ロータリーとIT (RI編)
RIのウエブ・サイト http://www.totary.org が開設されたのは1996年の始めです。もともと、ワシントン州のあるクラブが持っていたドメインをRIが譲り受けて開設したもので、RIのウエブ・サイトの歴史はそんなに古いものではありません。現在と比べるとその内容も簡素なもので、利用できるのはRI会長のメッセージくらいのものでした。1996年7月、ジアイ会長のメッセージが始めて音声入りで掲載され、ダウンロードに長時間かかったことを記憶しています。
RIのIT化の推進役は、何といってもデブリン会長の功績によるところが大です。エレクト就任直後から、RI事務局のCommunication部門を充実すると共に、Frank
Devlynのウエブ・サイトを立ち上げたり、Technology Task Forceを新設して、ロータリーのIT化に取り組みました。
委員長に任命されたTom Toddは私と同期のガバナーで、現在も私と親しい間柄ですが、非常に積極的に実務をこなし、デブリン・ウエブ・サイトの目玉となった、Rotary
leaning Center (ロータリー研修のためのパワー・ポイント・シリーズ) は、ほとんど彼の手によるものです。なお、このシリーズはRI
Online Universityと名を変えて、現在も掲載されていますから、興味のある方は http://www.riuniversity.org/ にアクセスしてみてください。
1999年2月のRI理事は、2000年7月からRI事務局と理事、管理委員会委員、委員会委員、実行グループ委員、および地区ガバナーは、E-メールを通常の連絡手段として使うことと、RIからの情報や出版物をウェブ・サイトで提供することを決定しました。それまでは、電子コミュニケ―ションの信頼性が低かったり、アクセス料金が高すぎる地域に対しては、引き続き印刷物として人手可能という例外規定もありましたが、2000年7月から、全ての情報がeメールとウエブ・サイトを通じて発信されるように、抜本的に変化してしまいました。
2000年2月のRI理事会は、公式機関雑誌に倣ってインターネットの多国語化を決定しました。言語別ウエブ・コミュニティを作り、当面、フランス語、ドイツ語、日本語、韓国語、イタリア語、ポルトガル語、スペイン語、スウェデン語のウエブ・サイトから、条件を満たしたものから認定しようというもので、RJWは公式サイトの第一号として認定を受けました。ちなみに、私がWebmaster、成川PDG、黒田PDG、河本PDG、横山氏がリエゾンに任命されました。
2000年7月、デブリン会長の就任と共に、RIのIT化は一気に加速しました。従来からあったRIのウエブ・サイトの内容が大幅に充実されて、ロータリーおよびロータリー財団の奉仕プログラムや、理事会決定事項、RIの各種出版物(公式文献、ニュース・バスケット、ロータリー・ワールド、ザ・ロータリアン)、規約、各種申請書が収録されるようになりました。同時に、デブリン会長のウエブ・サイト
http://www.frankdevlyn.org/ (現在も常に内容を更新しながら維持されています) を通じて、タスク・フォース情報やアクション・チーム最新情報、E-エクスプレス(ニュースレター)、会長動静等が発表されました。
全く新しい情報伝達手段として、E-メールが登場し、タスク・フォース、DICO、CICO、クラブ会長その他アドレス登録者に直接とどけられるようになりました。
なお、このDICO District Internet Communication Officer は、デブリン会長からの情報をガバナーに、CICO
Club Internet Communication Officer はクラブ会長に届けるために設けられた役職で、キング会長に代わってからは廃止されています。
2000年12月、東京でロータリー研究会が開催されたとき、私は「インターネットの活用について」と題するスピーチを行いました。それを聞いたデブリン会長は非常に喜んで、昼食会のとき、自分のテーブルに招いてくれ、パワーポイントを使って「ロータリーの広報」のバネリストを勤めた黒田PDGの二人を、テクノロジーのコーディネーターに任命していただき、日本の全ゾーンを担当するように依頼されました。
2001年2月23日、言語別ウエブ・コミュニティが実働を開始し、多国語によるウエブ・サイトがRIウエブ・サイトとリンクされました。私はこのときにロータリー囲碁国際大会のために韓国の釜山に滞在中で、たまたま会場で開いたRIのウエブ・ページがフラッシュ付きの素晴らしいものに変わったのを見て驚くとともに、RIウエブのトップ・ページからRJWやRotary
Koreaに直接リンクできることに気づいて、皆で祝いあったことを記憶しています。
2001年4月、シカゴで規定審議会が開催され、ITに関する提案がほとんど採択されました。最初の提案は私が行った「RIおよび言語別ウエブ・サイトに機関雑誌と同等な権限を与える」であり、RI細則21条の新設という形でめでたく採択されました。私の提案に対して、Tom
ToddテクノロジーTF委員長や黒田PDGが応援演説をしていただきました。
その後は、韓国からの提案されたRIおよびクラブのIT化に関するRI定款変更、再度私が提案したRI事務処理のIT化等、ITに関連した提案が軒並み採択されるという事態になりました。コーヒー・ブレークの際、デブリン会長はわざわざ私の所まできて、Takeshi,
you did great jobs ! と言ってくれました。
ただ残念なことは、この時同時に提案された「ウエブ・サイトの購読義務」が時期尚早ということで否決されたことです。これが通らなかったばかりに、財政措置が与えられず、ボランティアの善意に頼らざるを得ない状態が続いているので、次回の規定審議会では、せめて言語別ウエブ・サイトとして承認を受け、現実に稼動しているウエブ・サイトの費用だけでも、受益者が負担するように改正されることを期待しています。
2001年6月、ブェノスアイレス大会では、独立した広いCommunicationのブースが作られ、私も連日、Technologyブースお手伝いをしました。Rotary
Fellowshipの全ブースを回るスタンプ・ラリーが行われ、全ブースのスタンプを集めた人には、2002年国際大会の招待券が当たるということで、大勢の人が押し寄せました。TechnologyブースではRotary
leaning Centerのどれか一つのプログラムを見ることが条件になっていたため、操作説明に大忙しでした。
1998年6月、日本語課のベテランだった高橋氏が退職後、大規模な日本語課の組織替えが行われました。清川由美子氏が新しくスーパー・バイザーに就任し、その後まもなく、翻訳権が日本サービス・センターから、RI本部の日本語課に移り、その時点から、重要な情報は、RIで翻訳されて、RJWに送られるようになりました。
キング会長自身はITに関心が強いとはいえず、折角作ったDICO、CICOも廃止になり、会長自身のホームページも殆ど更新無しに終わりましたが、RI事務局のIT化は積極的に進められ、RIウエブのBusiness
Portalを通じて、クラブ会長幹事は会員の入退会状況を報告することができるようになったり、ウエブ上からクレジット・カードを使って、会費や財団寄付が行えるようになりました。現在はアメリカだけが対象ですが、2002年10月からは、日本でもRIが発行したオリコ・カードを使って、ウエブ上からの決済が可能になる予定です。
2002年1月にワン・ロータリー・センターを訪問した際、RIのウエブの現況をCommunication部門の責任者であるSherry Bondiから聞くことができました。ハード面はレンタル・サーバーによる外部委託で、保守や管理も全て業者に一任しています。ソフト面もhtml化の作業は外部委託で、内部でやっているのは文書作成と画像処理を含めたレイアウトの作成までで、そのために数名のスタッフが常勤しています。
RIウエブ・サイトの総ページ数は約7500ページです。RJWが4500ページあり、それをすべてロータリアンのボランティア活動によって維持していると話すと、びっくりしていました。
RIのCommunication部門は、ほぼWindowsで統一されていますが、デザイン課だけはMacを使っています。ロータリー財団関係のグラフィックスの多い文献類は、デザイン課で作ることが多く、文書全体をMacで画像として取り込んだものをPDF化しているために、アクロバット5.0を使っても、リッチ・テキスト化することができないという不都合が生じます。
先般、標準ロータリークラブ定款・推奨細則の邦訳がRIから提供された際、日本語課が手続要覧の翻訳作業で忙しかったため、せっかくワードで作ったファイルがデザイン課に回ってしまい、Macで画像処理化したファイルがPDF化され、転換不能となったことがありました。ワードかテキストで提供してほしいという要望が多かったので、私がスキャナーにかけて読み取り、それをワードに転換して、RJWを通じて提供したのですが、ミス・プリントが多いとお叱りを受けて、憤懣のはけ口に困りました。
定款や細則のような加工や引用が必要な文書は、絶対に画像をPDF化したものを送らないようにという、私の申し入れに対して、Mac派はMacに対する思い入れが強いで、OSの統一がRI
Communication部門の最大の問題点だと語っていました。
ウエブ・コミュニティとして承認されている9ケ国のうち、現在、実際に稼動しているのは、英語(RI)を除いては、日本語、フランス語、ドイツ語、スペイン語、ポルトガル語(ブラジル)だけで、日本語のサイトは量、質ともに群を抜いた存在です。
RIは、ウエブ・コミュニティに参加しているのに、ウエブ・サイトを開設できない国にも、必要最小限の情報を提供するために、2002年8月15日より、RIのサイト内に、RIが作った言語別サイトが新設されました。
RIウエブ・サイトの右上にあるウエブ・コミュニティのリンクで、たとえば「日本語」をクリックすると、今まではRJWにリンクしていましたが、現在は、RIの作った日本語のページにアクセスします。ただし、内容は、すでにRJWに掲載されているものばかりですから、日本のロータリアンにはあまり関係はありません。しかし、情報量の少ない国にとっては、大きなプラスになるでしょう。なお、このRIの日本語ページの最上段にはRJWへのリンクが貼られています。
RIの事務局の情報提供体制もまだ混乱しているようです。翻訳権がRIにあるわけですから、すべての情報は日本語に集約の上、翻訳されて、RJWに提供されるはずですが、現実には、それぞれの部門から、英語で直接RI日本事務局に送られ、そのことを日本語課の職員が知らないという事態が、再三起こっています。それでも日本語はまだいい方で、他の言語では、ウエブ・サイトにほとんど情報が届かないケースも多いそうです。
なお、RIのウエブ・サイト上で提供される情報は、RIが特に重要だと判断した情報だけが、日本語課で翻訳されてRJWに送られてくるわけで、大部分は、英語のみで提供されている現状です。同じ人頭分担金を払っているのに、RIのウエブ・サイトのみその分担金を使って製作され、英語圏以外の国は、ボランティアで自国語のウエブ・サイトを作らなければならないことに、不公平感を感じます。
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