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炉辺談話(271)

地区組織

日本に於ける地区組織の肥大化がしばしば話題になっています。全日本ロータリー会員名簿で各地区の組織図を調べると、ガバナー補佐、地区幹事、各種委員会を含めた地区委員の総数は多い地区で250名、少ない地区でも80名位で構成されているようです。
地区資金、地区活動資金については全体的な統計は公表されていませんが、日本全体で考えれば、かなりの金額が地区組織維持のために使われているものと想像されます。

私たちが遵守しなければならないことは、RI定款、RI細則、標準ロータリークラブ定款に明記されている規約のみであって、「地区組織」に関する項目は、この中には記載されていませんから、すべてガバナーが必要に応じて決めればいいことになります。ガバナー要覧を見ると、一応基本的な地区組織図が記載されていますが、地区の必要に応じて、ガバナーが独自に定めるべきであることが記載されています。
ただし、ガバナーは地区唯一のRI役員という立場上RI理事会の決定事項を守らなければなりません。RI理事会の決定事項を纏めたものが「The Rotary Code of Policiesロータリー章典」であり、この中から地区組織に関して定めている項目を抜粋すると以下通りです。しかしこれらの内容のほとんどは推奨であって、強制的な義務ではありません。 

19.060 ガバナー補佐
DLPを採用してガバナー補佐を設置することが推奨されていますが、これは義務ではありません。ただし、DLPを採用しなければ、ガバナー補佐研修に関するRIからの補助金は支給されません。ガバナー補佐の任期は3年を越えてはなりません。選考の条件、任務などについては詳細な取り決めがありますが省略します。

19.070 地区幹事
RI理事会は、ガバナーが、ロータリー全般や地区の諸会合に詳しい会員を、最高5年の範囲で地区幹事に任命して、地区内の諸会合の設営、会合の議事録の作成、記録の保持に当たらせることを推奨しています。日本では、ガバナーの所属クラブから地区幹事を1年の任期で選ぶのが一般的ですが、規約上は一人のベテラン地区幹事が、5年間継続してその任に当たることが推奨されています。アメリカやヨーロッパや東南アジアの中小地区では、地区幹事を任命していない地区もかなり多く、ガバナーの自宅を地区事務所にして、奥さんと二人ですべての地区の仕事をこなしている例をかなり多く見受けます。独立した地区事務所を設置し、複数の地区幹事を任命している、アメリカの大地区や日本、台湾、韓国の遣り方は、確かに理想的かも知れませんが、世界レベルでみれば少数派なのです。

19.080 パスト・ガバナーの諮問委員会
パスト・ガバナーは諮問委員としてガバナーやガバナー・エレクトを援助するように奨励されています。

21.010−21.060 地区委員会
RI理事会が設置が推奨している地区委員会は、規定情報委員会、ロータリー財団委員会、ロータリー地域社会共同隊小委員会、WCS委員会、青少年活動委員会、青少年交換委員会、新世代委員会、地区社会奉仕委員会、地区親睦活動委員会です。昨年度までは推奨されていた、会員増強・拡大委員会、広報委員会、環境保全委員会の設置は除外されています。
日本においてはどの地区もほぼ同じような地区委員会構成になっていますが、最近では委員会の統廃合や縮小を試みる地区もあるようです。外国では極めて多彩な委員会構成をしている地区もあり、面白い例では、地区内のもめごとを処理する「火消し委員会 Firemen's Committee」を設置している地区もあります。

会員数が減少し、地区資金の増額もままならない昨今の状況を考えれば、思い切って地区組織を縮小する必要があるかも知れません。
ある会合で、「昨年は職業奉仕委員を務めたお陰で、かなり職業奉仕について理解することができました。」という発言があり、これに対して、地区の委員会は情報を各クラブに提供するために設置しているのであって、委員を教育するために設置しているわけではない。地区委員は各種セミナーや情報提供の場で、リーダーとしての役割を果たす実力を持っている少数精鋭で構成すべきだという意見もあり、これにも一理があるようです。