ロータリアンの広場


「2022 COL 立法の海に沈む」
2510地区 PDG 塚原房樹(札幌東)
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2510地区 塚原房樹PDG

 2022年度規定審議会においては、本田氏、刀根氏の堂々とした陳述をはじめ、代表議員の皆様の真摯なご活躍ぶりを拝見しました。心から敬意を表します。COL終了直後に、刀根氏から下記のメールをいただきました。 『RI理事会が万全の準備をしてCOLに臨んでいるにも拘わらず、日本側の体制不備がやはり問題ではないかと思いました。相手方が万全の構えで待ち構えているところに、各代表議員が果敢に飛び込んであっけなく各個撃破された感じを受けました。 今後は、日本勢も会議を重ね、準備をして、全員一致強力体制で臨むべきだと思いました。やはり、勝つためには戦略が必要だと思います』 このメールをいただいて、私がかねて危惧していた組織対個の対立が、いよいよ強く現実となって現れたことを悟りました。それはRIと各クラブの力の差であり、全体と個の宿命です。

 ロータリー規定審議会は「ロータリーの唯一の立法機関」であります。規定審議会に制定案または決議案を提出できるのは、クラブ、地区、RI理事会、RIBI審議会または大会です。これを我が国の立法機関と比較して類似点を探ってみましょう。 わが国では、「国会は、国の唯一の立法機関である」と定められております。そしてここに提出できるのは、議員立法と内閣立法です。議員立法は国会議員が法案を作って国会に提出する本来の方法です。これはロータリーのクラブ・地区提案にあたります。

 これに対して内閣立法は、主として時の政権与党の内閣が自らの政策を実行に移すために、法案を各省庁の官僚に起案させて内閣総理大臣の名前で国会に提出するものです。これはロータリーの理事会提案にあたります。そして特定の分野に限定したテクニカルな法案が多いと言われております。 日本では議員立法による法案の提出件数が全体の約6割を占め、内閣立法よりも多くなっております。しかし下記のような事情により、官僚主導による内閣立法による法律の成立が全体の約8割を占めております。 では、そもそもなぜ、議員立法よりも、内閣提出法案の方が多く法律として成立するのでしょうか。内閣提出法案が

  1. 与党の「事前審査」を通じて提出されること
  2. 官僚の政策に関する専門性が高いこと
が主な理由と言われています。これが、日本の政治が「官僚主導」だと言われてきた理由です。 規定審議会で、理事会案件がクラブ・地区提出案件よりはるかに採択率が高いのも同じ理由です。今後、理事会提案に対抗し行くためには、諸外国の志を同じくするロータリーと事前に連携、根回しが欠かせないでしょう。日本伝統の孤高の精神論だけでは孤立するでしょう。アメリカの実用主義(プラグマティズム)を基本とするロータリーを念頭に、対処してゆかねばなりません。しかし、官僚支配の非営利組織となり、ヒューコ事務総長の雇い主である、RI理事会が相手では、よほどの覚悟を持って臨まなければならないでしょう。 今回の規定審議会を終えて、RIもいよいよ末期が近いと思い知らされました。

 「魚は頭から腐る」は、ロシアで生まれたとされることわざで、政界や企業を揶揄する際に多く使われます。また大木は頭から枯れるとも言います。ロータリーもそうなりました。 これもまた、刀根さんからの資料ですが、2019-20年度のRI事務総長の報酬額 は588,436ドル、米国大統領は400,000ドル、国連事務総長は325,726ドルだそうです。大統領より高いヒューコ事務総長の年収は、とても信じがたいものがあります。  財団寄付に明け暮れ、営々と高い人頭分担金を払い続けているロータリアンにとっては、目をむくような金額です。我々ロータリアンは、RI理事会のエンプロイーである事務局のスタッフのために奉仕活動をしているのではありません。RIがどうしてこうなってしまったのでしょうか。

 今年1月21日に「ロータリアンの広場」に投稿した『老タリアンの呟き・組織の衰退』をもう一度ご覧ください。《RIは現在、巨大な組織も衰退する機能体組織の共同体化が進行中です。組織が確立し、官僚としてのスタッフが定着すると、彼らの満足と私利を追うようになりやすくなります。「機能組織の共同体化」といわれる病理現象です。しかしこれがさらに進み、組織内の気風自体が頽廃してしまうと、何が正しいことか組織全体が分からなくなる。倫理の頽廃の恐ろしさは、是正されないことがむしろ組織内では評価されることが多いことである。したがってこれが始まると、頽廃の拡大生産の悪循環が起こる。特に仲間意識の強い共同化した官僚組織では襟を正した姿勢を常に保たねばならない。世間では罪悪とされていることが、一つの組織の中では正義と認められているとすれば、倫理の頽廃の極みといえる》

 今回、規定審議会をひたすら傍観していましたが、残念ながら1月の投稿文で憂えた「機能体組織の共同体化」が、現実に進行中であることを確認してしまいました。 ロータリーを「人生の哲学」として生きてきた「老いの身」には、悲しい春です。

(2022.04.27)

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