会ほど老人の地位は低い」
④定着社会は老人の地位が高く、移動社会では老人の地位は低い
⑤大家族ほど老人の地位は高い。小家族では老人の地位は低い。
⑥個人主義は老人の地位を低下させる。

 我々はなぜロータリーに対して、もっと以前から「老い」の心構えを学んでこなかったのでしょうか。必ず全員に訪れることなのに。そんな疑問がわくことでしょう。答えは簡単です。人口高齢化は戦後になって急速に進みました。日本の戦前の平均寿命は五十歳以下でした。高齢化は最近の現象です。 私は若い人々が好きです。私は彼らの中に我々の種の希望=人類が継続すること、そして人類がより良い時代を持つことを望みます。この希望があれば、私がそれに向かって進んでいる老いを…耐え難いことでしょうが・・・あるいは受容できるかもしれません。 最後に、「年寄りが安心して生きられない社会は、若い人も安心して働けない社会」という,ボーヴォワールの言葉をお伝えします。

(2021.08.22)

「老タリアンとローターアクター」 PDF版 ダウンロード

「ロータリアンの広場」トップページ