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炉辺談話(143)

会費とニコニコ箱

 何か嬉しいことやおめでたいことがあった場合に、何がしかのお金を出すというニコニコ箱の制度は、1936年7月に大阪クラブで始められたというのが定説になっていますが、それより以前に東京クラブで、既にこの制度があったという話もあって、何れが正しいかは定かではありません。Smile Boxなどという名前もついていることから、世界のロータリークラブで共通の制度と思われがちですが、このニコニコ箱の制度は日本独特のもので、外国にはありません。外国でこれに似た制度をやっているクラブがあるとすれば、日本の制度を模倣したものと考えたほうがいいと思います。

日本では殆どのクラブがニコニコ箱を設け、SAAが集金や管理をしています。むしろ、ニコニコ箱の集金係としてSAAがいるような状態ですが、外国ではSAAの役割はあくまで会場の管理監督であって、募金の管理はその募金を必要とする委員会の役割です。 

さて、ニコニコ箱で集めた資金の使い道について、いろいろな質問が寄せられます。この問題も含めて、会費一般について考えてみたいと思います。 

いわゆる会費は次の4種類に分類されます。

@   RIや地区へ支払う分担金
RIへの人頭分担金はRI定款・細則によって定められており、クラブで年度始めの会員数に従って一括して支払う義務があります。
地区への分担金は、地区資金および地区活動資金の名目で、地区内の会長幹事会に諮って定められます。いかなる理由があってもこれを免除することはできません。
それ以外に会員の義務として支払わなければならないものに雑誌購読料があります。

A   クラブ管理運営のための資金(純粋な意味での会費)
クラブ事務局を維持したり、会報を出したり、クラブを維持管理する活動、すなわちクラブ奉仕関連の委員会活動をおこなうための、いわゆる純粋な会費の部分です。
ロータリーの会員制度は、すべての会員を平等に扱いますから、会費負担平等の原則から、この会費は平等に負担しなければなりません。たとえ高齢の年金生活者であっても、会費減免制度をとることはできません。これは入会金にも当てはまります。

B   ニコニコ箱資金
ニコニコ箱は任意の寄付であり、当然のことながら金額や頻度に関する制限は一切ありません。個人によってその金額に差がありますから、これを、いわゆる一般会費に流用すると、会費負担の平等性が崩れることになります。任意の寄付によって成り立っている三大奉仕部門にしか使うことができない理由はここにあります。
ニコニコ箱制度のない外国では、この三大奉仕部門の資金をどのようにして集めているのでしょうか。
ロータリーの歴史を調べると、ロータリークラブが奉仕活動をするときには、目的別募金活動をしていたことが判ります。Golden Strandには、愛馬を亡くした農夫に新しい馬を買い与えようという動議がだされ、その動議がクラブ理事会で採択されると、その目的のための募金活動が始まったという記述があります。
現在でも、個々のWCSや社会奉仕活動について、それぞれ目的別の募金活動を行い、その集まった資金の範囲内で奉仕活動が行われています。
目的もなしに、ニコニコ箱のお金を集め、使わないままに翌年に繰り越したり、何とか消化しようと無理をして、くだらない社交的な寄付をするよりも、よっぽど合理的だと思うのですが、皆様はいかがお考えですか。

C   食費
食費を会費に含めて徴収しているのは日本だけの特徴です。外国のクラブではその都度食費を別に支払ったり、めいめいが好きな食事のクーポンを買ったりします。
食費は日本と比べると桁違いに安く、アメリカの場合は、大都市のクラブで15$くらい、地方では5-10$といったところです。