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炉辺談話(266)

阪神淡路大震災復興事業報告 

 1995年1月17日午前5時46分、2680地区を直撃した阪神・淡路大震災の被害は淡路島、神戸市、阪神全域に及び、死者6,394名、負傷者40,071名、家屋全壊103,934戸、半壊136,096戸という未曾有の大惨事となりました。
 震災直後から、国内はもとより全世界のロータリアンの皆さまから暖かいご支援を賜りましたことを心から感謝しつつ、地区内全会員が一丸となって復旧から復興に向かって努力しました。10年が経過した今日、うわべは昔日の面影を取り戻したかのように見えますが、一歩路地裏に入ればまだ各地に更地が残り、中高年被災者の自殺、震災復興住宅での孤独死、いまなおPTSDの後遺症に苦しむ子供たちも沢山おり、この地域全体がかつての活力を取り戻す日の遠いことを実感しております。

 このたび期せずして大地震が中越地方を襲い、未曾有の大惨事を引き起こしました。この大地震の中で、どこから手を付けるべきか迷いながら、懸命の努力をしておられる被災地ロータリアンの皆さまに、少しでも参考になればと考えて、当2680地区および被災クラブが実施した震災復興活動のあらましをご紹介してみたいと思います。

1.地区レベルの活動

☆     救援物資購入                 6,440,000円
震災直後に、牛乳、水、食料、バイク、携帯電話等を要請のあった被災地のクラブに届けました。

☆ 被災クラブ交付金           36,000,000円
震災直後に、使途を限定せずに、36の被災クラブに1,000,000円ずつ分配しました。一部を被災したクラブの備品購入に充てたクラブもありますが、会員に分配したクラブはなく、ほぼ全額が奉仕活動に使われました。

☆ ロータリー子どもの家 347,308,000円 建設費および10年間の運営費
神戸市中央区内の真生塾の敷地内に、ロータリアン、ローターアクター、インターアクター等の勤労奉仕によって建設した施設です。当初は震災で親を亡くした子どもの収容施設として建設しましたが、その後、仮設住宅居住者や児童を対象に様々な事業を行い、現在は、不登校児や一般の子供のための施設として活用しています。運営はロータリアン、インター・ローターアクター、専従スタッフ、その他多くのボランティアによって実施されています。子どもの家を中心にした被災者(児童)支援の主な活動は、メンタル・ヘルス・ケアを中心とする治療的プログラム、ボランティア指導者養成プログラム、広報啓蒙活動、被災家庭へのボランティア派遣、不登校児童のフリースペース、不登校児を持つ親のためのカウンセリング等です。

☆ ロータリー・フレンドシップ・ハウス(留学生の家) 費用は子どもの家に含む
震災で住居を失った留学生の収容施設として、神戸YMCAの敷地内にロータリアン、ローターアクター、インターアクター等が自ら汗を流して建設した施設です。なお、留学生以外にもボランティアやスタッフの受け入れ施設としても活用されましたが、被災留学生がいなくなった時点で撤去しました。

☆ 震災復興同額補助金制度                     86,000,000円
ロータリー財団の同額補助金を模して、クラブ・レベルで震災復興事業を行っているクラブに、地区からほぼ同額の補助金を支給しました。19クラブの事業に対して約8,600万円の補助金を交付しました。

☆ 米山奨学生支援金                                    2,800,000円
被災した米山留学生に対する支援金

☆ 留学生支援金                             3,300,000円
被災した一般留学生に対する支援金

☆ 復興映画祭                                               6,947,000円
子供を対象に野外映画祭を複数回開催

☆ 阪神地区学生ボランティア交流センター 70,000,000円
この震災において特記すべきものに、ボランティアの積極的な活動があげられます。震災時に登録された学生ボランティアのデータを、今後有効に活用するために設立されたセンターで、阪急西宮北口に事務所を設置し、インターネットを活用してボランティア情報の収集や提供、学生ボランティアの追加登録・派遣などの業務を行いました。阪神間の10大学がこのネットワークに加盟し、阪神間のロータリークラブが中心になって運営に当たりました。

☆ 建築技能アカデミー                          60,000,000円
震災復興のために必要な町の建築技能者を短期間に養成する学校で、ハウスビルダー科、インテリアクラフト科、タイルブロック科、ドローイング科、CAD科などがあります。受講生には震災で失職した人、中高年の転職・再就職希望者に混じって若者の姿も目立ちました。神戸、阪神間のロータリアンが中心になって設立、運営に当たり、多くの会員がその職業経験を生かして講師としてボランティア活動をしました。2001年に所期の目的を達成したため閉校しました。

☆ 「その時ロータリーは」 記録誌発行        4,763,000円

2.クラブ・レベルの活動

震災直後の活動
☆ ミルク提供
☆ 紙おむつ提供
☆ 水、食料提供、炊き出し
☆ トイレ用水サービス
☆ 巡回医療
☆ 入浴サービス、簡易浴場提供
☆ 靴下、靴、下着提供
☆ バイク、自転車提供
☆ 仮設住宅の環境整備、慰問

中長期活動
☆ 相談コーナー開設
☆ 震災孤児に対する奨学金制度
☆ 被災学童に対する奨学金制度
☆ 震災復興住宅の環境整備
☆ 震災モニュメント建立
☆ 心のケア事業
☆ ボランティア・グループ育成
☆ ボランティア支援拠点の設立
☆ 高齢者輸送用バス提供
☆ 被災外国人学校復興援助