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炉辺談話(126)

例会変更

例会の中止や取りやめについては、標準ロータリークラブ定款第5条で、次のように定められています。


第5条 会合
第1節 例会

(a)  日および時間. 本クラブは、毎週1回、細則に定められた日および時間に、定期の会合を開かなければならない。
(b)  会合の変更. 但し、正当な理由ある場合は、理事会は、例会を、前回の例会の翌日から次の例会の前日までの間のいずれかの日または定例日の他の 時間または他の場所に変更することができる。
(c)  取消. また、例会日が法定休日に当たる場合、またはクラブ会員が死亡した場合、または全地域社会にわたって流行病もしくは災害が発生した場合、または地域社会での武力紛争がクラブ会員の生命を脅かす場合、理事会は、例会を取りやめることができる。理事会は、本項に明記されていない理由であっても、1年に4回まで例会を取りやめることができる。但し、本クラブが4回以上続けて例会を開かないようなことがあってはならない。


すなわち、正当な理由があれば、クラブ理事会の裁量によって、同一週内の別の日、別の時間、別な場所に変更することが可能です。従って、問題は何をもって「正当な理由」とするかということになります。
取消の項目には、例会取消の具体例として、
@例会日が法定休日に当たる場合
Aクラブ会員が死亡した場合
B地域社会にわたって流行病もしくは災害が発生した場合
C域社会での武力紛争がクラブ会員の生命を脅かす場合
と記載されていますから、これに準じた事態が起こった場合を正当な理由と考えて、理事会が例会を変更することができます。
C項の規定は、かつて第一次世界大戦の末期、スペイン熱が流行した際に、シカゴクラブが採用した項目であり、阪神大震災に当たって、自宅も事業所も例会場も被害を受けた際、この規定を適用したクラブがありますし、北アイルランドやイスラエルではCを適用しているクラブもあると思います。

地区大会やIMの前後の週に開かれる例会を、「1年に4回まで例会を取りやめることができる」という規定を適用して、休会にすることは可能ですが、例会を地区大会やIMに変更することは、ここで言う「正当な理由」に該当するとは思われません。

例会の形式は、クラブ細則で定めることになっています。


第13条 議事の順序
開会宣言
来訪ロータリアンの紹介
来信および告示事項
委員会報告(もしあれば)
審議未終議事
新規議事
スピーチその他のプログラム
閉会


これは、一つの例に過ぎませんが、クラブ細則で定めた以上、この例会プログラムはすべての例会に適用されなければなりません。他のクラブから大勢のロータリアンが参加する地区大会やIMの場で、この例会プログラムを実施することは、まず不可能でしょう。
現実の問題として、地区大会やIMの前に別室に集まって、形式的ながらも例会を開いているのならいざ知らず、もし、地区大会やIMに出席すること自体を、例会変更だと考えているのなら、これは重大なるクラブ定款・細則違反と言わざるを得ません。

例会出席は会員の義務ですが、地区大会やIMへの出席は、その参加が強く要請されたとしても義務ではありません。主催者側の希望として、当然、全員登録、全員参加が要請され、できればそうあるべきであるとしても、強制することはできないのです。
これらの会合の終了間際、登録だけして出席していない会員の名札が、数多く残されている現実を見るにつけ、登録料さえ払ってくれればいいという主催者の思惑と、登録だけしてメークアップの権利を得ればそれでいいという会員の思惑と、一堂に会して学び、かつ親睦を深めるという本来の目的との大きな乖離があることは、残念なことです。

それよりも、問題になるのは、親睦会を例会変更の場とする風潮です。案外、当たり前のこととして、やっているクラブが多いのではないでしょうか。
親睦会を地震やテロ事件と同等に論じること自身がおかしなことであり、到底、非常の場合、正当な理由に該当するとは思われません。親睦会は親睦会としてレクリエーションを楽しみ、例会は例会として純粋親睦を楽しむ。こんな簡単なことが何故判らないのか、不思議でなりません。

今回の定款変更で、規則が緩められたと嘆く人がいます。しかし、その条文をよく読むと、その決定のほとんどが、理事会の裁量に委ねられるようになったに過ぎず、これはむしろ、クラブ自治権の拡大として、喜ばしいことかも知れません。
年間4回認められる例会取りやめも、最高4回の範囲内で理事会が決定するわけであって、1回も認めない決定をすることだって可能なのです。

理事会が、ロータリー精神の原点を考えて結論をださないと、とんでもない方向にク ラブを向けることになります。
ゴルフ・コンペはクラブ奉仕に属する親睦活動だから、例会出席とみなす。こんに馬鹿げた決定をした、クラブ理事会が、実際にあるのです。
何とかして、例会を減らそうと猿知恵をしぼるのではなく、今週もまた仲間に会えた、という喜びをかみしめながら、毎週の例会を楽しみたいものです。