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炉辺談話(26)

 クラブ幹事は執行部門の代表者として、内閣総理大臣に例えられ、実務上の権限と責任を持っています。正副委員長や委員の選定(任命権は会長)等の人事、予算組み、会員の入退会、事務局等のクラブ管理に関する実務的事項は、すべて幹事を窓口として処理されます。

 ロータリークラブが社交クラブとして発足した歴史的背景から、クラブの取りまとめ役であり世話役でもある幹事の存在は大きく、留任はむしろ推奨されており、大阪クラブの露口四郎は13年間幹事を務めたという記録を持っています。
 シカゴ・クラブで40年間幹事を務めたチャールズ・シュミットに対して、プリベンセン会長が次の言葉を贈っています。
「我々はマザークラブの賢人、新入会員の父なる告白者、桂冠詩人、プロの抒情詩人、数分間の記録者、決議の提案者、記録の保管者、金庫の見張り番、事務局の聡明なる王、委員会委員長の助産婦、気配りの玄人、会長の養育者としてシュミットを認めるものです。」
 近年、幹事の権限が徐々に縮小されて、その権限を会長に移す傾向が強くなり、1962年のRI理事会決議によって、その任期も他の役職同様に一年間が原則となりました。

 執行部門の代表権者ですから、審議部門にはタッチしないことが原則で、すべての委員会に属さず、執行部門の代表権者としての発言、助言、勧告以外に、理事会や委員会の運営に関する権限を持っていません。従って、理事会の議長を務めたり、委員会報告の代行を幹事に依頼することはできませんし、例会の司会を幹事に委ねることも避けるべきでしょう。職権上の理事であり、定款細則を始めあらゆる情報に精通した実務上のプロとして、理事会で積極的に発言、助言、勧告する義務がありますが、執行権者という立場から考えれば、議決には参加しない方が決定事項を執行しやすいでしょう。
 ロータリーに関するあらゆる情報は幹事に集中するので、クラブ会報の編集も本来幹事の役割ですが、実際には副幹事が代行する場合が多いようです。
 就任条件として、いずれかの委員会の委員長を経験した会員から任命されます。

具体的職務内容
◎会員記録の整理保存。
◎あらゆる会合の設営、召集通知の発送、出席記録、議事録の作成と保存。
◎RIに対する会員半期報告( 1月1日、7月1日)、四半期報告(10月1日、4月 1日)、出席報告(毎月最終例会直後)を含むあらゆる報告と連絡。
◎ロータリアン誌購読料の送付。
◎会員証、メークアップ・カードの発行。
◎ガバナー公式訪問報告書の作成。
◎会長、理事会、委員会、会員との連絡調整。
◎理事会の意向を受けて会計と共に予算書やよび決算書を作成する。決算処理と会計書類の作製は会計の業務となるが、予算の大枠を組む作業は幹事の責任である。