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炉辺談話(238)

ロータリークラブの条件

 ロータリークラブはロータリアンによって構成されています。すなわちロータリークラブの会員はロータリアンです。RIはロータリークラブの連合体であり、RIの会員はロータリークラブであってロータリアンではありません。

1905年にシカゴ・ロータリークラブが創立され、その後拡大が進んで、クラブ数が16に増えた時点で、それらのクラブの連合会としてRIが結成されたという経緯から、各ロータリークラブには大幅な自治権が認められています。
当初RIに与えられた権限は、新クラブの拡大と奉仕理念の提唱だけでしたが、後にRIとクラブ間の連絡調整権が与えられ、さらに、1922年からは直接監督権が与えられました。この直接監督権は、クラブがRI定款、RI細則、標準ロータリークラブ定款に違反した場合のみ発揮できるもので、もっとも重い懲戒処分はクラブの除名です。
かつて、定款上、女性の入会が認められていなかった時期に、再三にわたるRIの勧告を無視して女性会員の入会を認めた、カリフォルニア州デュアーテ・クラブがRIから除名されたという例があります。これを不満としたクラブが上訴して、逆にRIが連邦最高裁で敗訴したことから、この懲戒権はよほどのことがない限り抜くことのできない、伝家の宝刀であると考えていいと思います。

クラブ管理運営のほとんどと奉仕活動の実践は、これらの規約には記載されておらず、すべてクラブ細則で定めることになっていますから、クラブが自治権を発揮しようと思うのならば、まず、クラブの現状に則したクラブ細則を制定しなければなりません。
RIが制定している推奨クラブ細則はあくまで推奨に過ぎません。この推奨細則は会員数200名ほどのクラブを想定して作られていますから、会員数5-60名のクラブがこれをそのまま適用するといろいろと不都合が生じてきます。特に委員会構成はそのクラブのサイズに合った構成にしないと、一人の会員が二つも三つもの委員会を兼務することになります。クラブの現状に合わせて、思い切って委員会の統廃合や新設をする必要があります。

一人一業種撤廃によるクラブ内の不協和音も、入会手続きの変更によって、既に職業分類を貸与されている現会員の権利を守ることが可能です。
クラブ管理、奉仕活動の実践、例会の持ち方などほとんどのことはクラブ細則の範疇にありますから、クラブの実態に合わせて、常に細則を見直し、思い切ってその内容を改正することが肝要です。

ロータリーの哲学は実践哲学です。これは、ロータリー活動は理屈を述べるだけではなく、実践が伴わなければならないことを意味します。個人としては当然のことながら、クラブとしても年間少なくとも一つは、奉仕活動を実践することが要請されています。その際の様々な条件や制約をまとめたものが決議23-34です。

RIから要請される具体的な奉仕活動の実践は、世界中のニーズをまとめたものですから、日本においてはかなりの温度差のあるものもあります。一方、ガバナーからは、地区内のニーズに基づいたプロジェクトが要請されるかもしれません。
これらの要請をクラブの自治権を理由に拒否することは可能です。しかしその代わりに、独自にクラブが開発した奉仕プロジェクトを実践する義務が生じてくることを忘れてはなりません。RIやガバナーから要請された奉仕活動は拒否し、自らのクラブの奉仕活動も実施しないでは、クラブの存在価値はないのです。

定款によってクラブの管理主体は理事会と定められています。会長がどんな素晴らしいプロジェクトを提示したとしても、理事会がこれを拒否すれば実施することは不可能です。理事の任命権は会長にありますから、会長のリーダーシップを十分発揮できるように人選することが必要ですが、会長と理事とは常にクラブの管理運営や奉仕プロジェクトについて、十分意思疎通をはかることが必要です。
2001年の規約改正によって、例会取りやめ、例会変更、メークアップ、入会・退会などかなりの部分が理事会の裁量権に委ねられるようになったので、理事会の責任は極めて重大と言わざるを得ません。