四大奉仕とは
物質的相互扶助から決別し、奉仕理念を確定した初期ロータリーの活動は、例会内活動と例会外活動に分類できます。すなわち、一人一業種で選ばれた世に有用な職業の代表者が、毎週一回開かれる例会に集まって奉仕理念を学びます。奉仕理念の研鑚は、会員の職業上の発想の交換によって導き出されるものであり、どんなことでも相談できる前提として必要なものが親睦です。また奉仕理念の研鑚は一生続けなければならない生涯教育の場でもあることから、ロータリー活動には定年制はありません。
例会内活動によって高められた心を持って、それぞれのコミュニティに戻り、そこで奉仕活動の実践をするのが理想的なロータリー・ライフです。
すなわち例会内活動は親睦を前提とした奉仕理念の研鑽、例会外活動は奉仕活動の実践と、明快に区別されていると同時に、先ず例会内活動において奉仕理念を研鑽した後に、それぞれのコミュニティにおける例会外活動において、奉仕活動を実践するように順序づけられていました。
理論の裏付けのない行動は単にエネルギーの無駄使いだけではなく、運動そのものを危険に陥れる恐れすらありまから、例会内活動はロータリー運動を成立させるための必要条件として、定款や細則の規制下に置き、例会外活動は充分条件として、ロータリアン個人やクラブの自由裁量権に委ねていたのです。この一連の流れを、「Enter
to learn, go forth to serve. 入りて学び、出でて奉仕せよ」と表現しています。
その後、職業奉仕の理念が確定し、対社会的活動が徐々に盛になり、また、新たに国際的な活動が始まるに連れ、例会外活動を合理的に再編成しようという動きがでてきました。奉仕活動の主体がロータリアンかクラブかの論争に終止符を打ったのが決議23-34ですが、この決議は、奉仕活動の主体はロータリアンであるとしながらも、サンプルという条件をつけながらも、クラブにも方活動実践の責務を負わせた内容になっています。クラブが奉仕活動の実践に関与する場合、従来の例会外の活動という考え方だけでは、これらの活動を管理することが困難になってきました。
そこで、1927年のオステンド大会においてロータリーの組織管理の合理化が行われ、実践上または管理上の利便から抜本的に再編成されて、現在の四大奉仕に基づいた委員会構成に変更されました。すなわち、目標設定委員会Aims
and Objects Committee の下にクラブ奉仕、職業奉仕、社会奉仕、国際奉仕委員会を置き、理事をそれぞれの委員長に充てるというものであって、現在の委員会構成の原形ともなるものです。この方法はイギリスのロータリー群で早い時期からパイロット・プログラムとして試行されていたものが、1927年にRIによって正式採用されたものです。
これによって、ロータリーの奉仕活動実践の実体と、クラブ管理運営の実体とがマッチして、奉仕活動の実践がやりやすいようになりました。奉仕活動実践分野をクラブ奉仕、職業奉仕、社会奉仕、国際奉仕と名づけましたが、この「奉仕」という言葉は多分に語呂合わせの感があります。何故ならば、それぞれの分野における「奉仕」の意味合いが全く異なるからです。クラブ奉仕の「奉仕」はクラブを維持管理するための活動であり、その受益者はもちろん会員です。職業奉仕の「奉仕」は自らの事業を維持発展していくための科学的な経営方法と結果として高められる職業倫理を表し、その受益者に会員も含まれます。社会奉仕の「奉仕」は弱者に涙する人道的援助活動を表し、国際奉仕はロータリアン同士の相互理解による国際平和を表し、その受益者はロータリアン外の人たちと言うことができます。これらの対象となる受益者も内容も全く異なった実践活動を「奉仕」という同じ言葉で定義したことは、いささか乱暴であると同時に、ロータリーの活動を一般社会の人はもちろん、ロータリアンからも判り難いものにしているのではないでしょうか。
さて、この四大奉仕に分類されて以降最も困ったことは、奉仕活動を実践する前提として行わなければならない、親睦と奉仕理念を研鑚する場が、四大奉仕のどの部分で行うのかが判らなくなってしまったことです。
親睦委員会は本来は、どんなことでも語り合える純粋親睦をクラブ内で作り上げる役目を負っているはずですが、現実には親睦会などの派生的な親睦活動に終始していますし、本来は奉仕理念を研鑚する役割を負っているロータリー情報委員会は、ロータリーの諸規定を説明するクラブ奉仕委員会に属する小委員会に過ぎません。
今日、奉仕活動の実践だけが重要視され、例会出席の重要性やロータリーの親睦や奉仕理念の研鑚がおろそかになっているのも、このあたりにその原因があるのかも知れません
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