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炉辺談話(235)

ロータリアンの条件

ロータリークラブ会員の条件は、RI定款第5条によって、善良な成人であって、職業上良い世評を受けている、一般に認められた有益な事業または専門職務の持主、共同経営者(パートナー)、法人役員または支配人または、一般に認められた有益な事業または専門職務あるいはその地方代理店または支店において、裁量の権限ある管理職の重要な地位にあり、または上記の地位からも退職していることと定められています。
それ以外にも、例会出席の義務を果たすこと、綱領遵守の義務、会費支払いの義務、雑誌購読の義務といった形式的な条件がありますが、これをすべて備えていればいいロータリアンだと言えるでしょうか。

活力あるクラブにするために、望まれるロータリアン像として、将来すばらしいロータリアンになる可能性を持っている人が挙げられます。現在は、業界において、2番手3番手に甘んじている人であっても、その素質を持ってる人ならば、ロータリーの教育的効果が実って、将来は、業界においてもロータリークラブの中においても、すばらしい人に成長する可能性があります。
ロータリーの理念を受け入れる人に入ってもらうことも必要です。ステータスとしてロータリーを考えるのではなく、ロータリーの理念を理解し、これに共感する人がぜひとも望まれます。
当然のことながら、高い職業倫理観を持っている人も必要です。悪い意味で新聞紙上を賑わせるような人がロータリークラブの会員だったとすれば、それはロータリー運動そのものが、世間から否定されることにつながります。
健全な事業活動している人という条件も大切です。なぜならば、ロータリーの職業奉仕は、事業を継続的に発展させるための指針でもあるからです。
事業上の裁量権を持っている人に、入ってもらう必要もあります。もしも自分の事業態度に間違っている点があることを指摘されれば、それを即座に改善する必要あります。そのためには、事業上の裁量権を持っていることが必要です。
奉仕活動の実践に、積極的に参加する人も必要です。特に、国際レベルの活動に参加する日本人ロータリアンが、極めて少ないことが指摘されています。
なるべく若い人に入会してもらうことが必要です。なぜならば、ロータリークラブは、生涯教育の場ですから、同じ勉強するならば、なるべく若いうちから開始する方が良いからです。

会員は職業分類を代表して、その所属する業界にロータリーの奉仕理念を伝えるという考え方から、現職にある人を最優先し、リタイアした人はパスト・サービスとして区別してきましたが、2001年の規約改正によって、名誉会員を除く全ての会員は、正会員に統合されました。リタイアした人がどのようにして職業奉仕活動を実践するかについては大いに疑義があるところですが、これも会員増強と退会防止の大きな流れの一つでしょう。なお、会員増強の大義名分の下で、ローターアクターや財団学友をロータリーの会員にしようという動きがありますが、これらの人たちが事業上の裁量権を持っていない場合、果たして会員としての資格を有するかどうか問題となるところです。

RI定款第13条によって、クラブの各会員はロータリアンとして認められ、RIの徽章、バッジまたはその他の記章を着用する権利が与えられています。
すなわち、規約上はロータリークラブの会員とロータリアンとは同義語ですが、これを区別すべきだという考え方もあります。

ガイ・ガンディカーは「ロータリー通解」(1916年発行)の中で次のように述べています。
「ロータリアンとはロータリー運動に熱意を持つ人か、例会出席を欠かさない人か、実践活動を怠らない人のことです。出席義務を果たす確証のない人はその職種の代表となる資格はありません。ロータリー・ライフは電流が流れる電線 (live wire) のようなものです。電流が流れたり流れなかったりする電線は無用の長物です。例会に出たり出なかったりする会員には、確固たる措置が必要です。」

このロータリアンの条件が現在にも通用することは明らかです。単なるロータリークラブの会員に終始することなく、真のロータリアンを目指したいものです。