ロータリアンの広場


ヒューストンの記憶・「ガイア理論」
2510地区 PDG 塚原房樹(札幌東)
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2510地区 塚原房樹PDG

 2022年度の国際大会は、テキサス州ヒューストンで開催されます。ヒューストン市は全米第4の人口を抱えるテキサス州内最大の都市です。残念ながらコロナのために、魅力あるこの街を訪れることは難しいでしょう。 私は、「ヒューストン」と聞いて、反射的に二つのことを思い出しました。一つは「ガイア理論」、もう一つは「ロータリー道徳律」です。何故この二つが、頭に浮かんだのか、その経緯を二回に分けてお話ししたいと思います。 今回は、ヒューストンと「ガイア理論」の関係について、次回はヒューストンと「ロータリー道徳律」の関係について書いてみましょう。ヒューストンの町の郊外には、宇宙飛行プロジェクトの拠点であるNASAのジョンソン宇宙センターがあり.ます。 「ガイア理論」は、ヒューストンで生まれました。イギリスの科学者ラヴロック博士が、NASAに勤務していた1960年代に、様々な構成要素を地球がバランスさせる様子は、あたかも人体の調整機能のようであり、地球は生命体に似ていると主張しました。ガイアという名称は、ギリシア神話の女神「ガイア」にちなんで名付けられました。

 1969年、NASA宇宙基地からアポロ9号に乗ったシュワイカートは、インタビューに対して次のように応えました。 『宇宙から地球を見た時だ。月探検の任務を無事に果たし、地球に向かっているので、精神的な余裕もできた。落ち着いた気持ちではるかかなたの地球を見た。無数の星が暗黒の中で輝き、その中に我々の地球が浮かんでいた。地球は無限の宇宙の中では一つの斑点程度にしか見えなかった。然しそれは美しすぎるほど美しい斑点だった。それを見ながら、いつも私の頭の中をよぎるいくつかの疑問が浮かんできた。  私という人間がここに存在しているのはなぜか。私の存在に意味はあるのか。宇宙は物質の偶然の集合体にすぎないのか。宇宙や人間は創造されたものなのか。それとも偶然の結果として生成されたのか。いつもそういった疑問が頭に浮かぶたびに、ああでもない、こうでもないと考え続けるのだが、その時は違った。疑問と同時にその答えが瞬間的に浮かんできた。それは不思議な体験だった。宗教学で言う神秘体験とはこういうものかと思った。私的に表現すれば、神の顔にこの手で触れたという感じだ。とにかく瞬間的に真理を把握したという思いだった』

 そして、シュワイカートは、インタビューの中で、「ガイア」の話に触れました。ガイアというのは、地球それ自体を一つの今、現に生きている生命体として見るという考え方です。地球はそれ自体が生きていると考えないと理解できないほど見事な自己調節機能をもっています。これほど強い安定性が維持されているということは、人体が持っている生体の調節機構と同じシステムが働いていると考えられるわけです。それはまた、地球それ自体が生きている証拠と考えられるわけです。 シュワイカートは、自分の宇宙体験の意味をあれこれ考えていくうちに、ラヴロックの「ガイア理論」に出会い、それを読んでいくうちに、自分がぼんやり考えていたことは、結局こういうことだったのだと思い当たったと話しました。『人間はガイアの中で生きている生物であることを自覚して生きていかなければならない。

 ガイアにとって、人間は何ものでもないが、人間はガイアなしでは生きられない』そして、こうもいいました。『人類が宇宙に進出する時代になったということは、これまでずっと母なるガイアの胎内にいた人間が、はじめて母の胎内から外に出ようとしているということではないか。これは人類が大いなる宇宙進化の第一歩を踏み出そうとしているということなのではないか』 宇宙飛行士が見た無限の宇宙の中に浮かぶ美しい小さな地球、その神秘の光景を人々が知った時、人類全体の意識が変わりました。地球は宇宙にあるたった一つの「生命体がいっぱいの星」で、その生命を守っているものが、地球環境であるということを地球人たちはみなたちまち理解したわけです。そして、「かけがえのない地球」(only one earth)という考え方が、世界の常識になりました。国連主催で人間環境会議が開かれ、世界十八カ国の科学者と思想家の共同作業として、『かけがえのない地球・人類が生き残るための戦い』という報告書が作られたのです。

 人間は宇宙船を作って宇宙に飛んだときにはじめて、この二百万年間、人間を乗せて宇宙を飛びつづけている地球も、また大きな宇宙船であるということに気がついたわけです。そして、アポロ宇宙船から撮った写真を見た瞬間、地球が宇宙にポッカリ浮いている一つの星(宇宙船)にすぎないということをみんなが瞬時に理解したわけです。地球は宇宙船であるのに、「宇宙船の乗員」たちは、その構造を十分に理解せず、宇宙船をぶちこわすようなことばかりやっているので、宇宙船地球号はまさに遭難しかかっています。 ヒューストン国際大会のキャッチコピーは、”THE SKY'S THE LIMIT” (無限に広がる可能性) とありまが、「ガイア理論」の生まれたヒューストン市を記念して”SAVE THE EARTH” を今一度高らかに宣言してほしいものです。

(2022.02.09)

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