職業分類の意味するもの
「あなたは何故、仕事をしているのですか」と聞けば、「儲けるため」という答えが圧倒的に多く返ってきますが、これは間違いです。ロータリーでは、自らの職業分類を通じて社会に奉仕するために仕事をしている、そして奉仕を実践した程度に応じて利益を得ていると説いています。
私たちは無造作に職業分類という言葉を使っていますが、職業分類は会員の職業を表すと共に、その職業分類に従事する会員の奉仕義務を示したものです。ロータリーが、奉仕という目的のために、個々の会員に課している義務とは何でしょうか。この疑問の答えは、現在は使われていませんが、かつて国際ロータリーが示したロータリーの職業分類表の大分類を見れば、どんな種類の奉仕を地域社会全体に対して行う義務があるのかを理解することができます。
まず、人間の生命に欠かすことの出来ない、農業、食料、飲料、衣類、住居、家具、冷暖房、照明、換気、医療、交通などの奉仕分野があります。人間は食べたり飲んだり、家に住んだり、衣服を着たり、動いたり、健康を保たななければならないので、これらのすべての基本的分野において、人々が必要とするものを提供するために行う事業が、奉仕の第一歩と言えるでしょう。
しかしこれらの活動に役立つ奉仕だけでは、生き生きとした生活が望めないので、ビジネス、サービス、金融、保険、教育、外食産業、美術、事務用品、印刷、出版、広告、娯楽等という分野の奉仕が必要となってきますし、さらに、より高級な楽しみとも言える高級品や豪華な食料品や娯楽や趣味を提供するという奉仕分野がこれに加わります。また、教育、法律、科学、芸術、行政などという組織や施設による奉仕分野もでてきます。
私たちの職業分類は、これらの数々のカテゴリーの中に属しており、どのレベルに属しているかは別にして、自らの職業に適用した職業奉仕を実践する義務があるのです。そしてその義務に応えた程度に応じた利潤を得ているのです。
一人一業種の職業分類を貸与されているということは、自らの職業分類を通じて地域社会に奉仕できるのは、原則としてその地域社会に自分一人しかいないことを意味します。従って、どんな事態が起こったとしても、その人が持っている能力を最大限に発揮して、地域社会に対して職業を通じた奉仕を実践する義務があるのです。
これは例えば、阪神大震災のような緊急事態が起こったとしても、自分の職業分類の分野の技術や商品を提供できるように、日ごろから、これらの基本的な品物を備蓄したり、確保に応えられるように準備をしておく義務があます。なお、ロータリアンは業界の代表者として、これらの基本的な品物の確保に応えられるように、業界内で協定を定めておく責任があることを意味するのです。
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