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炉辺談話(195)

ポール・ハリスの訪日

ポール・ハリスの訪日行程については諸説があり、どれが本当のことか判りませんでしたが、この度、米山記念館の資料の中から、その詳細な記録が見つかりましたので、ご紹介させていただきます。

  • 1935年1月末、プレシデント・クーリッジ号に乗船し、日本に向かって航行中である旨、電報によって連絡があった。
  • 当初は、2月初めに横浜着の予定だったが、天候不良のため順延し、2月9日午前5時に横浜着。横浜市長、鹿島東京RC会長他多数の出迎えを受け、横浜のニューグランド・ホテルで小憩の後、汽車で東京へ。
  • 10時30分、東京駅に到着。二重橋、明治神宮その他の市内観光の後、午後2時、帝国ホテル着。
  • 小憩の後、ホテル前庭に月桂樹を植樹後、芝公園内の紅葉館で行われた歓迎会に参加。
  • 歓迎会の後、三越百貨店、御木本真珠を訪問。夕刻、帝国ホテルに戻って衣装換え。
  • 午後6時より、東京會舘4階で行われた、東京RC、横浜RC主催の歓迎晩餐会に出席。

この歓迎晩餐会の模様を原文のままご紹介しますと・・・

「食堂は桜咲く隅田川の春景色にしつらい、洋風の窓や戸は日本の提灯で隠し、三囲神社を模した建物まであり、別室では日本古流の茶室で抹茶の接待が行われ、一行は此の接待に充分満足気であった。晩餐会はロータリー・ソング(Rotary my Rotary)で始まり、食事中日本の三曲合奏および声楽家の独唱があり、一方舞台では見事な桜踊りがあった。ポール・ハリスは立って、君が代のオーケストラの演奏の中に天皇陛下のためにトーストを捧げた。又日本側からは東京RCの名誉会員前首相斉藤実子爵が米国大統領の健康を祝し、その間米国国歌が演奏された。
デザート・コースに入って東京RC会長鹿島精一が、又横浜RCの副会長ソマーラーがそれぞれ会を代表して挨拶し、ついで米山梅吉が歓迎の挨拶を述べた。これに続いて名誉会員徳川公も感想と挨拶を述べ、次にヒルRI会長の謝辞があり、最後にポール・ハリスが感激にみちた挨拶をした。」

「紅葉館での料理は全部次のように純日本式であった。
献立
御作り身              鮪、平目、胡瓜、山葵
御吸い物              すっぽん、葱、生姜
御蓋物                  牛肉煮込、玉葱、隠元豆
御焼肴                  鯛、生姜
御間い肴              あい鴨、鰻、百合根
御鉢肴                  車海老、青唐辛子
御留椀                  若鶏、人参、筍、青豌豆
御飯                     米飯、新香
御水菓子              苺 」

  • 午後9時30分、東京駅発の夜行列車に乗車、翌朝7時50分、京都着。京都ホテルで朝食。
  • 車で京阪国道を通り、新大阪ホテルへ。午後1時より、京阪神3RC連合の歓迎会に参加。なお、この歓迎会には、京阪神の他、岡山、門司、名古屋、ハルピン等のロータリアン130名が参加した。ロータリー・ソングに始まり、来賓紹介、村田ガバナーの歓迎の辞の後、ヒルRI会長、ポール・ハリスの答辞があった。なお、ヒル会長には七宝香炉、ポールにはブロンズの胸像が贈られた。
  • 晩、神戸よりマニラに向けて出航。