なぜロータリーに入会するのか (1963年版)
ラルフ・コリンズ(ロチェスター・ロータリークラブ)
ロータリアン誌1963年9月号
1.集団の一員となるニーズ
ある人が「バイソンと象だけが、より強い群れを作る本能を持っている。」と皮肉ったが、ロータリアンはそれ以上である。分別のある人はいつも強い群を作る本能を持っている。それは自己保存と食物と性に次ぐ四番目の本能として知られている。群を作る本能は、個人の行動が、共同社会の全体の行動と調和していることを保証するものである。男も女も、人間を磨く教養でも、グループに加わろうとする傾向がある。分別のある人は、仲間外れになるまいとして、身内の者になろうとする。どうしてだろうか? 何故なら、人は根本的に、一生を通じて、人間のすべてを改善するために尽力しょうと欲しているからである。
2.やりがいがある運動に自らの最善を尽くすニーズ
私は、多くの人々が、毎日毎日、自分の専門分野で、問題に対する返答を模索しながら活動しているのを見ている。私は、彼らに言っている
「あなたの最善を尽くしなさい。地域社会や教会のプロジェクトに熱中するか、または、しばらくの間徹底的に、ニーズのために個人を捧げなさい。この献身の結果として、あなたはすぐ豊かな心になるでしょう。その豊かさとは、再び人類の一員になったような気持ちを、その人に抱かせるような満足感に満ちた豊かさなのです。それを行うことによって、あなたや我々みんなは、自分以外の人たちのことや、いろいろな事に夢中になってしまった余り、自分の身の上の些細な出来事や悩みを忘れてしまうのです。このことは、我々の生活のバランスを取るのに限りなく役に立ちます。ロータリーは、社会奉仕を見つけだすまでは、どこにも行きようがありませんでした。まったく利己的な目的のために、長い時間人々を団結させておくことはできないのです。組織に対する忠誠心は、為すべきやりがいがある事に正比例します。あなた自身に与えられたボランティア活動は、すべての偉大なる活動の一部なのです。」
3.心を通わせるニーズ
我々は基本的に、実業や専門職種の世界で、自分たちの仲間と語り合うことが好きである。ロータリーの昼食、委員会、ファイアサイド・ミーティング、地区大会、国際大会は、この機会を我々にもたらす。しかし、我々はどれだけ多くのことを、聞くことができよう。たまたま、我々はいろいろなことを学ぶことができるように、二つの大きい耳と一つの小さい口を持っている。次のロータリーの例会で、彼にとって問題となり、興味をひき、報われることは何であり、それをどのようにするのかを、近くの人に聞いてみるがよい。
あなたが旅行する時には、あなたが訪問するロータリークラブでも同じことをしなさい。あなたが会った人から学ぶべきことと、隠れた報酬の多さに、あなたは驚かされるに違いない。
4.人々の福祉に関係する組織と我々自身とが共に行動するニーズ
我々は、人々の福祉に関係する組織と我々自身が共に行動し、事業と社会の道徳の改善をはかる必要がある。我々のほとんどは、幸せに恵まれない人たちを助けるように教えてきた、社会的、宗教的な環境の中でしつけられてきた。我々が成人になっても、まだその影響をうけている。他人のニーズに対して気を配るように、我々の教師や両親やその他の人たちが行ってきた、すばらしい仕事を証明しようとして、我々の良心が痛むのである。
5.世界の問題を解決するのに役立つニーズ
あらゆる世界中の人々は、ボランティアの精神の虜にならなければならない。我々は現実の問題に、我々の時間、考え方、エネルギーを傾注しなければならない。これらの問題のほとんどは、人々を対象としたものであり、人々に対する奉仕は、我々にとって終わりのない事業である。一人の力では、ほとんど成し遂げることが不可能なので、共に行動することが多い。ロータリーは、我々が多くのことを成し遂げる道を提供する。
6.はけ口としてのニーズ
職場や家庭や社会生活の中では、満足することのできないエネルギーが存在する。ある者はスポーツを好み、ある者は、やりがいがある活動に、自分のエネルギーを発散できる多くの活動を抱えているロータリーのような奉仕のはけ口を好む。これは、その三本の脚を、職業、余技、レクリエーションに、そして4本目は、家族や宗教や芸術や音楽や文学を含めたものとして例えられる、人生という椅子のバランスを保つようなものである。
7.成長し、円熟し、学び、改善するためのニーズ
一緒になって昼食をとりながら、他の人たちの話を聞いたり、彼らの興味のあることや、家族や仕事や失敗談や成功談や旅行の話を語り合うことによって、その人は学んでゆく。夫、父親、雇い主、従業員、市民、ボランティアなど、すべての人は、自分果たすべき多くの役割を、自分自身で進歩させることができる。世界に広がるロータリーは、教師に満ち溢れており、すべての人はお互いから学び合う。
8.心暖まる親睦へのニーズ
自らが社会経済の専門家であり、知性があり、地域社会へ関心度が高い人たちによる心暖まる友情は、我々みんなが必要性を認める強い思いである。共に歌いたいという願望は、原始的な本能ではない。しかし人々は、未だに歌や物語を愛し、時には子どもたちと遊び、スポーツに興じ、すばらしい時を過ごす。それは精神にも、健康にも、身体にも良いことである。
9.世界中のあなたの仲間を知るニーズ
国際ロータリーにおけるロータリークラブの組織は、他のロータリアンの心や家庭や職場に通じる多くのドアを開け放っている。従って、我々はお互いの伝統や歴史や宗教や文化や習慣や望みや恐れまでも、より充分により明確に理解することができる。我々が旅行する時、もし学んだり聞いたりするために入りたいと思えば、ブルーと金色の歯車のボタンは、多くのドアを開けてくれる。このようにして、世界的な兄弟愛は強められていく。
10.ボランティア活動にリーダーシップを発揮するニーズ
我々の中のある者は、リーダーシップの能力と技量を持っている。これらの技量は、ベールを取って開発される環境が整うまでは、無意識のうちに、隠れて存在しているのかもしれない。我々は他人が見ることができても、自分自身の技量を見ることができない。ロータリー運動におけるリーダーシップは、数多くの人たちに、10倍もの報酬をもたらしている。
|